- はじめに―─子どもたちと乗り越えよう
- 第1章 自分の心を子どもに開く
- 子どもたちに心を開くことが「つながる」ための大切な一歩
- 自分の大切にしたいことを明確にする
- 大切にしたいことと自分の経験をつなげる
- 自己紹介の場面を大切にする
- 自己紹介を成功させる@ 自分の名前をていねいに伝える
- 自己紹介を成功させるA 自分の好きなものを20個紹介する
- 自己紹介を成功させるB 好きなもののエピソードを紹介する
- 自己紹介を成功させるC 学級担任として大切にしたいことを伝える
- 日ごろから自分の思いを伝える
- 第2章 子どもたちのことを知る
- まずは子どもたちの名前を覚える
- 子どもたちを観察してみる
- 自己紹介カードで知る
- 子どもたちとのおしゃべりを通じて知る
- 子どもの中にいる子どもを知る
- 先生たちから教えてもらう
- 職員室の資料から知る
- 座席表で子どもたちとの一週間をふりかえる
- 子どもの事実から子どもを知る
- 保護者から子どもたちのことを教えてもらう
- 第3章 安全・安心な教室環境をつくる
- 環境が「つながり」に与える影響
- まずは心の安心をつくる
- 先生こそ最大の教室環境である
- しっかりとしたルールが「つながり」を生む
- 「ととのう」が子どもたちを安心させる
- 言葉の環境をととのえる
- 人間関係の環境をととのえる
- 掲示物で「つながり」をつくる
- いじめは許さないと宣言する
- 第4章 子どもたちへの言葉かけを工夫する
- 言葉かけとは心の栄養素である
- 子どもたちの感情が動くことを意識する
- 子どもの眼を見て言葉かけする
- 子どものよい面をどんどん見つける
- 言葉かけはシンプルにする
- ダメなことはダメときちんと叱る
- 指示したことはきちんと確認する
- 「ほめる」と「叱る」のバランスを意識する
- 事実に言葉かけする
- 子どもに合わせる
- 時には言葉以外で言葉かけする
- 自己紹介で語った思いを一年間貫く
- 第5章 子どもたちの声を聴く
- 子どもの声を聴くからつながれる
- 自己紹介で質問を受ける
- 子どもの声を聴く〜休み時間〜
- 子どもに問いかけてみる〜授業時間〜
- 子どもの声を聴くスキル@ 素直に問い返す
- 子どもの声を聴くスキルA 素材研究をする
- 第6章 活動を通してつながる
- ゲームでつながりをつくる
- ゲームを通じてつながる@ くじ引き
- ゲームを通じてつながるA じゃんけん
- ゲームを通じてつながるB おしゃべりを学級で活かす
- 運動場で子どもとつながる
- 教室で子どもとつながる
- 授業で子どもとつながる@ 子どもの意見を聞く
- 授業で子どもとつながるA 分かち合う
- おわりに
はじめに──子どもたちと乗り越えよう
本書を手に取ってくださりありがとうございます。
本書は、はじめて学級担任になる方に向けて、学級経営に必要なことを「つながり」という視点で書かせていただきました。
学級担任という仕事は、本当に多岐にわたります。
「授業」「学級づくり」「子どもたちの健康観察」「安全管理」「教室環境づくり」「給食指導」「掃除指導」など……。ざっと書きましたが、もちろんこれだけにとどまらず、学級担任の仕事は複雑化しています。昨今は、それに加え
・探究的な学び
・個別最適な学びと協働的な学び
・GIGAスクール構想
などに関する、ありとあらゆる業務が教室に押し寄せてきています。これらを乗り越えながら、さらにいうと、これらのビッグウェーブに乗りながら学級担任という仕事をこなしていくために、絶対に欠かせないものがあります。それは、
人とのつながり
です。そして、学級担任であれば
子どもたちとのつながり
が、絶対に欠かせないのです。
みなさんは、子どもたちのことをどのように捉えているでしょうか? つまりどのような「子ども観」をもっているか、ということです。
本書を手に取ってくださったみなさんに、ぜひもっていただきたい子ども観とは、次のような子ども観です。
子どもたちは可能性にあふれている
このような観をもちながら子どもたちと接することが、今の時代においては本当に必要なことだと、私自身も日々教室の中で感じています。
さらにいうと、
子どもたちは自分自身で学ぶ力をもっている
という子ども観も、もってほしいと思います。
ともすれば、教育界は、長年「子どもたちは自ら学ばないもの」という価値観が広がっていた時代があるともいえます。
みなさんは、1970年代まで日本の教育で実施されていたとされる「詰め込み教育」をご存知でしょうか。詰め込み教育の時代(1958年・1968年告示学習指導要領)では、過去最大の授業時数が設けられ、とにかく子どもたちに学習内容を「教えよう」としたわけです。
そして、このような系統学習は、子どもたちに大きなストレスを与えました。過熱した授業戦争や校内暴力などが社会問題になったのです。
つまり「子どもたちは自分たちでは学ばないからできるだけ多くの知識を詰め込む」という考えのもと、そのような詰め込み教育が行われていたといっていいでしょう。
しかし、そのような教育は、子どもたちに表れた姿から間違っていたと考えられます。
そうではなく「子どもたちは学ぶ存在である」という前提の考えが重要だったのです。
今、本当に大きな動きが教室を巻き込もうとしています。これらの動きは、未来の日本社会を考えたときには、乗り越えなければいけない課題であり、今まさに壁に直面しているといえるでしょう。
その壁を突破できるかどうかは、「子どもたちとのつながり」を確かなものにできるかどうかにかかっていると私は考えています。
子どもたちとのつながりを確かにするからこそ、集団としての成果を高めることができ、個々を伸ばすことができるのです。
関係性が悪く、ぎくしゃくしているチームよりも、お互いに目標に向かいながら切磋琢磨しているチームの方が成果を上げることができることは明白でしょう。
本書では、子どもたちとの確かなつながりをつくるためにはどのような考えをもてばいいのかといった考え方と、どのようにつながりをもてばいいのかというスキルについてふんだんに書かせていただきました。時代は大きく変化しており、10年前の学級経営では通用しなくなっています。そのあたりも踏まえながら、新時代における学級経営のコツとして書かせていただいております。
本書を活かし、ぜひ、子どもたちとのつながりを築いていってください。令和の時代もその先の時代も、学級担任としてやりがいを実感するきっかけとなることを願っています。
令和6年9月 /丸岡 慎弥
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- 明治図書