- はじめに
- 第1章 今求められる道徳教育と令和の日本型学校教育
- 01 学習指導要領の趣旨
- 02 GIGAスクール構想
- 03 求められる道徳科の学習
- 04 令和の日本型学校教育
- 第2章 Society 5.0時代を生きる子供たちを育てるために
- 01 子供たちが生きていく未来を知る
- 02 生き方を考える道徳
- 03 コンテンツベースからコンピテンシーベースへ
- 04 AI時代と道徳性
- 05 多文化共生社会で生きる子供
- 06 ウェルビーイングと道徳科
- 07 引率から伴走へ・伝達から創造へ
- 08 学校、家庭、地域と共に進める道徳教育
- 第3章 道徳科における個別最適な学び
- 01 個別最適な学びとは
- 02 指導の個別化の実際
- 03 学習の個性化の実際
- 04 目標や振り返りに内容項目を生かす
- 05 学びの地図と現在地
- 06 道徳の眼をよくする
- 第4章 道徳科における協働的な学び
- 01 協働的な学びとは
- 02 教室内での協働の実際
- 03 教室空間を超えた協働の実際
- 04 時間を超えた協働の実際
- 第5章 道徳科における個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実
- 01 小学校1年生
- 02 小学校2年生
- 03 小学校3年生
- 04 小学校4年生
- 05 小学校5年生
- 06 小学校6年生
- 07 中学校
- 第6章 学びをつなげ発展させるカリキュラム・マネジメント
- 01 道徳科を要にしたカリマネ
- 02 学びを横につなげる1
- 03 学びを横につなげる2
- 04 学びを横につなげる3
- 05 学びを横につなげる4
- 06 学びを縦につなげる1
- 07 学びを縦につなげる2
- 08 学びを縦につなげる3
- 09 学びを蓄積するポートフォリオ1
- 10 学びを蓄積するポートフォリオ2
- 11 学びを蓄積するポートフォリオ3
- あとがき
はじめに
なぜ今、GIGAなのか?
教室には、実に多様な子供がいます。
人前で話すことが得意な子供もいれば、苦手な子供もいます。教材を1回で理解できる子供もいれば、理解するのがちょっと苦手な子供もいます。日本語をすらすらと読んだり理解できたりする子供もいれば、日本語に困難がある子供もいるでしょう。また、教室に来ることが難しい子供もいるかもしれません。
このような多様な子供が学ぶことができるようにするための一つのツールが一人一台のICT端末(以下、ICT端末)です。授業のねらいは、もちろん大事です。そのねらいを、より多くの子供が達成できるようにするという視点で、ICT端末を活用していただきたいのです。
例えば、日本語が苦手な子供でも、翻訳機能を使って端末上で交流することで、協働的な学びを展開できるかもしれません。発言が苦手な子供も同様です。一方で話すことが得意な子供もいるでしょう。そうした多様な子供を生かすような授業デザインが求められるわけです。
本書では、多様性が尊重されるこうした時代に期待される道徳教育について、社会背景から実際の活用場面まで網羅的に考えていきます。
今後の目指すべき方向性については浅見哲也先生(現・十文字学園女子大学教授、前・文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官)が、そして実際の活用やこれからのAI時代については安井(札幌国際大学准教授)がそれぞれ担当し、子供の豊かな学びという視点から「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現することをみなさんと共に考えたいと思います。
第1章では、「今求められる道徳教育と令和の日本型学校教育」というテーマで浅見先生に総論的に整理していただきます。これが、本書の大前提となります。その上で、各章では、これからの道徳教育について提案していきます。
第2章では、「Society5.0時代を生きる子供たちを育てるために」という子供たちの未来から、道徳教育を考えます。
第3章では、「道徳科における個別最適な学び」というテーマで「指導の個別化」と「学習の個性化」という視点から、その必要性やイメージを考えます。
第4章では、「道徳科における協働的な学び」について、誰と協働するのか、どう協働するのかという視点で考えます。
第5章では、「道徳科における個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」について、学年別に一例を示しながら、考えます。
第6章では、「学びをつなげ発展させるカリキュラム・マネジメント」という視点で、今後の道徳教育についてさらに考えていきます。
変化の激しい時代だからこそ、私たちも変化していく。不易を言い訳にせず、流行を生かしながら不易を改めて見つめる。そういう機会にしていただきたいと思います。
各学校の道徳教育の質的転換がさらに進み、変化の激しい時代を生きる子供たちに必要なコンピテンシーベースの学びが展開されることを願っています。
2023年11月 札幌国際大学准教授 /安井 政樹
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- 明治図書
- 道徳科での個別最適な学びと協働的な学びについて理論と実践について分かりやすく書かれてあり、とてもよかった。2024/8/2430代・小学校教員
- わかりやすい2024/7/19さくすけ