- はじめに
- 1章 英語が話せなくても大丈夫! 外国語授業の基礎基本
- 1 小学校で英語授業を行うメリット
- 2 2020年度から英語教育はどうなるの?
- 3 小学校で英語を教える時に大切なこと
- 4 3・4年生の外国語活動の指導の基本
- 5 5・6年生の外国語科の指導の基本
- 2章 この力だけは身に付けたい! 外国語授業の基本スキル
- 1 外国語授業で指導者に求められる力
- 2 授業構成力T(環境・教材づくり)
- 3 授業構成力T(時間数確保)
- 4 授業構成力T(児童の興味・関心が高い題材の選定)
- 5 授業構成力T(深い学びにつながる他教科との関連)
- 6 授業構成力T(単元・授業の流れの一定化)
- 7 指導・対応力(授業開きでの意欲付け)
- 8 指導・対応力(支援が必要な児童への配慮)
- 9 指導・対応力(五感を使っての指導)
- 10 指導・対応力(短時間の活動の組み合わせ)
- 11 指導・対応力(言いたくなる手立て・指導技術)
- 12 授業構成力U(成長が自覚できるふりかえり)
- 13 授業構成力U(学んだことを活用する場づくり)
- 3章 分かっていれば大丈夫! 外国語授業の落とし穴
- 1 いきなり教え込む授業をしない!
- 2 英語の授業だけ不自然な指導をしない!
- 3 英語の授業に特別感をもたせない!
- 4 一方的に英語を話さない!
- 5 ゲームを授業の中心にしない!
- 6 英語を話したことばかりほめない!
- 4章 発話や文法が苦手でも大丈夫! 各内容の授業のつくり方
- 1 聞き取りが苦手な先生だから分かること!
- 「聞くこと」のポイントを押さえた研究授業の指導案&板書!
- @ 3年『Let’s Try!1』Unit6 ALPHABET アルファベットとなかよし
- A 4年『Let’s Try!2』Unit5 Do you have a pen? おすすめの文房具セットをつくろう
- B 5年『We Can!1』Unit1 Hello, everyone. アルファベット・自己紹介
- C 6年『We Can!2』Unit9 Junior High School Life 中学校生活・部活動
- 2 やり取りが苦手な先生だから分かること!
- 「話すこと[やり取り]」のポイントを押さえた研究授業の指導案&板書!
- @ 3年『Let’s Try!1』Unit4 I like blue. すきなものをつたえよう
- A 4年『Let’s Try!2』Unit2 Let’s play cards. すきな遊びをつたえよう
- B 5年『We Can!1』Unit6 I want to go to Italy. 行ってみたい国や地域
- C 6年『We Can!2』Unit3 He is famous. She is great. 人物紹介
- 3 発表が苦手な先生だから分かること!
- 「話すこと[発表]」のポイントを押さえた研究授業の指導案&板書!
- @ 3年『Let’s Try!1』Unit7 This is for you. カードをおくろう
- A 4年『Let’s Try!2』Unit9 This is my day. ぼく・わたしの一日
- B 5年『We Can!1』Unit8 What would you like? 料理・値段
- C 6年『We Can!2』Unit1 This is ME! 自己紹介
- 4 読解が苦手な先生だから分かること!
- 「読むこと」のポイントを押さえた研究授業の指導案&板書!
- @ 5年『We Can!1』Unit7 Where is the treasure? 位置と場所
- A 6年『We Can!2』Unit5 My Summer Vacation 夏休みの思い出
- 5 文法が苦手な先生だから分かること!
- 「書くこと」のポイントを押さえた研究授業の指導案&板書!
- @ 5年『We Can!1』Unit9 Who is your hero? あこがれの人
- A 6年『We Can!2』Unit4 I like my town. 自分たちの町・地域
- 5章 使えば身に付く! 教師の英語スキルアップのポイント
- 1 小学校教師の英語の学び方!
- 2 教室で使う英語は教室で学ぶ!
- 3 日記⇔ALTとの会話「天候編」
- 4 日記⇔ALTとの会話「日常生活編」
- 5 日記⇔ALTとの会話「趣味編」
- 6 日記⇔ALTとの会話「名言編」
- 7 日記⇔ALTとの会話「授業のふりかえり編」
- 参考文献
はじめに
2018年度から新学習指導要領の移行期間となり,小学校3年生以上で外国語(以下,英語)の授業が始まっています。先生方が一生懸命取り組まれているという話とともに,困り感がある先生も多いと聞きます。
・「英語が話せない私が英語の授業をしなきゃいけないなんて,何から始めたらいいのだろう」
・「公開授業をすることになったけれど,押さえるポイントが分からない」
・「専科教員としてよりよい英語授業を広めていきたいけれど,感覚でやっている部分をうまく言葉にして伝えられない」
これらの困り感の多くは,「○○に困っている」というはっきりしたものというより,「何に困っているかが分からない」といった漠然としたもののように思います。小学校英語に関しては文部科学省が多くの資料を作成していますし,書店にも多くの書籍が並んでいます。それにもかかわらず,なぜ先生方がモヤモヤする漠然とした悩みをかかえてしまうのでしょうか。
私は,手に入る情報の1つ1つが,よりよい英語授業に進むための階段の1段1段であると考えた時,その段差が英語授業が苦手な先生方にとってはまだ少し高かったのではないかと考えています。具体的には,「紹介されている指導案通りに授業をしたのにうまくいかなかった……。でもその理由が分からない……」という状態になるということです。本当は,指導案に書かれないような細かいポイントも押さえる必要があるのに,それが分からないまま授業をするために,うまく階段をのぼれないということです。では,どうしてそのポイントは共有されていないのでしょうか。
それは,高学年担任に学級経営力の高い教員が多く,感覚で英語の授業を進めることがあったからだと思います。児童同士の関係ができていれば,英語授業におけるポイントの押さえが少々たりなくても,コミュニケーションはそれなりに成立するからです。しかし,英語が教科になって定着が求められるとそうはいきません。意図的な手立てや工夫が今まで以上に必要になってきます。
また,中学校・高校での指導経験はあるけれど小学校で初めて教える英語専科の方や,今まで低・中学年を担任することが多かったために小学校英語を指導した経験がほとんどない方など,様々な先生方が今後は小学校英語にかかわることになります。そう考えた時,階段の段差が低くなるような情報,つまり指導案に書かれるほどではない細かい情報の共有こそが,小学校英語授業における先生方の困り感や悩みを解消することにつながっていくと考えています。本書は,その細かい情報の共有を目的にしています。
本書の4章・5章を執筆していた頃,「平成30年7月豪雨」が私の住む地域を襲い,多くの方が被災しました。知人の1人は,自分が大変な状況にもかかわらず,「大丈夫か?」と連絡をくれました。全国の英語仲間からも,安否を心配した連絡がありました。私は,それまで以上に自分ができることに真摯に取り組もうと思いました。公務はもちろんですが,本書の執筆においては,当初の予定よりも具体的な内容を増やし,少しでも分かりやすくなるようにできるだけ視覚的に示すようにしました。読んでいただいた先生方の授業改善が少しでも早く進むようにという願いを込めています。また,現在,書店に並ぶ小学校英語に関する書籍よりも,かなり細かい留意点や指導の工夫についても書くようにしました。読んでいただければ,「何に困っているかが分からない」と思っていた先生が,「○○ができていなかった」と気付くことができると思います。指導的な立場にある先生方が,自分の取り組みを言語化するヒントを見つけるきっかけになると思います。
本書が先生方の困り感を少しでも解消し,小学校英語の授業が充実していくことを願っています。そして,それがきっかけになり,子どもたちが人とつながり合う喜びを実感できる授業が各地で行われ,教室に笑顔がたくさんあふれていくことを心から願っています。
2018年7月 岡山県倉敷市の自宅にて
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- 明治図書
- 具体的な指導法が紹介されていて、分かりやすかった。2024/7/3030代・小学校教員
- 教師ではなく一般の親である50才です。自分の英語学習の参考になる点を求めて、読みました。教科としての英語の授業の狙いを本書で知りました。そもそも育てたい児童像という考え方を具体的には、初めて触れました。自分自身が子供時代も、自分の子供たちも、そのような狙いで、授業をしてもらった実感はありません。なので、塾でしっかりと、かつ、当人のレベル別に教えてもらえるのに対して、学校の授業は、効率が悪いと思っています。授業参観や、保護者会での校長先生のお話でも得るものがなく、学校の先生は、自分たち勝手に、何か、児童にも親とも共有していないものを目指しておられる感じです。本書の中にも目指す児童像の話がありますが、学校の先生は、児童の親に目指す方向性を理解させる必要があると思います。貴社におかれても、そのための書籍を先生向けに出され、それが、児童にとって、良い学校生活時代につながることを希望します。2019/5/350代一般の親