- はじめに
- こうなると危険! 「荒れはじめ」のチェックリスト
- 序章 学級立て直しの基本
- 1 「荒れ」に立ち向かう
- 2 「現在の子ども」を知る
- 3 「荒れ」のメカニズムを知る
- 4 学級立て直しの原則を知る
- 5 形だけを真似ても「荒れ」は克服できない
- 6 子どもの心に寄り添う
- 7 主導権を握る
- 8 ルールの存在が安定感を生むことを知る
- 9 「ゼロ」を目指し,ゼロ視点で臨む
- 10 問題は成長のチャンスと捉える
- 11 ヒドゥンカリキュラムを意識する
- 12 学級立て直しの心構えチェック
- コラム 「子どもらしさ」って
- 1章 人間関係がぎくしゃくしてきたら
- 1 集団づくりを「ペアづくり」から始める
- 2 小集団をつくれるようにする
- 3 ゲームを取り入れる
- 4 休み時間のおしゃべりを楽しむ
- 5 話を聞く習慣をつける
- 6 互いに認め合う場をつくる
- 7 「握手」と「交換日記」で子どもとのパイプをつなぐ
- コラム 今はできない昔話
- 2章 生活態度がゆるみはじめたら
- 1 返事やあいさつに気をつけさせる
- 2 言葉づかいに気をつけさせる
- 3 時間を互いに守る
- 4 服装に気をつけさせる
- 5 常に教室をきれいにする
- 6 ものをそろえるよさを体験させる
- 7 週末のものの持ち帰りを徹底する
- コラム 私たちが本当にしなければならないこと
- 3章 学習態度が悪くなってきたら
- 1 1日1時間,1週間1教科は楽しい授業を仕込む
- 2 変化を繰り返し,テンポのよい授業をする
- 3 授業で子どもの動きを増やす
- 4 授業中の発言を増やす
- 5 子どもの反応を見て授業をする
- 6 指示は短く,声には変化をつける
- 7 教師の立つ位置を変える
- 8 心を整える場面をつくる
- 9 ノート指導を基礎からやり直す
- 10 宿題から心をチェックする
- コラム 子どもにとっての授業の大切さ
- 4章 学級集団がゆるみはじめたら
- 1 ルールを具体的に見直し,見える化する
- 2 緩やかにルールの内在化をはかる
- 3 定期的な振り返りでルールの習慣化をはかる
- 4 「やる気リズム」をつくる
- 5 学級全員に課題達成の経験をさせる
- 6 褒めを形に表す
- 7 いつもと違う雰囲気をつくって話す
- 8 当番や係の仕事のサイクルを改善する
- 9 掃除の仕方や分担を見直す
- 10 給食の準備と片付けをスムーズにさせる
- コラム 学びへ向かう学級とは
- 5章 「困った子」に振り回されはじめたら
- 1 計画を立てて個別に叱る
- 2 まずは先に話させる
- 3 行動だけを短く叱る
- 4 子どもと競り合わない
- 5 指示を受け入れる体勢をつくる
- 6 教師の土俵に引き込む
- 7 友達にサポートさせる
- 8 不満を聞いてやる
- 9 叱責とフォローをセットで考える
- コラム そっ啄同時@
- 6章 教師自身がつぶれないために
- 1 10割をこなそうとしない
- 2 責任を負いすぎない
- 3 聞いてもらえる同僚を探す
- 4 チームで対応してもらう
- コラム そっ啄同時A
- おわりに
はじめに
私は,教師になって十数年の間,毎年のように荒れた学級を担任してきました。だからといって天狗になっていたわけではなく,常に自分なりに学級づくりについて学んでいたつもりでした。
しかし,20年目にして受け持った子どもたちは,それまで経験したことのない凄まじさでした。始業式を迎えて1週間で,私は自信を失い,教員生活で初めて,「病休をとりたい」と思いました。
それでも,子どもたちと200日を共に過ごし,最後は,涙,涙の感動の卒業式でした。そのときの光景は,今でも鮮明によみがえります。
結果,その年の子どもたちに,私は本当の意味での学級づくりを教えてもらった気がします。
「ああ,あの子たちに出会えたからこそ,今の自分がある」
今では,そう思えるくらい,私にとって忘れられない1年です。
現在の教育現場を見渡すと,「学力向上」「主体的・対話的で深い学び」「社会に開かれた学校」「カリキュラム・マネジメント」等,いろいろな言葉が全国を飛び交っています。働き方改革が叫ばれる中,現場では,それに矛盾するかのように新たにやるべきことが突きつけられています。そして,先生方皆さんがおっしゃるのは,「子どもとの時間がない」という言葉です。
「未知なる社会を生き抜いていく子どものための教育」と言いながら,実際は,誰のための教育なのでしょうか。
それでも,現場の先生は,子どもたちと楽しい1年にしようと情熱をもって学級づくりにあたります。3月のゴールイメージをもち,誰もがそのイメージの実現を願い,4月に張り切って学級開きをします。
それから,1か月が経つと,どんどん上昇傾向にある学級と,やや下降気味の学級に分かれてきます。担任の先生が知らず知らずの間に,この差がどんどん開き,ある日,「あれ? 4月のはじめには,子どもとあんなにいい感じだったのに,どうして?」という事態が訪れます。このように,学級の荒れは,担任の先生が意識しない間に進みます。そして,担任が若かろうと,ベテランだろうと,誰にでも起こる可能性があるのです。
私は,最近そんな先生の相談に乗ることが増えてきました。同じ校内でも,同じ市内や,遠くに出かけたセミナーでもお話をうかがうことがあります。そこで語られる先生方の言葉は,日々のつらい実体験からにじみ出る,重く苦しみに満ちた,生気のないものです。
「力になりたい。」本当に,真剣に,そう思いました。私もその苦しみを経験した一人です。先生方の気持ちが痛いほど,よくわかるからです。
その先生方と,とことん話し合い,色々アドバイスもしました。どの先生方も辛抱強く立て直しに力を注がれました。私は,それをずっとサポートしてきました。そして,ついに皆さんが学級立て直しに成功され,3月まで子どもの前に立ち続けることができました。だれも休むことなく,だれも教職から去ることなく,皆さんが担任業務を最後までまっとうされたとき,私はその先生方と一緒に喜ぶことができました。自分もそうでした。あの達成感と安堵感は,味わった人にしかわからないでしょう。
私が自分の経験の中で学んだこと。すがるような思いで読んだ書籍から学んだこと。私が先生方にアドバイスしてきたこと。それらを,この1冊にまとめました。今回は,荒れの見られる初期から中期段階を見据えて書かせていただきました。
私の拙い実践をもとにした内容ですが,この本を手にされた皆さんに少しでもお役に立てたら幸いです。
平成29年6月 /高本 英樹
より具体的なエピソードが入っていればもっとよかった。
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