- まえがき
- 第1章 掃除指導のシステムづくり
- 手順@ 掃除の「目的」を示し,「目標」を定める
- 手順A 掃除の分担と期間を決める
- 手順B 掃除の仕方を徹底させる
- 手順C 掃除の評価をする
- 「清掃」と学習指導要領
- コラム 当番活動ではない掃除法
- 第2章 正しい掃除のやり方指導のポイント
- 1 用具別指導のポイント
- ぞうきん
- ほうき
- モップ
- デッキブラシ
- トイレブラシ
- たわし・スポンジ
- 熊手・竹ぼうき
- 2 場面別指導のポイント
- 教室・黒板
- 廊下・階段
- 手洗い場
- トイレ
- 体育館
- 昇降口
- 外庭・運動場
- 家庭科室
- 理科室
- 図工室
- コラム 掃除にまつわる漢字の話【名前編】
- 第3章 学年別 掃除指導のポイント
- 1・2年生の掃除指導のポイント
- 3・4年生の掃除指導のポイント
- 5・6年生の掃除指導のポイント
- 特別な支援を要する子への掃除指導のポイント
- 異学年縦割り掃除指導のポイント
- コラム 掃除にまつわる漢字の話【動作編】
- 第4章 掃除指導をさらに円滑にするアイデア
- 1 子どもが意欲的に掃除に取り組むアイデア
- 低学年向け 掃除に意欲的になるアイデア
- 中学年向け 掃除に意欲的になるアイデア
- 高学年向け 掃除に意欲的になるアイデア
- 異学年縦割り掃除向け 掃除に意欲的になるアイデア
- 2 やる気を高める掃除の評価アイデア
- 低学年向けの評価アイデア
- 中学年向けの評価アイデア
- 高学年向けの評価アイデア
- 異学年縦割り掃除の評価アイデア
- 3 中だるみをテコ入れするアイデア
- 開始時刻に遅れる子へのアイデア
- 掃除中におしゃべりをしたり遊んだりする子へのアイデア
- 手抜きをしてしまう子へのアイデア
- 後片づけ・確認をしない子へのアイデア
- 4 いろいろな子どもへの掃除指導アイデア
- 荒れた学級で掃除に取り組むアイデア@
- 荒れた学級で掃除に取り組むアイデアA
- 特別な支援を要する子が意欲をもつアイデア@ 通常学級の場合
- 特別な支援を要する子が意欲をもつアイデアA 特別支援学級の場合
- コラム 掃除と「働き方改革」
- 第5章 教師が身につけておくべき掃除術
- 1 仕上げの掃除術
- 窓・ドアの溝
- 机・椅子の脚の裏
- 黒板の「上」・電灯のカサ
- 2 夏休みの掃除術
- 便器の黄ばみ・黒ずみ
- ビーカーの水垢
- 教室のカーテン
- あとがき
まえがき
毎日行われている教育活動
小学校や中学校で,遠足や運動会などの特別な日以外は,毎日行われている教育活動があります。
毎年,基本的に同じことの繰り返しなので,初めて取り組む1年生以外は特に指導しなくてもなんとなくできてしまいます。
そのため,「できて当たり前」と捉えられがちで,ていねいな指導がなされていないこともあります。
この教育活動は,何だと思いますか?
それは,掃除と給食です。
毎日,当たり前のように繰り返されている学校掃除や学校給食ですが,次のような問題点があります。
教師間で研修をすることがほとんどない
教科指導と違って,校内研修で掃除や給食を取り上げて研修をしたり,お互いの指導の仕方を検討したりすることはありません。
それは,教師であれば知っていて当然という前提があるのかもしれません。しかし,初任者はもちろん,ベテラン教師の中にも正しい掃除の仕方や食事のマナーなどを知らない教師がいるのです。
だから,掃除や給食の指導があいまいだったり,うまくいかなくても「こんなものだ」と思ってだれに相談することもなく,そのまま続けていたりすることがあります。
その教師にしてみれば,「教科指導でさえ大変なのに,掃除や給食のことまではとても手がまわらない!!」というところかもしれません。
しかし,教師が知らなければ,子どもに教えることも,子どもの間違いを正すこともできません。
子どもたちが同時に別々の動きをしている
正しい掃除の仕方や食事のマナーを知っていても,それだけで子どもたちを動かすことはできません。
掃除や給食が教科指導と違うのは,教室の内外で子どもたちが同時に別々の動きをしていることです。
かぎられた時間の中で多人数の子どもたちがばらばらに動くわけですから,ちょっとしたことで様々なトラブルが発生します。
特に掃除は,高学年になると,体育館や外庭など教師の目がとどかない場所の担当も増えてきます。
時間内に,トラブルなく掃除を行い給食を終えるには,意図的なシステムが必要です。
掃除が苦手な教師もいる
指導する立場にある教師は何でもできて当然と思われがちですが,実は掃除が苦手な教師だっています。
大学の教職課程には,掃除指導に関わる講義はありません。
掃除のさせ方なんて現場に入るまで考えたこともなく,また,自身の小・中学校時代以来,ろくにほうきを持って掃いたり,ぞうきんで拭いたりしたことのない者もいます。
教師になっても,先述のように,校内で掃除指導の研修をすることはほとんどなく,掃除をテーマにした研究発表会もありません。
これでは,若い教師は「なんとなく」「適当な」掃除指導をすることになります。
単に掃除がうまくいかないだけならまだしも,子どもたちが集団で行う掃除が機能しないと,そこから学級が崩れてしまうこともあります。
本書の特徴
今回,刊行する
『掃除指導 完ペキマニュアル』
は,そのような若い教師や,掃除指導に自信のない教師に向けて書かれた掃除指導の書です。
掃除指導の基本的なシステムを押さえ,また,「それぐらい知っているだろう」と思われるような,いわば「今さら聞けない」掃除用具の使い方なども解説しています。
「今さら聞けない」からこそ,「なんとなく」「適当に」行われている掃除指導の現状があるからです。
初任者はもちろん,今まであまり意識していなかった教師も,あらためて自分の掃除指導を見直すことができます。
なお,書名に「マニュアル」とありますが,本書には,数々の多彩なアイデアも掲載しています。
掃除指導に困っている教師や,楽しく取り組ませたい教師にとって,すぐに試したくなる事例をたくさん取り上げています。
学級づくりが優れている教師は,掃除指導も優れています。
逆に言えば,「掃除をしている子どもたちを見れば,その学級のレベルがわかる」のです。
本書が,楽しい掃除指導の一助となれば幸いです。
/ 辻川 和彦
※「清掃計画」や「清掃主任」などのように,公的には“清掃”ですが,本書では引用部分以外では基本的に“掃除”を使用しています。
内容も具体的かつ豊富で充実している。