- はじめに
- 序章 社会科授業の小ネタの使い方
- 第1章 地理授業の小ネタ18
- 01 世界の地域構成 地球が丸いって本当!?
- 02 世界の地域構成 アフリカの地面が裂ける,グレートリフトバレー!?
- 03 世界各地の人々の生活と環境 ビーフカレー,ポークカレーが食べられない!?
- 04 アジア州 一人っ子政策がつくりだした小皇帝と無戸籍児!?
- 05 ヨーロッパ州 フランスの学校でスカーフ事件!?
- 06 アフリカ州 電気もないのに何はなくても携帯電話!?
- 07 北アメリカ州 大西洋に“インド”がある!?
- 08 南・北アメリカ州 移民増加でスパイダーマンの主役交代!?
- 09 南アメリカ州 フェアトレード価格のほうが安いコーヒーがある!?
- 10 オセアニア州 「世界の中心」で叫ばないで!?
- 11 地域の在り方 全品100円の商店街がある!?
- 12 日本の地域的特色 日本の一部が外国のもの!?
- 13 世界の中の日本 「さつまいも」を別の名前で呼ぶ地域がある!?
- 14 九州地方 リーフカレント〜サンゴ礁の罠!?
- 15 近畿地方 修学旅行で大人気の鹿,実は害獣だった!?
- 16 中部地方 ピアノとオートバイの故郷は同じ!?
- 17 東北地方 東北三大祭りは夜の睡魔を払う行事!?
- 18 北海道地方 スケッチブックからつくられた辞典がある!?
- 第2章 歴史授業の小ネタ25
- 01 世界の古代文明 予言的中 秦を滅ぼすものは胡!?
- 02 弥生時代 卑弥呼は日本人じゃなかった!?
- 03 古墳時代 大仙陵古墳は威圧のためにつくられた!?
- 04 飛鳥時代 大化の改新で蘇我氏は歴史上の悪者になった!?
- 05 飛鳥時代 薬師寺は天武天皇が愛する皇后のために建立した!?
- 06 奈良時代 現代の高速道路並みだった古代の官道!?
- 07 奈良時代 聖武天皇はビビりだった!?
- 08 平安時代 最澄と空海の弟子をも巻き込むライバル対決!?
- 09 平安時代 仏像は組み立て方式で大量生産!?
- 10 平安時代 平将門の首は京都から東京に飛んできた!?
- 11 鎌倉時代 北条政子は子どもを切り捨てる悪女!?
- 12 鎌倉時代 3人描き足し疑惑の蒙古襲来絵巻!?
- 13 室町時代 足利尊氏の兄弟げんかが南北朝の争乱をややこしくした!?
- 14 室町時代 足利義満が子どもをえこひいきしたから金閣も危うくなる!?
- 15 室町時代 お茶会は豪華懸賞付きクイズ大会!?
- 16 江戸時代 戦国最後の勝利者は織田信長だった!?
- 17 江戸時代 幕府は国内向けに朝鮮通信使を利用した!?
- 18 江戸時代 江戸っ子は宵越しの銭は持たねぇ!?
- 19 江戸時代 夏の怪談は千両役者の夏休みから生まれた!?
- 20 明治時代 新しい時代には土葬か火葬か!?
- 21 明治時代 戦争に勝利することが文明のあかし!?
- 22 大正時代 米騒動が生み出した普通選挙!?
- 23 昭和時代 盧溝橋事件は解決していたのに日中戦争突入!?
- 24 昭和時代 ストライク!と叫ぶと非国民!?
- 25 現代の日本 バブルはじけて1000兆円が消えた!?
- 第3章 公民授業の小ネタ17
- 01 私たちの生きる現代社会 世界では7億人以上が1日200円以下で生活している!?
- 02 現代社会における文化 おどかす前にあいさつして訪問する秋田のナマハゲ!?
- 03 現代社会を捉える枠組み 殺人を禁止するルールはない!?
- 04 日本国憲法 最高法規と国際条約に矛盾がある!?
- 05 民主政治と政治参加 ヒトラーは選挙で政権を手に入れた!?
- 06 国会 “多数決”全体の6分の1でも決まってしまう!?
- 07 公正な裁判 強者が弱者を訴えるスラップ訴訟!?
- 08 地方公共団体の政治 ふるさと納税で失われた40億円!?
- 09 住民の権利と地方政治 住む場所によって買い物難民に限界集落!?
- 10 経済活動の意義 「アリとキリギリス」,キリギリスの「遊び」も仕事のひとつ!?
- 11 消費者の保護 楽して儲かる話の裏には多額の損失!?
- 12 企業の経済活動 年功序列型か成果主義か!?
- 13 個人の経済活動 アルバイトに忍び寄る影!?
- 14 租税の意義 わたしたちには借金がある!?
- 15 世界平和の実現 核発射装置は「核なき世界」を訴える米大統領のかたわらに!?
- 16 世界平和の実現 冷戦で日本がオリンピックに参加できなかった!?
- 17 環境問題 地球温暖化防止は地球にやさしい!?
はじめに
「小ネタ」は,学校で落語研究部顧問をしてきた私には,長広舌を要する「大ネタ」に対して,わずかな時間で,聴衆の心をとらえていく噺が思い浮かびます。しかし,小ネタを発展させて大ネタへと化けさせたり,本編につなげたりする重要なものということも認識しているつもりでした。
私自身のことを言えば,中学校社会科の最初の授業で覚えているのは,「初代衆議院議長は中島信行」だということです。教科担当の先生がご自分の名前と同姓同名だということでお話されました。本編の授業の大半を忘れた? 今でも記憶しているのですから,「小ネタ」として優秀? です。
高校1年時の担任で国語を担当されていた林武志先生の授業は,有名作家の様子を細かに教えてくださるとても楽しいものでした。それまで知らなかった文学作品を読んだりしましたが,詳しいのも道理で,先生は川端康成研究で著名な方で,のちに二松學舎大学教授になられています。楽しかった授業が小ネタから大ネタ,本論へとつないでくれていたことになります。
院生時代,恩師萩原龍夫先生と史料調査の途次,乗り継ぎのバスを待つ間,私の話した牛丼チェーンの話を先生が熱心に聞き入ったことに驚きました。恩師は博覧強記の権化のような先生でしたが,そうしたたわいもない学生の話にもご自分の未知のことには食いつき,知識化していることに驚嘆しました。恩師から聞かされる,柳田國男先生のお話は自分にはさまざま勉強になりました。いずれも,本編である歴史学,民俗学へと導かれるエピソードの数々はある意味小ネタの連続とも言えます。そうした自分の過去の豊饒な小ネタ世界から受けた学恩にわずかでも報ずることができれば幸いです。
2019年5月 /水谷 安昌
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- 明治図書
- 「小ネタ」がいかに生徒を惹きつけるのに大切なのか実感した。2019/9/1120代・中学校教員
- 授業で少し話したくなるネタがあり、参考になった。2019/8/1020代・中学校教員