- はじめに
- 第1章 「見方・考え方」を働かせて学ぶ社会科授業デザイン
- 社会科らしい視点や方法を使って子どもが主体的に地域を学ぶ
- 第2章 「見方・考え方」を働かせて学ぶ社会科授業モデル 3・4年
- 3年
- 1 身近な地域や市の様子 身近な地域から視野を広げ市全体の様子を考える事例
- 2 地域に見られる生産の仕事―H食品ではたらくAさんと納豆― 一つ一つの事象をじっくり見つめ,相互関係に着目することを通して,身近な生産活動の価値に気づく事例
- 3 地域に見られる販売の仕事 消費者の願いと関連付けて販売の工夫に迫る事例
- 4 事故から安全を守る 見方・考え方を働かせて事故や事件の防止を考える事例
- 5 火災から安全を守る 火災から地域の安全を守るための働きを相互の関連に着目してとらえる事例
- 6 市の様子の移り変わり@ 横浜市の様子の変化と関連付けて人々の生活の変化を考える事例
- 7 市の様子の移り変わりA 土地利用の様子を導入として扱った事例
- 8 市の様子の移り変わりB 時期による違いに着目して,それぞれのよさや課題を考える事例
- 4年
- 1 私たちの県の様子 様々な地図を使った空間的な視点に着目して県の様子に迫る事例
- 2 飲料水を供給する事業 「水の旅マップ」を通して経路に着目し,飲料水供給の働きをとらえる事例
- 3 電気を供給する事業 様々な発電の特徴をとらえ,電力構成のバランスを考える事例
- 4 ごみを処理する事業 量やその変化に着目してごみ処理の現状をとらえ,社会への関わり方を考える事例
- 5 下水を処理する事業 自分たちにできることを選択・判断し,社会と関わろうとする子どもを育てる事例
- 6 県内の自然災害(地震)―防災ブックをつくろう― 自助・共助・公助の取組から自分にできることを選択・判断する事例
- 7 県内の自然災害(風水害) 自然災害の変化に着目し,備えの大切さを考える事例
- 8 県内の自然災害(火山噴火) 火山災害を取り上げ,地域の安全を守る活動の働きを考える事例
- 9 県内の文化財や年中行事(文化財)―みんなに守られている旧岩崎邸庭園― 時間の経過に着目して文化財や年中行事を保存・継承することの意味を考える事例
- 10 県内の文化財や年中行事(年中行事)―地いきに伝わる昔からあるもの― 「いつ」「だれが」「なぜ」「どうやって」の問いにより情報を整理して考える事例
- 11 県内の特色ある地域(地場産業)―小田原蒲鉾の伝統を支える人々― 「人々の協力関係」に着目して地域の特色を考える事例
- 12 県内の特色ある地域(伝統的な文化を保護・活用) 歴史を生かしたまちづくりから人々の協力関係に迫る事例
- 13 県内の特色ある地域(自然環境を保護・活用)―世界自然遺産 小笠原― 子どもが着目した視点をキャッチコピーにして地域の特色を表現する事例
- 14 県内の特色ある地域(国際交流)―多文化共生のまち新宿区― 国際交流の取組を「特色あるまちづくり」ととらえて追究していく事例
はじめに
2020年4月から,新学習指導要領(平成29年3月告示)が全面実施になります。
新学習指導要領では「総則」に,「児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習の過程を重視」することが示されています。すなわち,「見方・考え方を働かせた深い学び」の実現を求めているのです。
そうはいっても,新たに教科となった道徳科や外国語をどう指導するか,といった課題への対応で慌ただしくて,「『見方・考え方』を各教科等の特質に応じて学んでいる暇などない!」といった状況ではないでしょうか。
そこで本書では,前段の説明ページで,
@学習指導要領に示されている内容をしっかり見れば,「見方・考え方」の多くは自ずと見えてくること
A従来の指導方法と大きく変わるのではなく,これまで大切にしてきた教科の本質を確認し,「その教科らしい授業」を求めていること
を理解していただきたいと思います。その上で,後段の実践ページによって,たくさんの例から,@Aを確かめていただきたいと思います。単元の指導計画に☆として主な見方・考え方の例を,その右枠にそれを生み出す手立てを適宜入れ込む形で社会科らしい学びを誘導しています。
ただし,本書に掲載されている事例は,新学習指導要領の全面実施の前から,先行的に取り組んでいただいた実践例です。指導力,実践力のある多くの先生方の力をお借りしましたが,まだ十分な検討を経ていない内容や教材も多くあります。特に学習評価については,原稿執筆の段階ではまだ新しい方向やそれに沿った具体策が文部科学省から示されていない状況でした。
そこで,読者の皆様には,本書の実践を例に,あるいは土台として,よりよい指導計画を考えていただきたいと思います。すなわち,授業づくりのための材料にしていただきたいのです。
子どもが「見方・考え方を働かせて学ぶ」授業づくりをあまり難しく考えずに,子どもはどんな問いをもつか,どんな予想をするか,どのように思考が動くのか,などと子どもの頭の働かせ方を考えるような気持ちで,授業づくりに臨んでほしいと思います。そうすれば,結果的に「見方・考え方を働かせて学ぶ」授業になっている,これが真実ではないかと思うからです。
最後になりましたが,本書の作成・編集に当たっては,明治図書出版の編集部の皆様,特に及川誠様に,様々なご支援・ご助言をいただきましたことに,この場をお借りしてあらためてお礼申し上げます。
2019年6月 /澤井 陽介
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- 明治図書
- 授業づくりのアイデアに役立ちました。2024/7/1320代・小学校教員
- わかりやすい2022/10/2030代・小学校教員
- 内容がわかりやすい2020/4/2620代・小学校教員
- 全国の先進的な実践事例が掲載されており、来年度の完全実施を控えたタイムリーな企画であった。特に、学習指導要領解説以上に踏み込んだ「見方考え方」の説明がとても参考になった。2019/9/2160代私立小学校管理職
- 澤井先生の著書は説得力がありわかりやすい。勉強になります!2019/9/10あつし