- はじめに
- 3年 物質・エネルギー ■物と重さ
- 重さの単位は食べ物からできた?!
- 市販のごま塩は塩が軽い?!
- ないと思っていた空気に,重さがある?!
- 3年 物質・エネルギー ■風とゴムの力の働き
- 元に戻らないとゴムじゃない?!
- 風の力で動く生命体がいる?!
- 風力発電の羽根の数は決まっている?!
- 3年 物質・エネルギー ■光と音の性質
- 朝焼けは夕焼けほど赤く見えない?!
- 鏡は紀元前2800年より前からあった?!
- 音の速さは物の硬さによって変わる?!
- 3年 物質・エネルギー ■磁石の性質
- 鳩の脳内には磁石がある?!
- 世界最強のネオジム磁石は日本人が発明した?!
- 3年 物質・エネルギー ■電気の通り道
- 電池の歴史は200年以上もある?!
- ケーキの砂糖菓子は電気を通す?!
- 単1・単2・単3・単4という表現は日本だけ?!
- 3年 生命・地球 ■身の回りの生物
- クモは巣の上で見事な足さばきを披露している?!
- 地球上の生物種は多種多様?!
- 昆虫が人間と同じ大きさなら,100m走を1秒かからずに走れる?!
- 3年 生命・地球 ■太陽と地面の様子
- 地中熱は縄文時代から利用されている?!
- 白色が猛暑対策の救世主になる?!
- 影の動きは季節によって違う?!
- 4年 物質・エネルギー ■空気と水の性質
- 空気と水は閉じ込めてこそ力を発揮する?!
- 空気の性質が緩衝材にとても役立っている?!
- 4年 物質・エネルギー ■金属,水,空気と温度
- 皮の硬いトウモロコシじゃないとポップコーンにならない?!
- スケートリンクはお湯からつくる?!
- 電波塔はちょっとだけ動いている?!
- 4年 物質・エネルギー ■電流の働き
- コンセントの2つ穴には理由がある?!
- マラソンでたとえると充電池は安定した走者?!
- LEDを並列でつなぐと明るさがバラバラに?!
- 4年 生命・地球 ■人の体のつくりと運動
- 人の手足の動きは漢字で全部書ける?!
- 動物によって優れている動きが違う?!
- 4年 生命・地球 ■季節と生物
- 北から南へ移る季節観測がある?!
- 動物や植物の暮らしの変化が暦になっている?!
- ピンク色のバッタが存在する?!
- 4年 生命・地球 ■雨水の行方と地面の様子
- 雨水は,流れやすいところを知っている?!
- 「池」「沼」「湖」には使い分け方がある?!
- 4年 生命・地球 ■天気の様子
- 同じ雨がついてもちょっと違う?!
- 白夜の日は北極の方が日本より気温が高い?!
- 4年 生命・地球 ■月と星
- 星の光から,昔のことがわかる?!
- 南半球を代表する星座・南十字星,日本でも見られる?!
- 金星の方が近いのに,人類は火星に移住しようとしている?!
- おわりに
はじめに
皆さんは,“雑談”という言葉から,どんなことが思い浮かぶでしょうか?
古くは,「ゾウタン」や「ゾウダン」と読まれていたそうですが,類義語として浮かんでくるのは,世間話や四方山話といったところでしょうか。雑言となると,悪口や言いがかりのニュアンスが否めないですが,「雑」と「談」の成り立ちから想像すると,「取り留めのない」「益体も無い」話をあれこれ集めながらも,相手を巻き込み,楽しさを分かち合える共感の要素が含まれていたり,「前置き」「箸休め」といった本題を際立たせる効果もあったりするようです。
しかし,それだけでしょうか?
私はそうは思いません。「蘊蓄」という言葉が入ってこなければ,この意味を語ったことにならないように思います。
「蘊蓄」は,いわゆる深く追究して身につけた知識を表す言葉ですが,“雑談”の中に「雑学」とも称される内容,すなわち「蘊蓄」があってこそ,興味がわいたり,ともに気持ちが昂ったりするのではないでしょうか。…だから,いつも面白いのではないでしょうか。
そして,身の回りの事物・事象・現象について,深くこだわりのある味わいを感じたり,幅広い観点から捉えた本物感を受け取ったりするため,私たちの心に残り,飽くなき探究世界へと導いてくれるような感じがします。
さてさて,本書“雑談”の中身はというと,やはり「雑駁」に集めております。
もちろん,最新版の学習指導要領に則り,小学校理科として扱われる内容に関連したものであることは間違いないのですが,そこから広がる方向性や深まる程度は,それぞれのテーマや題材に対する意識づけによって変化しています。
本書では,各タイトルがそれを表しています。すなわち,「?!(問い)」形式としているタイトルは,子どもたちの日常生活の「ある,ある」疑問を表した形にし,なかなかすぐに解決しそうにないけれども,その理由が知りたい,その意味がわかりたい,でも今までわかるチャンスがなかったといったモヤモヤな気持ちを端的に表したと言えます。しかも,それに続く回答となる説明は,時には図や写真を活用したり,クイズ形式を用いたりしながら,確かな回答を求める皆さんが,なるほどと納得いくところまで,丁寧に著されています。
専門家レベルまで詳述されていることも随所に見られます。また,解説・説明だけにとどまらず,「〜してみてはどうでしょう?」「こうしてみるのも面白そうですね」などとさらなる探究の方向性を示してくれている場合もあります。
こうした味つけ,記述展開の工夫は,本書にかかわってくださった筆者たちの実践知としての「学び・教えの勘どころ」とともに,「発達の最近接領域」(L. S. Vygotsky)などの心理学理論を踏まえておられたからだと思います(そのためでしょうか,私自身もついつい読み耽ってしまいました。しかも,時間の余裕があるなしにかかわらず)。
こういう特徴だとわかれば,もう,話は簡単ですね。この“雑談”は,理科授業の内容のみにとどまらず,それらを「芯(Core)」としたリンゴのように,芯を取り巻く実(他教科など)の部分を育て熟す効果も期待できるでしょう。
さあ,読み始めてください。一つひとつの事柄と一文字一文字の表現をたどってみてください。どのページもきっと“感動の物語”となって心に残ることでしょう。それは,紛れもなく,読者の皆さんのそれまで培ってこられた学校教育の幅広い教科知識や児童理解の知識と本書の内容が化学反応を起こした結果と言えます。どちらも必須アイテムであったことに気づく瞬間でもあるでしょう。ぜひ,そんな快体験を味わってみてください。
「百聞は一読(?)にしかず」です。
では,読書後に,またお会いしましょう。
編著者 /溝邊 和成
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- 明治図書
- いつもありがとうございます2024/9/2220代・幼保教員