- はじめに
- 5年 物質・エネルギー ■物の溶け方
- 同じ「食塩」でも味が全然違う?!
- 「ろ過」を行わない日はない?!
- 牛乳も墨汁もコロイド溶液?!
- 5年 物質・エネルギー ■振り子の運動
- 勝手に動く振り子がある?!
- 振り子のきまりのない振り子がある?!
- 5年 物質・エネルギー ■電流がつくる磁力
- 身の回りは電磁石であふれている?!
- 世界最強の電磁石が20年ぶりに更新された?!
- 5年 生命・地球 ■植物の発芽,成長,結実
- イネの花の命は1時間だけ?!
- おなかの中の赤ちゃんと,さやの中のマメが似ている?!
- どのアサガオも,つるの向きは右巻き?!
- 5年 生命・地球 ■動物の誕生
- 進化の研究を支えているのは人気がある小さな魚?!
- 世界中,歴史上同じ遺伝子をもつ人はいない?!
- あなたが生まれた日は誕生日じゃない?!
- 5年 生命・地球 ■流れる水の働きと土地の変化
- 人は水辺の上に立っている?!
- 川は漢字の「川」のように流れていない?!
- 「流れる水」は人生においても活躍する?!
- 5年 生命・地球 ■天気の変化
- 雲を表す記号がある?!
- テレビやスマホがなくても天気がわかる?!
- 雷は,人間の身体もねらってくる?!
- 6年 物質・エネルギー ■燃焼の仕組み
- 火事のときでも使っちゃいけない消火器がある?!
- 火を近づけても燃えない紙がある?!
- 6年 物質・エネルギー ■水溶液の性質
- 「無色」と「透明」は意味が違う?!
- アジサイは七変化の異名をもつ?!
- 6年 物質・エネルギー ■てこの規則性
- 綱渡りは棒の長さが生命線?!
- ニンジンにも「てこの原理」が見える?!
- てこの起源は紀元前5000年より前?!
- 6年 物質・エネルギー ■電気の利用
- 家庭で使う電気代が「ゼロ」に近づいていく?!
- 電池の分け方はいろいろ?!
- 静電気にもプラスとマイナスがある?!
- 6年 生命・地球 ■人の体のつくりと働き
- 胃が1つじゃない動物がいる?!
- 人の体もトカゲのように再生する?!
- 6年 生命・地球 ■植物の養分と水の通り道
- 1本のブナの木から8tもの水がわき出る?!
- 栄養の貯め方は,「十植物十色」?!
- 6年 生命・地球 ■生物と環境
- 自分で水を集める虫がいる?!
- 植物の成長には日照時間が関係している?!
- 6年 生命・地球 ■土地のつくりと変化
- 2011年以降,井戸を設置する学校が増えている?!
- 手指の感覚で「れき・砂・泥」を識別できる?!
- 富士山はただの岩山じゃない?!
- 6年 生命・地球 ■月と太陽
- 宇宙を感じることができる施設がある?!
- 起きている回数では月食が珍しいのに,日食の方が観測上珍しい?!
- おわりに
はじめに
皆さんは,“雑談”という言葉から,どんなことが思い浮かぶでしょうか?
古くは,「ゾウタン」や「ゾウダン」と読まれていたそうですが,類義語として浮かんでくるのは,世間話や四方山話といったところでしょうか。雑言となると,悪口や言いがかりのニュアンスが否めないですが,「雑」と「談」の成り立ちから想像すると,「取り留めのない」「益体も無い」話をあれこれ集めながらも,相手を巻き込み,楽しさを分かち合える共感の要素が含まれていたり,「前置き」「箸休め」といった本題を際立たせる効果もあったりするようです。
しかし,それだけでしょうか?
私はそうは思いません。「蘊蓄」という言葉が入ってこなければ,この意味を語ったことにならないように思います。
「蘊蓄」は,いわゆる深く追究して身につけた知識を表す言葉ですが,“雑談”の中に「雑学」とも称される内容,すなわち「蘊蓄」があってこそ,興味がわいたり,ともに気持ちが昂ったりするのではないでしょうか。…だから,いつも面白いのではないでしょうか。
そして,身の回りの事物・事象・現象について,深くこだわりのある味わいを感じたり,幅広い観点から捉えた本物感を受け取ったりするため,私たちの心に残り,飽くなき探究世界へと導いてくれるような感じがします。
さてさて,本書“雑談”の中身はというと,やはり「雑駁」に集めております。
もちろん,最新版の学習指導要領に則り,小学校理科として扱われる内容に関連したものであることは間違いないのですが,そこから広がる方向性や深まる程度は,それぞれのテーマや題材に対する意識づけによって変化しています。
本書では,各タイトルがそれを表しています。すなわち,「?!(問い)」形式としているタイトルは,子どもたちの日常生活の「ある,ある」疑問を表した形にし,なかなかすぐに解決しそうにないけれども,その理由が知りたい,その意味がわかりたい,でも今までわかるチャンスがなかったといったモヤモヤな気持ちを端的に表したと言えます。しかも,それに続く回答となる説明は,時には図や写真を活用したり,クイズ形式を用いたりしながら,確かな回答を求める皆さんが,なるほどと納得いくところまで,丁寧に著されています。
専門家レベルまで詳述されていることも随所に見られます。また,解説・説明だけにとどまらず,「〜してみてはどうでしょう?」「こうしてみるのも面白そうですね」などとさらなる探究の方向性を示してくれている場合もあります。
こうした味つけ,記述展開の工夫は,本書にかかわってくださった筆者たちの実践知としての「学び・教えの勘どころ」とともに,「発達の最近接領域」(L. S. Vygotsky)などの心理学理論を踏まえておられたからだと思います(そのためでしょうか,私自身もついつい読み耽ってしまいました。しかも,時間の余裕があるなしにかかわらず)。
こういう特徴だとわかれば,もう,話は簡単ですね。この“雑談”は,理科授業の内容のみにとどまらず,それらを「芯(Core)」としたリンゴのように,芯を取り巻く実(他教科など)の部分を育て熟す効果も期待できるでしょう。
さあ,読み始めてください。一つひとつの事柄と一文字一文字の表現をたどってみてください。どのページもきっと“感動の物語”となって心に残ることでしょう。それは,紛れもなく,読者の皆さんのそれまで培ってこられた学校教育の幅広い教科知識や児童理解の知識と本書の内容が化学反応を起こした結果と言えます。どちらも必須アイテムであったことに気づく瞬間でもあるでしょう。ぜひ,そんな快体験を味わってみてください。
「百聞は一読(?)にしかず」です。
では,読書後に,またお会いしましょう。
編著者 /溝邊 和成
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- 明治図書
- 勉強になりました2024/8/2030代・小学校教員