- はじめに
- Chapter1 [理論編]小学校外国語活動・外国語教育の基礎・基本
- 1 小学校外国語活動・外国語の基本的理念
- 2 小学校外国語活動・外国語の現状と課題
- 3 学級担任の役割
- 4 専科教員の役割
- 5 ALTの役割
- 6 言語習得理論の基礎・基本
- 7 言語活動の効果的な在り方
- 8 評価の考え方と評価の在り方
- 9 パフォーマンス評価
- 10 小中連携,小中一貫
- Chapter2 [準備編]小学校外国語活動・外国語授業デザインの基礎・基本
- 1 小学校4年間を見通した指導計画の在り方と考え方
- 2 年間指導計画の立案と考え方,作り方
- 3 クロスカリキュラムの考え方
- 4 授業の組み立て方
- 5 学習指導案の書き方
- 6 教材研究,教材・教具の作成法
- 7 ティーム・ティーチングの在り方
- 8 模擬授業の在り方
- 9 校内研修の在り方
- 10 授業研究,公開授業の在り方
- Chapter3 [指導編]小学校外国語活動・外国語授業づくりの基礎・基本
- 領域別指導法
- 1 「聞くこと」の指導
- 2 「話すこと[やり取り]」の指導
- 3 「話すこと[発表]」の指導
- 4 「読むこと」の指導
- 5 「書くこと」の指導
- 6 文字の導入
- 7 「読むこと」「書くこと」の導入
- 場面別指導法
- 8 歌の指導
- 9 チャンツの指導
- 10 Small Talkの作り方
- 11 ペア・グループ活動の取り入れ方
- 12 音声の指導
- 13 ICT教材の活用法と視聴覚教材の利用法
- 14 特別な支援が必要な子どもへの指導法
- 15 ユニバーサルデザイン
- Chapter4 [実践編]小学校外国語活動・外国語の研究授業例
- 第3・4学年
- 1 語彙・表現の慣れ親しみを重視した授業例
- 2 子どもに考えさせることを重視した授業例
- 3 クリル(CLIL)を用いた授業例
- 4 プロジェクト学習を重視した授業例
- 5 英語で進めることを重視した授業例
- 6 子どもの発表を主体とする授業例
- 第5・6学年
- 7 語彙・表現の定着を図る授業例
- 8 子どもに考えさせることを重視した授業例
- 9 クリル(CLIL)を用いた授業例
- 10 プロジェクト学習を重視した授業例
- 11 「読むこと」を重視した授業例
- 12 「書くこと」を重視した授業例
- Chapter5 [資料編]小学校英語教師のための基礎知識
- 1 すぐに使えるクラスルーム・イングリッシュ250
- 2 英語教育重要キーワード70
- 3 小学校英語教育の歴史的変遷
- 引用・参考文献
はじめに
2020年4月より,小学校において,中学年では「外国語活動」が週1時間行われ,高学年では教科「外国語」が週2時間行われることとなった。これは,平成23年(2011年)度に日本で初めて「外国語活動」が教育課程に導入されたことに続く,歴史的な第二弾の出来事となる。しかし,これが,羊頭狗肉の格言のように,学習指導要領の中味は立派でも,実際に行われている授業の中味や子どもに身に付いている能力がさんざんなものであったら,見せかけは立派でも実体は違うと,社会や保護者,子ども達から非難を受けかねない。それを危惧して,この本を上梓することとなった。
本書は,理論編,準備編,指導編,実践編,資料編からなり,理論と実践の両立をめざして作成している。したがって,個人で英語教育の理念や哲学を知ったり,授業指導力を向上させるために読んだり,校内研修や都道府県,市町村での研修のテキストとして活用したり,大学の教科教育法「外国語」や教科「外国語」の授業での指導書や教科書として使用したりしていただければと思っている。もちろん,本書を研修や自己啓発に使用したりしていただくだけでなく,小学校英語教育の歴史書としてもお読みいただけるものと思っている。
私ごとになるが,大阪の高校で毎日生活指導に走り回っていた教員の頃,たまたま入会した英語授業研究学会の会長で,当時,近畿大学の教授であった樋口忠彦先生(日本児童英語教育学会顧問)及び高橋一幸先生(神奈川大学教授)の勧めで,日本児童英語教育学会(JASTEC)に入会し,初めて小学校の英語教育に触れることとなった。それ以降,大阪府教育委員会では,小学校英語教育に関わる文部科学省の研究指定校の担当をし,大阪府教育センターでは幼小中高全ての校種での英語教育の担当となり,文部科学省では教科調査官として,日本で初めての英語導入の任を任された。そして,今では,大学で小学校及び中学校での英語指導の在り方を学生に伝えている。この間,約30年。様々な現場(幼稚園,小学校,中学校,高等学校,大学)や行政(教育委員会,文部科学省),民間(教育関係会社等),法人(行政法人,社団法人等)を見聞きし,そして,多くの方々とお会いし,様々な情報をいただき,少しでも日本の英語教育が良い方向に向かうように努力を重ねてきたつもりである。
本書は,このような経験をもとに,子どもが一人でも英語を好きになり,先生方も英語の指導が苦にならないように,細心の注意を払い,表も裏も隠さずに全てを記したつもりである。
本書をご活用いただき,日本の子どもたちの英語嫌いを一人でも減らし,先生方の授業も楽しく,毎日の授業の元気の素となるような本になることを期待してやまない。そして,いつか,本書が小学校の先生方のバイブルだったと語られる日が来ることを願っている。
2019年3月 /菅 正隆
本書P111で、「書く」指導の際に、四線が全て等しいものを使うようにと書かれてありました。採用された教科書は、二線と三線の間隔が広いものでした。
等間隔の線がよい理由と、実際の授業で使用している四線との折り合いをどうつけたらよいか、教えて頂けたら幸いです。