- はじめに
- Part1 ベテラン養護教諭を目指す上での3つのポイント
- 01 「一人前」から一歩先に出た養護教諭へ
- 02 ベテラン養護教諭への3つのポイント
- Part2 職務別 スキルアップガイド
- 保健室経営
- 01 毎日の日常業務を疑うところから始める
- 02 日常業務の分析や研究を生かして保健室経営計画を改善する
- 03 校区を視野に入れて保健室経営計画を立てる
- 04 専門雑誌や論文を批判的に読む
- 救急処置
- 05 目の前のケガの救急処置だけで終わらせない
- 06 教職員・保護者に向けた救急法等の研修会を実施し,評価する
- 07 加害・被害の関係性の把握と配慮を心がける
- 08 自分自身のフィジカルアセスメント能力を向上させる
- 健康診断
- 09 スムーズな実施で有意義な健康診断を行う
- 10 健康診断を通して子どもに身に付けさせたい力を明確にする
- 11 子どもの興味・関心を高める健康診断を企画する
- 12 健康診断結果から健康課題を考える
- 13 生涯を通して健康診断を継続する意義や重要性を伝える
- 14 健康診断の事後措置を保護者に促す工夫をする
- 健康相談
- 15 保健室登校の子どもを家族も含めて対応する
- 16 相談の背景にDVや虐待があるのではと疑い対応する
- 17 個別の健康相談を集団への健康教育に結び付ける
- 環境衛生
- 18 日常生活の困りごとから学校環境衛生を見直す
- 19 児童・生徒や教職員が学校環境衛生に興味をもつような工夫をする
- 20 学校環境衛生検査の結果から改善や修繕を提案する
- 疾病予防・管理
- 21 安全と学校生活を両立させる支援をする
- 22 子どもの感染症の状況を判断し,健康教育を行う
- 23 子どもが自らの健康課題を理解し,取り組む方法を提案する
- 安全管理
- 24 学校における安全管理・事故防止を考える
- 25 事故発生時に迅速な判断をして最善の対応をする
- 26 学校におけるリスクマネジメントとは
- 27 安全な学校環境を提供する
- 保健教育
- 28 実態・課題から,児童・生徒の目指す姿を明確にする
- 29 行動変容につなげることを意識する(科学的根拠・健康行動理論)
- 30 行動を学校生活の中に定着させ,習慣化するための工夫をする
- 31 実施した保健教育を振り返り,評価する
- 32 子どもの心をつかむ教材・方法を使う
- 保健組織活動
- 33 保健組織活動の全体を俯瞰し,コーディネートする
- 34 学校保健委員会を保健活動活性化の起爆剤にする
- 35 メンバーを適材適所に配置する
- ケースマネジメント
- 36 ケースマネジメントの意味を考える
- 37 支援を「見える化」する
- 38 子どもの発達に応じた支援を見通す
- 39 スクールソーシャルワーカー(SSW)を活用する
- Column 逆境的小児期体験が将来に与える影響
- 自己研鑽
- 40 バージョンアップし続ける
- 41 実践を振り返りながら力を付ける
- 42 新しい仕事・異動先では常に自ら学び続ける姿勢をもつ
- おわりに
- 執筆者紹介・執筆協力
はじめに
「なんかうまくいかなくて」
そういった悩みを相談されることが増えた,養護教諭歴20年超えの中村です。相談があるたびに立ち止まり,自分の経験と仲間をフル活用して,「かっこいいアドバイスではなく,本気の助言」を心がけてきました。「なんかうまくいかない」という言葉は,「うまくやりたい」という気持ちの裏返しですよね。さらに,この「なんか…」と言ってくる世代は5年目ぐらいの人が多い,というのが私の実感です。なぜ,5年目ぐらいなのか。私の解釈はこうです。初任者の頃は「がむしゃら」で目の前にあるやらなければならないことをひたすらやっている,ある意味「素直」な状態。でも,5年目になると違います。一通り仕事ができるようになり,「一人前」と言える。周りも仕事も見えてくるようになる。反面,自分の癖(やり方)もでてくる。がむしゃらではなく,「予想しながら仕事ができる」ようになる分,「なんか…」という「もやもや」が見えてくるのです。
本書には「ヒント」や「視点」を満載しています。本書を読み,これまでを反芻して,新たな視点を取り込める,そんなきっかけとなる本です。この中でこれまでの「もやもや」が晴れれば,そこには新しい景色が見えてきます。
つまり,「もう一人前だね」と言われている,だけれど,「なんか…」に悩むあなたに贈るぴったりの本です。
本書に携わるスキルラダー研究会:SLIPER(すりっぱ)のメンバーは猛者ぞろいと自負しています。メンバーは,現職養護教諭もしくは養護教諭経験のある大学教員であり,養護教諭の現場,リアルに向き合っている分,「本気の助言」ができます。「子どもの現代的健康課題」という言葉にあるように、社会情勢や保健医療の進歩、家庭の養育力等の変化に伴い、養護教諭に期待される役割は大きくなるばかりです。期待される役割に押し潰されそうになることだってあります。でも,皆さんは一人ではありません。学校では一人だと感じるかもしれませんが、全国に仲間がいます。何か「もやもや」にぶつかったとき、この本を思い出してください。
「もやもや」を聞く度にそれが自分の仕事を振り返るきっかけとなり、自分自身の学びを止めないことに役立っていると実感しています。養護教諭の仲間に感謝です。
「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければみんなで進め」
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)
こんなアフリカの諺があります。私たち養護教諭にぴったりの言葉と思いませんか!
2022年8月 編集代表 /中村 富美子
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- 明治図書