- まえがき
- 本書の使い方
- 第1章 教室環境づくりのヒント&ステップ
- ヒント1 教室環境づくりのねらいを明確にしよう
- ヒント2 学級活動と教室環境づくりを連動させよう
- ヒント3 教室環境の主役を生徒にしよう
- ヒント4 季節や学校行事と関連させよう
- ヒント5 学びが見えるレイアウトを考えよう
- ステップ1 整備計画を立てよう
- ステップ2 事前準備をしよう
- ステップ3 学活を利用して取り組もう
- ステップ4 キャリア教育に生かそう
- ステップ5 保護者・他学級へ発信しよう
- 第2章 通年掲示&教室コーナー
- 通年掲示
- 実例1 学級のきまり
- 実例2 毎週(毎日)の目標と掲示物のリンク
- 実例3 掲示物にユニバーサルデザイン
- 実例4 必ず通る場所でイベント告知
- 実例5 給食準備が素早くなる掲示物
- 実例6 掃除でホテル風メッセージ
- 教室コーナー
- 実例1 クラスの歴史がわかる!スナップ写真コーナー
- 実例2 成長がひと目でわかる!集合写真コーナー
- 実例3 司会が必ず顔を上げる!式次第コーナー
- 実例4 活発な発言につながる!学級会コーナー
- 実例5 学級を見える化する!学級のデータコーナー
- 実例6 主体性が育つ!教科連絡コーナー
- 実例7 議論が広がる!道徳コーナー
- 実例8 新鮮な気持ちになる!季節のコーナー
- 実例9 毎日が楽しみになる!カウントダウンコーナー
- 実例10 がんばりが伝わる!部活動コーナー
- 実例11 やる気がアップする!進路コーナー
- 第3章 365日の教室環境&活動アイデア
- 4月
- 実例1 ピクチャ―コラージュで自己紹介
- 実例2 入学・進級の決意のはがき新聞
- 実例3 見栄えバッチリの立体的掲示物
- 実例4 1人1役の省エネ掲示物
- 5月
- 実例5 学級に誇りをもてる学級目標
- 実例6 旅の意義を振り返るはがき新聞
- 実例7 学級力向上プロジェクト始動
- 6月
- 実例8 学級マスコットコンテスト
- 実例9 夏休みまでの学級力アップキャンペーン
- 7月
- 実例10 願いを込める七夕飾り
- 実例11 わくわくを共有する夢マップ
- 実例12 学級通信タイトルコンテスト
- 8・9月
- 実例13 夏休みの思い出絵日記
- 実例14 マンネリ化を防ぐ個人目標
- 実例15 気持ちを高める合唱カード
- 実例16 夢をつなげるマインドマップ
- 10月
- 実例17 係に誇りがもてる掲示物コンテスト
- 実例18 みんなで作る高校の口コミコーナー
- 実例19 誘惑撃退&悪魔のささやき
- 実例20 社会とつながるはがき新聞
- 11月
- 実例21 黒板アートでおもてなし
- 実例22 今年の内に学級力アップキャンペーン
- 12月
- 実例23 サンタさんへの手紙
- 1月
- 実例24 ゴールを意識させる冬の絵日記
- 実例25 はがき新聞で最後の意気込み
- 実例26 夢を目標に変えるマンダラ夢マップ
- 実例27 朝でもいつでも面接練習
- 2月
- 実例28 節分で心の中の鬼退治
- 実例29 はがき新聞で未来を予想
- 実例30 笑顔になるカウントダウンカレンダー
- 3月
- 実例31 感動を深める寄せ書き
- 実例32 学級じまいに学級通信を全号掲示
- あとがき
まえがき
平日に生徒が1日の中で最も長い時間を過ごす場所は,家庭の居間や自分の部屋ではありません。学校の教室です。だからこそ,教室の環境次第で,生徒の心の在り方は大きく変わります。私は教室を最高の教材と捉えて,生徒にとって望ましい空間にするための工夫を図ってきました。本書では,その工夫を具体的に紹介します。
学級経営の1つとして,教室の環境整備は欠かせません。そのため,教室環境づくりに関しては,先生方の創意工夫の基で多様な実践が行われていることでしょう。ただし,どのように教室の環境づくりを進めるかについては担任の裁量に任せられるため,差異が大きいのも事実です。また,経験や慣習に沿った実践が多く,教室環境づくりの理論化が十分に進んでいるとは言い難い状況です。先行実践を見ても,書籍になっているものは決して多くありません。さらに,小学校の実践書ばかりで,中学校の教室環境だけを1冊にまとめた本は,管見の限り確認できていません。
そこで,本書は中学校における掲示などの教室環境の工夫を,豊富な実例と学習展開案を基に紹介します。もちろん,校種を問わずに実践のヒントになる内容も含まれています。紹介する実践のキーワードは「学級活動との連動」と「可視化」です。
学級活動との連動に関わっては,教室環境というと教師や有志の生徒が放課後の活動で整えていくイメージが強いと思います。そこで,本書では学級活動の中で行う教室環境づくりの方法を提案します。学級活動としての目標を明確に定め,「主体的・対話的で深い学び」を取り入れた学習展開によって教室環境づくりを進めることで,生徒はよりよい学級をつくろうとする意識を高めます。それが,さらなる活動意欲の喚起につながります。ただの掲示物の実例集ではなく,学級活動と教室環境を関連付けた包括的な学級経営の実践書であると考えています。
もう1つのキーワードである「可視化」については,生徒が学んだ成果や集団としての成長の姿が教室内に記録として残り,作品として表現されるような実践を紹介しています。生徒が努力の状況を客観的に振り返ること(いわゆるメタ認知)ができるように,教室環境づくりを進める方法を紹介します。また,自分の活躍が認められることでの自己肯定感の向上や,集団の一員として役割を果たすことでの自己有用感の獲得,仲間と認め合うことでの支持的風土の醸成など,教室環境の工夫による効果は様々です。それらの効果を生み出すための実践例を4月の学級開きから3月の学級じまいまで掲載しています。
教室環境づくりを進めると,教室がただの「場所」から生徒にとってかけがえのない「居場所」へと変わります。手にとった先生方にとって,本書がよりよい学級づくりや生徒がいきいきと過ごす教室づくりに役立つような1冊となれば幸いです。
2020年2月 /川端 裕介
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