- はじめに
- 第1章 準備編 成功する初任者指導のための要点
- 1 初任者指導前の心構え4
- (1)指導がうまく伝わらない
- (2)失敗例でみる初任者指導のあり方
- (3)初任者が陥る悩みを把握する@
- (4)初任者が陥る悩みを把握するA
- 2 初任者指導の心構え4
- (1)1年間を何とか終えさせる指導をする
- (2)押しつけず,無理をせず,育てていく意識を持つ
- (3)うまくいく初任者指導とは?
- (4)教師生活を見通して教える
- 3 押さえておきたい初任者の傾向
- (1)「仲良し友だち先生」になろうとする
- (2)子供たちとの「関係づくり」を踏まえない
- (3)「自分は教師に向いていない」と考えるようになる
- (4)最初から「授業をどうするか」だけを考えている
- 第2章 指導編 3STEPでうまくいく初任者指導の基礎・基本
- 1 STEP1 最初に押さえる「教師の仕事」の基礎・基本7
- (1)仕事は,ノート1冊で始める
- (2)指示―確認―フォロー
- (3)まねて,まねて,学ぶ
- (4)社会人としてのマナーを身に付ける
- (5)同僚の先生との信頼関係をつくる
- (6)保護者との人間関係をつくる
- (7)仕事のけじめをつける(働き方を教える)
- 2 STEP2 初任者に伝えたい「学級づくり」の基礎・基本6
- (1)まず「教室の一日」をつくる
- 資料1 図解でわかる!教室の一日
- (2)4月の「学級づくり」で1年間が決まる
- (3)「縦糸・横糸」張りで関係づくりをする
- (4)ここが肝心!給食指導
- (5)ここが肝心!掃除指導
- (6)「ルールづくり」で教室を軌道に乗せる
- 資料2 目標達成法の実践
- 3 STEP3 必ず身に付けさせたい「授業づくり」の基礎・基本10
- (1)テンポのある授業で「空白の時間」をつくらない
- (2)初任者が陥る「問題授業」事例3
- (3)「間延び授業」を克服する
- (4)「おしゃべり授業」を克服する
- (5)「挙手指名型授業」を克服する
- (6)「一時に一事の原則」を使えるようにする
- (7)フォローを使う
- (8)「授業規律」を身に付ける
- (9)「分割授業」で学力をつける
- (10)「一人研究授業」で授業の腕を上げる
- 第3章 実践編 「1ヶ月のシナリオ」でみる初任者指導
- 1 1ヶ月だけの初任者クラスの訪問
- 2 初任者指導1ヶ月のシナリオ
- (1)1日目 徹底してまねる
- (2)2日目 指示を出したら必ず確認する
- (3)3日目 今,何を,どうすべきかを見極める
- (4)4日目 時間を守る
- (5)5日目 給食指導の重要性を認識する
- (6)6日目 何事も謙虚に学ぶ
- (7)7日目 学級づくりの基礎を固める
- (8)8日目 指導書に引きずられない
- (9)9日目 黙ること,待つことで静かにさせる
- (10)10日目 当番活動は確実にやらせる
- (11)11日目 授業時間を確保する
- (12)12日目 教科書を使って堂々と授業をする
- (13)13日目 空白の時間をつくらない
- (14)14日目 テンポのある授業をする
- (15)15日目 横糸を張る(心の通じ合い)
- (16)16日目 教師は役者であれ
- (17)17日目 国語,算数は,分割授業で行う
- (18)18日目 何事にも誠実に向き合う
- (19)19日目 説明文は読解トレーニングで行う
- (20)20日目 3つの条件で子供を活動させる
- (21)21日目 基礎・基本を押さえる
- (22)22日目 〈まとめ〉1ヶ月を振り返る
- 3 スタート時,初任者がどこで戸惑うのかを押さえる
- おわりに
はじめに
きっとあなたは,初任者をりっぱに育てようという思いで,この本を手にとってくれたに違いない。
前向きなあなたには悪いが,現状の初任者指導は,うまくいっているとはとても言えない。
指導の先生と初任者との「すれちがい」が起こっている。
指導の先生が張り切れば張り切るほど,その「すれちがい」が数多く起こっている現状がある。
何が,その「すれちがい」を起こすのか。
それを私たちは,前向きなあなたにぜひとも伝えたいという思いで,この本を出版することにした。
「すれちがい」は,ほとんど初任者への対応になる。
その「すれちがい」は,指導の先生たちが,授業の指導ばかりに偏っていくことにあると,私たちは結論づけている。
この初任者指導が始まって30年ばかりになるが,当初は,授業の指導中心で十分成り立っていたはずである。
しかし,現在の学校現場は,それではほとんど成り立たない。
子供たちが変わったのである。
以前は,学級に集う子供たちは,最初から「仲間」意識があった。今は,ただの「群れ」状態。
以前は,先生に対しても,きちんと「教師」として尊重する意識があった。今は,「ただの大人」状態。
だから,学級担任になったら,まず「群れ」の状態を,「仲間」意識のある集団に変えなければならないし,「ただの大人」の状態を,「教師」に意識改革させなければならない。
そのためには,まず最初に必要になるのが,「学級」づくりなのである。
土台である「学級」をしっかりつくることが,何よりも必要になったのである。
いずれにしても,このことは初任者だけのことではなく,すべての学級担任に求められている。
これからの初任者指導は,「学級づくり」→「授業指導」の流れを意識しなければならない。もちろん,この2つは,同時進行になるが,重点指導はこの流れになる。
現在,学校現場は大きな曲がり角にさしかかっている。
学生が,教師を目指さなくなっている。それに加えて,教員養成系の学生でも,その多くが教師を目指さなくなり,他の企業に流れていっている。このままいけば,学校は,教師のなり手がいないという現実の前で存亡の危機を迎えるはずである。
こんな中でも,なおも「学校の教師になろう」と志してくる初任者たちがいる。
だからこそ,指導の先生たちの役割がなお一層増していると,私たちは強く認識している。
学校現場は,初任者のフォローをきちんとできないほどに,雑多の忙しさに振り回されている。指導の先生がいなければ,初任者が放置されていく学校現場もあるはずである。
この初任者を1年間で教師として自立していけるように育ててほしい。
これは,これからの学校の希望の光に通じる。
そのためにこそ,本書の中で繰り返し登場する「すれちがい」を克服してほしいと願っている。エールを送りたい。
2020年2月 /野中 信行
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