- はじめに
- 01 理想のリーダー像を思い描け
- 02 学校の「顔」と自覚せよ
- 03 職責の重さを叩き込め
- 04 子どもを知る努力を怠るな
- 05 絶対に偉ぶるな
- 06 尋ねることを恥と思うな
- 07 影響力の大きさを自覚せよ
- 08 安心感を与えよ
- 09 職場で「弱み」を見せるな
- 10 陰口は絶対に言うな
- 11 むやみに前に出るな
- 12 「嫌われ仕事が8割」と覚悟せよ
- column 校長の「イス」の重さ
- 13 平時は早く退勤せよ
- 14 あいさつは丁寧を心がけよ
- 15 進んで雑務を遂行せよ
- 16 校長室に籠るな
- 17 教頭との関係を重視せよ
- 18 教頭を下僕にするな
- 19 苦手な人にこそ笑顔で近づけ
- 20 反論や批判を重んじよ
- column 自分の心と闘う
- 21 思い通りになると考えるな
- 22 感情を露わにするな
- 23 職員の立場で考えよ
- 24 共感力を高めよ
- 25 感動はためらわずに伝えよ
- 26 学校だよりは「人」を伝えよ
- 27 職員の力を集結せよ
- 28 「ボトムアップ」のリーダーを目指せ
- 29 職員の特性を把握し生かせ
- 30 「やる気」を応援せよ
- 31 指示や助言は具体策を示せ
- 32 叱りには細心の注意を払え
- 33 評価は仕事を基準にせよ
- 34 人事には誠心誠意を尽くせ
- column 「構える」大切さを教わる
- 35 トラブル事案はすべて把握せよ
- 36 先手を打って動け
- 37 トラブルにはとことん付き合え
- 38 「最後の砦」意識を持て
- 39 危機管理意識を保ち続けよ
- 40 余裕を持って物事を俯瞰せよ
- 41 場当たり的な決断はするな
- 42 決断は「本質」を見極めよ
- 43 職員に「教育」を語れ
- column 学び続けることの大切さ
- 44 校長を演じ切れ
- 45 孤独に慣れよ
- 46 人に求めることを率先して行え
- 47 職員と関わる機会を積極的につくれ
- 48 根回しを怠るな
- 49 行事にはこまめに顔を出せ
- 50 来客への礼儀を欠くな
- 51 地域と保護者を味方につけよ
- column 小さな応援から大きな力をいただく
- 52 教育委員会とパートナーシップを築け
- 53 校長仲間のつながりを大切にせよ
- 54 自分の長短所を熟知せよ
- 55 講話の力量を高めよ
- 56 交渉術を身に付けよ
- 57 レジリエンスを高めよ
- 58 感謝の心で日々を過ごせ
- 59 「教師」であることを忘れるな
- 60 校長職の意義を問い直せ
- column 去り際を考える
- おわりに
はじめに
学校長を拝命した瞬間から、あなたは「校長」として、同じ職場で働く職員や学校に通う子どもたち、保護者や地域の人々の前に立つことになります。そして、学校の最高責任者として学校の舵取りを担うリーダーとしての仕事がスタートします。校長になった今、あなたは何を思うのでしょう。理想の学校づくりに対する期待感でしょうか。それとも、学校の長としての責任の重さに対する緊張感でしょうか。いずれにしても、トップリーダーとして学校づくりを牽引することに対する周囲の期待や責任の大きさは、これまで経験してきた役割とは比べ物にならないほど大きなものです。もしかすると、重圧を感じてしまい、校長になったことを諸手を挙げて喜ぶことのできない人もいるかもしれません。
特色ある学校づくりや、GIGAスクール構想などで方向性を示し、実現するための具体的なカリキュラムマネジメントについては、校長のリーダーシップが必要不可欠であり、校長に対する周囲の期待は想像以上に高まっています。また、子どものトラブル対応や保護者対応などで、学校代表である校長が相当厳しい状況に追い込まれる事案が増えています。働き方改革や教育改革の推進によって、職員との軋轢に苦慮する校長も少なくないと聞きます。「教職はブラック」という世間の評価が教師不足を招き、全国の校長の頭を悩ませています。「わざわざ辛い思いをして、身を削ってまで校長になるメリットがどこにあるのか」と考える人が増えるのも仕方ないことなのかもしれません。
管理職への道を避ける傾向は、決して教育界だけではありません。最近では、社会全体で管理職になることを避ける傾向が顕著になっています。確かに、何かトラブルが起きれば、管理職が責任を負うことになります。何が起こるか予測不可能な時代にあって、責任を負うリスクを避けたいと考える人が増えるのも理解できます。子どもが楽しい学校生活を送ることができないのは、校長の学校経営に問題がある。いじめや事故などのトラブルが頻発するのは、校長の力量不足が原因。そのように評価されるのが、最高責任者としての校長という立場ですから……。
しかし、相応の責任を負わなければ、仕事において大きな充実感を手に入れることはできません。「校長は、校務をつかさどり……」(学校教育法第37条第4項)とある通り、確かに負うべき責任は重大ですが、学校の運営上のすべてを託されているという大きな権限が校長には与えられています。職員を変え子どもを変え学校を変えることができるのは、校長のリーダーシップです。
小著では、校長になれば誰もが経験するであろう場面を取り上げながら、どのような姿勢で取り組めば、やりがいと充実感を持って校長職に取り組むことができるのかを考えてみました。管理職を避ける人が増えている教育界にあって、トップリーダーとしての責任を果たしながら、学校教育に真摯に取り組む覚悟を決められた校長先生方に対して、私のつたない経験がお役に立つことがあれば、これほど光栄なことはありません。
全国の校長先生方。校長という、大きなやりがいを得ることのできる立場にいることに対して、誇りと喜びと期待感をしっかりと味わいながら、毎日の仕事に充実感を持って取り組もうではありませんか。
令和四年十月 /中嶋 郁雄
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- 明治図書
- 学校関係者ではないが、管理職の心構えが確認できてよかった。2023/3/340代・会社員