- はじめに
- 1章 ツール&ICTを使えば必ずできる! 「考え,議論する道徳」の授業づくり
- 考え,議論するためのツールの必要性とICTの活用
- ツール&ICT活用の面白さ・楽しさ
- 2章 活用方法がすぐわかる! 考えるツール&議論するツール&ICT
- 考えるツール
- ウェビング
- 座標軸(マトリクス)
- ランキング
- ベン図
- スケール
- Xチャート・Yチャート
- 熊手チャート
- データチャート
- クラゲチャート
- ピラミッドチャート
- バタフライチャート
- キャンディチャート
- フィッシュボーン
- コンセプトマップ
- 心情円
- 円チャート
- 同心円チャート
- PMIシート
- フローチャート
- 議論するツール
- 付箋によるKJ法
- 聴き合い活動(シェアリング)
- ビンゴ
- 宿題の活用(事前学習)
- 宿題の活用(事後学習)
- 議論班
- トーキングサークル
- 役割取得
- ペアトーク
- ディベート
- コミュニケーション用ボード
- ICT
- Google Jamboard(ジャムボード)
- Google Meet
- Google フォーム
- Google スプレッドシート
- SKYMENU Class ポジショニング
- SKYMENU Class 発表ノート・SKYMENU Class マッピング
- ロイロノート・スクール
- Microsoft Teams
- 3章 考えるツール&議論するツール&ICTでつくる新授業プラン
- 事例1(内容項目 C-(11)公正,公平,社会正義) スケールを活用した授業―ずるい?ずるくない?(1年生)―
- 事例2(内容項目 A-(1)善悪の判断,自律,自由と責任,B-(6)親切,思いやり) Google フォーム・19の心を活用した授業―でんごんツバン(2年生)―
- 事例3(内容項目 A-(2)正直,誠実) 心の数直線を活用した授業―お月さまとコロ(2年生)―
- 事例4(内容項目 B-(6)親切,思いやり) サークルタイムを活用した授業―くりのみ(2年生)―
- 事例5(内容項目 C-(10)規則の尊重) Google Jamboardを活用した授業―黄色いベンチ(2年生)―
- 事例6(内容項目 C-(16)国際理解,国際親善) 熊手チャートを活用した授業―日本のお米,せかいのお米(2年生)―
- 事例7(内容項目 D-(19)感動,畏敬の念) Google画像検索を活用した授業―きらきら(2年生)―
- 事例8(内容項目 A-(3)節度,節制) テキストマイニングを活用した授業―いっしょになって,わらっちゃだめだ(4年生)―
- 事例9(内容項目 A-(5)希望と勇気,努力と強い意志) 心情曲線・スケーリングを活用した授業―花丸手帳〜水泳・池江璃花子選手(4年生)―
- 事例10(内容項目 B-(9)友情,信頼) スケールを活用した授業―絵はがきと切手(4年生)―
- 事例11(内容項目 C-(13)勤労,公共の精神) 同心円チャートを活用した授業―「もっこ」をせおって(4年生)―
- 事例12(内容項目 C-(16)伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度) ランキングを活用した授業―浮世絵―海をわたったジャパン・ブルーー(4年生)―
- 事例13(内容項目 A-(1)善悪の判断,自律,自由と責任) PMIシートを活用した授業―アップするの?(5年生)―
- 事例14(内容項目 C-(14)勤労,公共の精神) クラゲチャートを活用した授業―おくれてきた客(5年生)―
- 事例15(内容項目 C-(12)規則の尊重) フローチャートを活用した授業―図書館はだれのもの(5年生)―
- 事例16(内容項目 C-(16)よりよい学校生活,集団生活の充実) AIAIモンキーを活用した授業―最後のリレー(5年生)―
- 事例17(内容項目 C-(13)公正,公平,社会正義,C-(16)よりよい学校生活,集団生活の充実) 発表ノートを活用した授業―だれかをきずつける機械ではない(5年生)―
- 事例18(内容項目 A-(2)正直,誠実) Google フォーム・Google Jamboardを活用した授業―手品師(6年生)―
- 事例19(内容項目 C-(14)勤労,公共の精神) 心情メーカーを活用した授業―母の仕事(6年生)―
- 事例20(内容項目 C-(17)伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度) KJ法・クラゲチャートを活用した授業―ふるさとの音―残したい音風景―(6年生)―
はじめに
今,全国の先生方がICTを使った道徳科の授業の工夫に取り組んでいます。ICTを使って「考え,議論する道徳科の授業をどうやってつくることができるか」――そのことに今,全国の小学校の先生方が,頭をひねっています。
本書には,その先進的な試みの成果が示されています。本書には,ICTを使った「考え,議論する道徳科の授業」の様々な試みの具体例がふんだんに示されています。
そう,ICTを使うと,あきらかに道徳科の授業はよくなります。
ICTには,一言で言うと,「見える化」と「共有」がしやすい,という大きな利点があります。ICTと「考え,議論する道徳科の授業」は相性がよいのです。その様々な工夫のしどころが本書には示されています。
では,ICTを使って「考え,議論する道徳科の授業」をどのようにつくることができるでしょうか。そのポイントは何でしょうか。
そのキーポイントとして,私たちが行いたい提案は「ツールを使おう!」というものです。
「考えるツール」とは,例えば,そのワークシートに沿って書き込んでいくだけで,子どもがおのずと,様々な視点から多角的に考えていくことができるような工夫がなされているツール,そればかりか,おのずとそのように考えていかざるを得ないような工夫がこらされたツールのことです。
「議論するツール」とは,例えば,そのやり方にしたがって,子どもたちの考えを整理していくだけで,おのずと,子どもたちの話し合いがより多角的なものとなり,深まっていくような,そんなツールのことです。
「ICTで見える化・共有しながら,この2つのツール(考えるツール・議論するツール)を使えば,普通の力量の普通の教師の誰もが,『考え,議論する道徳科の授業』の名手になることができる。しかも自然に!」
これが私たち千葉グループ(千葉大学の土田雄一先生,諸富などを中心にした新しい道徳授業づくりの研究会)の提案です。このグループでは,既に約20年以上にわたって(!)今で言う「考え,議論する」タイプの新しい道徳科の授業を開発し,創造してきたのです。
「子どもが主体的に自分で考え」「十分に話し合い」「その中で自分の考えをさらに深めていく」という授業は,「力量のある優れた教師」であれば,もう何十年も前から,ずっと行ってきたことです。
逆に,あまり力のない先生は,例えば,道徳科の授業でも,それまでの子どもたち同士の話し合いのプロセスをほとんど無視して,「ところで,○○さんはどんな気持ちで……」「あなたが親切にしたいと思うのは」と半ば強引に授業を予定していた方向に引っ張っていくのが常でした。
これでは,子どもたちが「真剣に考えるのは馬鹿馬鹿しい」「先生がどのような方向に授業を進めようとしているのか,それを推測して,それに沿うように発言しなくては」……このように思うようになるのも当然のことです。
では,「特別な力量のある教師」でなければ,「自分で考え,議論を重ね,その中で自分の考えが深まっていくような道徳科の授業」を行うことは不可能なのでしょうか。
子どもたち一人ひとりが「自己との対話」を深めていき,それを「他者との対話」によってさらに深化させていく,という肯定的な循環のある授業を行うことはできないのでしょうか。
「特に思考を深めさせる力も,話し合いを深めさせる力ももっていない平凡な教師は,やはり,主体的で対話的な道徳科の授業を行うことなどできない」とあきらめざるを得ないのでしょうか。
私たちの答えはノー! です。
「ほんの少しの工夫さえすれば,平凡な教師でも,自分で考え,議論するタイプの道徳科の授業を行うことはできる」
「自分と対話し,他者と対話することでさらに自分との対話を深めていくような,そんな授業は,誰にでも,できる」
私たちは,そう,思っています!
しかも,ICTで「見える化」「共有」しながら進めていくと,そういう授業はさらにつくりやすくなるのです。
「考えるツール」「議論するツール」は,ただ,それを使うだけで,授業の名人の発問によって子どもたちが導かれていくような思考をし,話し合いを行うことができるような工夫が,既に仕掛けられています。
ただ,そのツールを使って授業を進めていくだけで,子どもたちが自分で考え,話し合いを重ねていく中で自分の考えを深めていくことができるような,そんな授業ができる教師になっているはずです!
これさえあれば,百人力。
明日からあなたは,名人級の道徳科の授業ができるようになるはずです!
ICTを使った「考え,議論する道徳科の授業」の名手になりましょう!
/諸富 祥彦
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- 明治図書
- もっともっとツールを紹介して欲しいくらいです。2023/3/2650代・小学校管理職