- はじめに
- それ,荒れにつながっているかも!? 時期別 子どもとの「関わり方」チェックリスト
- 序章 時期別の「荒れる要因」を押さえよう!
- 1 荒れる要因をもつ学級とは?
- 2 荒れを生み出す教師の関わりとは?
- 3 荒れには時期別の要因がある
- 4 時期別の要因を押さえて,学級を立て直す!
- 1章 4月からの学級立て直し―荒れを引きずる学級の担任になったら―
- 4月からの荒れのメカニズム
- 4月からの学級立て直しガイド
- 1 グループの固定が広がっていませんか?
- 2 挨拶をしても無視をする子どもがいませんか?
- 3 係や当番活動を全くしない子どもがたくさんいませんか?
- 4 すぐにキレる子どもがいませんか?
- 5 授業中に無気力な態度が見られませんか?
- 6 やたら教師に注文を押しつける子どもがいませんか?
- 7 家庭連絡を極端に嫌う子どもがいませんか?
- 8 保健室にたむろする子どもがいませんか?
- 9 孤独さを感じている子どもがいませんか?
- コラム 4月,荒れを引きずる学級の担任になったときの心構え
- 2章 6月からの学級立て直し―「魔の6月」に直面したら―
- 6月からの荒れのメカニズム
- 6月からの学級立て直しガイド
- 1 休み時間のおしゃべりが止まらない子どもがいませんか?
- 2 学級のルールが守られなくなっていませんか?
- 3 教室が乱雑になってきていませんか?
- 4 忘れ物が多くなってきていませんか?
- 5 授業中に目線が合わない子どもが増えていませんか?
- 6 授業中の発言が少なくなっていませんか?
- 7 ほめられてもうれしそうにしない子どもがいませんか?
- 8 「教室に入りたくない」という子どもがいませんか?
- 9 級友への不満を告げにくる子どもがいませんか?
- コラム 「魔の6月」に直面したときの心構え
- 3章 9月からの学級立て直し―夏休み明けに違和感をもったら―
- 9月からの荒れのメカニズム
- 9月からの学級立て直しガイド
- 1 授業準備ができない子どもがいませんか?
- 2 行動の切り替えが遅くなってきていませんか?
- 3 給食当番や掃除当番の仕事がおろそかになっていませんか?
- 4 宿題がいい加減になっていませんか?
- 5 授業中の私語が多くなっていませんか?
- 6 やたらハイテンションな子どもがいませんか?
- 7 言葉遣いが雑になってきていませんか?
- 8 休み時間にひとりぼっちの子どもがいませんか?
- 9 授業中のコミュニケーションがとれなくなっていませんか?
- コラム 夏休み明けに違和感をもったときの心構え
- 4章 11月からの学級立て直し―「11月危機」に直面したら―
- 11月からの荒れのメカニズム
- 11月からの学級立て直しガイド
- 1 リーダー格の子のイライラが雰囲気を悪くしていませんか?
- 2 教師への文句が増えていませんか?
- 3 役割を拒否する子どもがいませんか?
- 4 集団を避ける子どもがいませんか?
- 5 授業妨害をする子どもがいませんか?
- 6 許し合えなくなっていませんか?
- 7 けんかが増えていませんか?
- 8 いじめが起こっていませんか?
- コラム 「11月危機」に直面したときの心構え
- 5章 2月からの学級立て直し―学級じまい直前でつまずいたら―
- 2月からの荒れのメカニズム
- 2月からの学級立て直しガイド
- 1 授業が成立しなくなっていませんか?
- 2 行事の練習をしない子どもがいませんか?
- 3 非建設的な意見が学級全体に広がっていませんか?
- 4 学級への信頼をなくしている子どもがいませんか?
- 5 自分勝手なルールで行動する子どもがいませんか?
- コラム 学級じまい直前でつまずいたときの心構え
- 6章 年度途中からの学級立て直し―荒れた学級を引き継いだら―
- 年度途中で荒れた学級を引き継ぐポイント
- 年度途中からの学級立て直しガイド
- 1 投げやりな気持ちの子どもがいませんか?
- 2 やたら前担任と比べてくる子どもがいませんか?
- 3 教師を試してくる子どもがいませんか?
- 4 グループ別に遊びに誘われていませんか?
- 5 集中力が持続しない子どもがたくさんいませんか?
- おわりに
- 引用・参考文献一覧
はじめに
「6月」「9月」「11月」「2月」が,1年間で学級が荒れやすい時期として取りざたされることがあります。しかしそれは,その時期になって急に起こるわけではありません。
それまで蓄積されてきた教師と子どもの意識のズレに対して子どもの不満が溜まっていき,それに教師が気づかないでいる状態のときに,教師の関わり方のまずさが引き金となって荒れが顕在化するのです。
では,ズレとは何なのでしょうか。ここでいうズレとは,教師が子どもに求めるものと,子どもが教師に求めるものとのズレを指します。
では,なぜズレが起こるのでしょうか。
私は,多くの荒れた学級を担任してきました。また,周囲には今でも荒れた学級が存在し,その担任の先生の日々の実践を見たり聞いたりしています。そして,セミナーを開くと,学級づくりに悩む若い先生がたくさんいらっしゃいます。個人的に相談に来られる先生もいます。そうした先生方のお話と私の経験値に,「学級集団づくりのプロ」と呼ばれる著名な先生方の英知を照らし合わせて考えたとき,このズレが生じる3つの理由が浮かびました。
子どもたちがよりよい学級集団を形成するには,ある成熟過程が存在します(河村茂雄『学級集団づくりのゼロ段階』(図書文化)参照)。その成熟過程に照らし合わせてみると,各時期における教師の子どもへの接し方は異なってくるはずです。1年間,同じ接し方でいいというわけにはいかないのです。この成熟過程に合致した接し方を教師が行っていないと,子どもとのズレが生じます。
ただし,いくら成熟過程を学んだとしても,それらは一般的な話であって,自分の学級の現状と合っているとは限りません。一般的な成熟過程だけを見て子どもに接していると,ここでズレが生じます。教師側は「もうこの時期になったら,これくらいはできるだろう」と思って子どもに要求をするのですが,子どもたち側の成長段階がそれに伴っていないといったことがあります。ここに,ズレが生じる1つめの理由があります。
そして,学校にはいろいろな行事や集会や展覧会などが存在します。それらの目標達成のために,教師は子どもに課題を与えます。この課題の量や質を,そのときの子どもの力量と比較したとき,ズレが生じることがあります。
例えば,音楽発表会。「毎年,○年生はこのレベルの合奏をしているよ」と周囲の先生に教えられ,それをそのまま子どもに課したとします。ところが,この課題をクリアするのが難しすぎたり,簡単すぎたりすると,子どもの不満が増加します。教師は目の前の子どもたちに合うように課題の調整をするべきなのですが,それがうまくできないでいると問題が起こります。これが,ズレが生じる2つめの理由です。
3つめの理由は,子どもの欲求に対する教師の無理解にあります。子どもだって「先生に○○してほしい」とか,「学校でこんなことをしてほしい」という欲求をもっています。それに理解を示すことなく,常に教師や学校の要求を一方的に押しつけていると,子どもの心とのズレが生じます。
以上が学校現場でズレが生じる3つの理由です。
本書では,各時期にどんな接し方が必要で,それができていないと子どもとの間にどんなズレが生まれるのか,またどのように荒れにつながるのかを明らかにしました。さらに,そのような荒れが起こったときの接し方や,対応の方法を掲載しています。
これらがすべての荒れの解決方法になるとは思いません。お読みいただいたことをもとに,先生方がいろいろアレンジして実践されることをおすすめします。そして,ご自分のクラスに合った対応策を見つけていただきたいと思います。きっと,そこからが,皆さんの学級の立て直しのスタートになると考えています。
2020年1月 /高本 英樹
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- 明治図書
- 現在の受け持つクラスで、夏休み明けの9月からのチェックをするのに役立った。何となくやっていることでも、再認識して意識的にやれるようになる。さすが、高本先生!!2024/9/2340代・小学校教員