- はじめに
- 1章 図画工作の授業で大切にしたい10のこと
- 01 題材を読み解く
- 02 子どもの視点で題材を選ぶ
- 03 「あそび」を意図的に設定する
- 04 材料と触れ合う
- 05 材料を準備する
- 06 道具の「すごい」魅力を伝える
- 07 導入をテーマパークの入り口とする
- 08 ミステリードラマのような探究を生む
- 09 授業の「筋書き」と「山場」を考える
- 10 センス・オブ・ワンダーに関心をもつ
- 2章 子どもの感性が輝く! 玉置一仁の図画工作あそび
- [造形遊び]
- ・低学年
- 01 えのぐやさん
- 02 キャンディードロップ
- 03 かざぐるまのみち
- 04 バスでいこう
- ・中学年
- 05 線をつないで
- 06 シールドマンションのともだち
- 07 チャレンジタワー
- ・高学年
- 08 ドリッピングギャラリー
- 09 どこまでつながるどこまでころがる
- 10 スキマのスキマにみえるもの
- [絵]
- ・低学年
- 11 たからものはだれのもの
- 12 ながぐつねこちゃん
- 13 なぞのぎょうれつ
- 14 すごいばりあ
- ・中学年
- 15 レッツ・エクササイズ!棒にんげん
- 16 どんなかんじ?こんなかんじ
- 17 ペタペタアーキテクチャー
- 18 銀の城
- ・高学年
- 19 ポーズできめろ!
- 20 レイヤーで表そう
- 21 アメージングタワー
- 22 すごいを表そう
- [立体]
- ・低学年
- 23 おへやへようこそ
- 24 ながめのいいところ
- 25 おひめさまをたすけだせ
- ・中学年
- 26 ひっつきマン
- 27 ビーンズハウス
- 28 キャンピングカー
- ・高学年
- 29 ネットワークタワー
- 30 ハンギングジャイアント
- 31 わたしの小さな美術館
- [工作]
- ・低学年
- 32 おしゃれバッグ
- 33 ゆめのけいたいでんわ
- 34 ルーレットであそぼう
- 35 レントゲンハウス
- ・中学年
- 36 くぎうちめいろ
- 37 むしよけカード
- 38 トントンカラフルタイフーン
- 39 ころころコッパロード
- ・高学年
- 40 ぶんぼうぐの城
- 41 テーブルゴルフゲーム
- 42 紙コップブーメラン
- 43 ころころくん気をつけて
- [鑑賞]
- ・低学年
- 44 おきにいりコレクション
- ・中学年
- 45 これをさがせ!
- ・高学年
- 46 窓のトンネル
- ・全学年
- 47 みんなですいぞくかん
- [ICT]
- ・中学年
- 48 だいすきな場所に行ってみよう
- ・高学年
- 49 オンラインガイドをつくろう
- 50 おもしろ写真をとろう
- おわりに
はじめに
「図工を教えるのが苦手」という人が,私の周囲の先生の中にもたくさんいます。どう教えたらよいのかわからない,道具の指導が難しい,自分は絵が苦手,題材の終わり方がわからない,評価がしづらいなど理由は様々です。
東京都など,いくつかの県や自治体では図画工作専科を置いて図工の授業を専門の教員で行っているところもありますが,多くの地域では,学級担任の先生が,それぞれの学級の造形活動を担当されています。算数や理科とは異なり,感性や造形性という数値や基準では表せないものを指導するということの難しさを感じている先生も多いと思います。そういうところが図工の特異なところでもあり魅力なのですが,かえって指導のわかりづらさにつながるところでもあるのです。
図工の教科書の内容も他の教科とは異なったつくり方がされていて,必ず教科書に紹介されている題材をすべて授業で取り上げなくてはいけないというものではなく,紹介されている題材をもとに,学級や子どもの状態に合わせて内容を変更したり,別の題材に置き換えたりすることも可能です。そのような性質のためか,誤った意味に解釈されて,学芸会の背景や大道具をつくるのを図工の時間にあてたり,理科の観察の絵を図工のように扱ったりした例も聞いたことがあります。要するに,「絵を描いたりものをつくったりすることが図工」であるかのように思われていることも多いようなのです。もちろん,絵を描く活動は図工の授業の一部ではありますが,もしかすると,「図工の大事な部分は描いたりつくったりするだけではない」ということを理解できずに授業をされている方も多いかもしれません。
おそらく本書を手に取られる方は,「図工の授業ってどうすればいいの?」と日々悩んでいる方だと思います。本書は,子どもたちは図工が好きなのだけど教えている自分は苦手,子どもと一緒に楽しく図工をしてみたい,学習指導要領や指導書を読んでみたけどよくわからない,という方に向けて書いています。図工は,教師が子どもと同じ気持ちにならなくては本当のよさがわからない教科ですから,本書を参考に,図工や造形活動を通して子どもになった気持ちで遊んで,つくって,味わって,子どものように豊かな感性が輝く先生になってほしいと思っています。
子どもは面白いこと,楽しいことを見つけると,それが学習であっても作業であっても,おもちゃやゲームで楽しんでいるときのような感覚で,活動の種類に関係なく「あそび」と同じ気持ちで夢中になって楽しみます。そんなとき,子どもの感性は驚くほど敏感で,いろいろなことを吸収して成長します。図工の授業の中で行う造形活動も一緒です。子どもの気持ちの中で学習や作業であったものが転じて「あそび」と同じ感覚や気持ちに変化したとき,全身の感覚は研ぎ澄まされ,脳細胞はフル回転して本気モードのものすごいパワーが発揮されます。図工の題材の中にはこうした「あそび」が発生しやすい要素がたくさん含まれていますから,教師がそのことに気づき,意識して「あそび」の状態が起こりやすい場や流れをつくっていくことが大切です。
造形活動の中から生まれた「あそび」は,子どもの発想力や創造性,主体的な学びを育てていきます。日頃の授業の中に必ず含まれる,造形的な要素をもつ「あそび」を積極的に取り上げていくことによって,図工の魅力が断然に高まり,子どもたちの意欲や取り組み方も変わってきます。
本書は,この「あそび」に着目しています。「あそび」と言っても造形的な要素をもつ「あそび」です。日頃の図工で「あそび」を意識して,造形活動や題材の中に「あそび」をしっかりと位置づけ,どのような心がけをもって授業に生かしていくかを丁寧に書きました。本書を参考にして,経験の浅い先生や図工の苦手な先生が,図工の授業を心から楽しみながら実践できるようになってもらえたらとてもうれしいです。
2022年3月 /玉置 一仁
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- 明治図書
- 子どもたちが楽しく取り組むことができそうな図工の実践がたくさん紹介されており、勉強になった。2023/5/1430代・小学校教員
- 指導はしないのですが、図工遊びに興味があり読ませてもらいました。自分自身でも作ってみたいものがたくさん載っていて勉強になりました。2022/12/820代・小学校教員