成功法則シリーズ
「問題発生時の対応力を付ける」ための成功法則

成功法則シリーズ「問題発生時の対応力を付ける」ための成功法則

新刊

問題対応力向上のための原理原則を身に付ける

私語や立ち歩きがやまない、授業がうまくいかない、不登校、いじめ…日々起きる事件にどう対応すればよかったのか。著者の実体験から得た知見を体系化し、成功法則としてまとめました。実践に基づいた理論により、問題発生時の対応力を向上させます。


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PDF
ISBN:
978-4-18-311840-0
ジャンル:
教師力・仕事術
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 176頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年4月17日

CONTENTS

もくじの詳細表示

プロローグ 教師になるまで
Chapter1 新卒教師が過酷な現場に立ち向かうための成功法則
1 新卒教師と「困難な学級」の子ども達との出会い
1 提灯学校ー夜遅くまでの勤務が常態化
2 「学年主任用クラス」=「最も困難な学級」
3 出会いの日にした山の話
4 新卒の学級開き
5 日々起きるトラブル
6 ルールの確立で遅刻を激減
7 日々の生活場面での指導
8 授業がうまくいかない現実
9 研究授業で得た金言
10 授業の上手い、下手の違い
11 必要なのは情熱よりも教育方法
2 新卒教師の事件簿
1 真面目に見えた子ども達による「お菓子分け合い事件」
2 「くつかくし」からの再犯防止指導
3 新卒教師の失敗事例
3 新卒時代を終えて
Chapter2 気になる子ども達に立ち向かうための成功法則
1 自信のもてない子どもへの対応
1 家まで迎えに行く日々
2 縦の関係を築き、その後に横の関係を築く
3 教師の意図的な支援
4 信頼できる友達ができるまでの苦悩
2 反省部屋で一人ぼっちの子どもへの対応
1 専門的な知識を学ぶ必要性に気付く
2 教師の指導を子どもに合わせる
3 ほめて見守る
4 反発する周りの子ども達への説明
5 「良い授業」が荒れたA君の解決策に
6 効果がなければ対応を変える
7 「ほめる」と「頑張る」の良いサイクル
8 油断から生まれた失敗
9 原因を教師に求める
10 子どもの可能性を信じることの大切さを学んだ一年間
3 荒れの収まらない子どもへの対応
1 自信を失っていた子ども
2 新学年に向けた準備と決意メモ
3 一年後の理想をゴールに合わせて考える
4 順調なスタートと一つの山場
5 無理は禁物
6 「先生、俺、すごく頑張っている」
4 「二度と学校には来ない」と言った子どもへの対応
1 不登校の原因は「学校自体が面白くない」から
2 家を訪ねる
3 登校へのハードルを下げる
4 昼からの登校と教室で起きた盛大な拍手
5 安心して過ごせるようにするための手立て
5 様々な子ども達との出会いが教師としての生き方を磨いてくれた
Chapter3 授業における困難に立ち向かうための成功法則
1 挑戦するのを嫌がる子どもへの指導
1 「自分はできるんだ」ということを事実として示す
2 詩の暗唱で挑戦の場を与える
3 クラス全員の成功体験がみんなの自信につながる
4 子どもに夢(目標)をもたせ、達成させる
2 算数の学習を拒否する子どもへの指導
1 算数の苦手な子が多数いる学級
2 間違いの分析を行う
3 子どもの実態に合わせて教える
3 集団で学ぶ効果を高める
1 子どもの「わからないこと」や「間違い」を扱う授業
2 討論の授業
4 運動が苦手な子どもへの体育指導
1 具体的な事実の記録から上達方法を考える
2 パーツに分けた運動技能の習得と運動技能の連結〜走り高跳びの指導
3 根気よく取り組む細かいステップとできるようにするという決意〜二重跳びの指導
5 一人ひとりに最適な教育を目指す
1 一人ひとりに最適な教育を行う
2 学級の全員に対する「指導計画書」の作成
3 詳細な「目標シート」の活用
4 一人ひとりの思いや願いを実現するための指導力
Chapter4 学級集団の荒れに立ち向かうための成功法則
1 どんな学級集団を育てたいか
2 現実の学級集団の姿
3 荒れた学級の立て直し
4 いじめや差別を許さない学級づくり
1 何気ない会話の中の差別
2 学級全員の問題として考えさせる
3 子ども達だけの真剣な話合い
4 全員参加で問題に立ち向かう
5 子どもの日記に書かれていた「差別」に対する考え
5 「学級風土」=「学級集団が共有している雰囲気」をつくる
1 新学期のはじめにつくりたい「風土」を子どもと共通理解する
2 マイナスの言動は、子どもの行動ではなく学級の雰囲気を変える
3 より良いプラスの雰囲気のつくり方
6 「学校は楽しい」と思えるイベントづくり
1 様々なイベントの機会を用意する
2 出し物大会に学年全体で出場
3 授業でイベントを仕掛ける
7 学級崩壊の立て直しに大切な「教育方法」と「子どもの意識改革」
Chapter5 学校現場における問題に立ち向かうための成功法則
1 若い教師ほど学校現場のおかしさに気付いている
2 学校現場のおかしさ
1 おかしな提案
2 おかしな要望
3 突然の転校生
1 突然の連絡
2 転校までの出来事
3 抗議の電話
4 より良い教育を求めて

プロローグ 教師になるまで

 私が教師になった頃、学校現場は、学級崩壊の嵐に見舞われていた。

 小学校一年生の学級でも、学級崩壊は起きていた。

 教師の指示が通らない。授業中も遊び回っている。

 中には、教師に反抗し、暴言を繰り返す子もいる。トラブルを頻繁に起こす子もいる。

 私のいた地域では、小学校一年生、五学級に対し、補助教員も合わせ、十名体制で指導を行う学校もあった。通常の二倍の人員配置である。

 それだけ、小学校での学級崩壊は深刻化していた。時に、学年全体が荒れることもあった。

 小学校一年生での学級崩壊は、日本の義務教育史上、初めての出来事であった。

 一年生の学級で学級崩壊が起きるのだから、高学年の学級崩壊は、さらにすさまじい状況だった。対教師暴力・暴言や、器物破損など、様々な問題が日常的に起きていた。教室の窓ガラスは割られ、壁には落書きがあり、掲示物は破られ、教室の床はゴミだらけになっていた。

 日本全国で、学級崩壊の現象が見られ、様々なメディアで報道されていた時代であった。現場は混乱していた。

 さて、幼い頃の私の夢は、教師になることだった。

 父も祖父も曾祖父も教師であった。また、他の親戚にも教師が多くいた。校種も、小学校から大学まで様々だった。そんな影響もあり、将来教職の道を歩みたいと、幼い頃から考えていた。

 私が幼い頃、親戚が集まった席で、ふと尋ねたことがあった。

 「将来、学校の先生になりたい。先生になったとき困らないよう、秘伝の書みたいなものをくれよ」

 すると、一斉に笑い声が起きた。「そんなものはない」と言うのである。

 私は、忍者や剣術家、戦国武将が子孫に残したように、何らかの秘伝書が教師の世界にもあると、当然のごとく思っていた。しかし、そんなものはなかったのである。

 私はなお食い下がって大きな声で言った。「秘伝の書がないなら、自分のためにつくって、この家の宝として残しておいてくれよ」

 「わかったわかった」、「そんなものが本当にできたら残しておくよ」、そう言われてその場は終わった。

 それ以降、幼い私は、いつ秘伝書が渡されるか楽しみにしていた。正月、お盆と、親戚が集まるたびに、まだかと催促していたのである。巻物のような立派な秘伝書がもらえると思っていたのだ。

 結局、その秘伝書は、つくられることもなく、私に渡されることもなかった。

 私は教員として、四月に赴任する年齢になっていた。

 私は、秘伝書のないまま、学級崩壊の嵐の中に身を投じていくこととなった。

 私の長年の問題意識はここから始まっている。教師の世界に秘伝書がないのはおかしい。後世に伝えるべき「どの時代の教師にとっても大切な知恵」があるはずだと。

 だからこそ今、後進に伝えたい知恵を、少しでも残したいと願っているのである。

 本書では、私が現場に適応する中で起きた様々な出来事を、どう乗り越えたか紹介していく。


※本書は、既刊書『若い教師の成功術』(学陽書房)、『20代でプロの教師になれる』(学事出版)、『大前流教師道』(学事出版)、『教壇に立つのが楽しみになる修業術』(ひまわり社)を加筆・修正し再編集してつくられた「要諦集」である。

※なお本研究の一部は、JSPS科研費 JP20K03261の助成を受けて行った。

著者紹介

大前 暁政(おおまえ あきまさ)著書を検索»

京都文教大学こども教育学部こども教育学科 教授

岡山大学大学院教育学研究科(理科教育)修了後, 公立小学校教諭を経て 2013年4月より京都文教大学に着任。教員養成課程において,教育方法や理科教育に関する教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており,可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ,学校現場と連携し新しい教育を生み出す研究を進めている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員,教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」や「日本初等理科教育研究会優秀論文賞」に入賞。 研究分野は,教育方法,理科教育,学級経営,生徒指導,特別支援教育,科学教材,教授法開発, 教師教育など多岐にわたる。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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