- 第1章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業の目的と方法]6のこと
- 1 授業の目的が定まらなければ、授業の方法は決まらない
- 2 状況の分析があって、はじめて効果的な授業方法が見えてくる
- 3 対話的な学びのデザインは、4視点で考える
- 4 授業方法改善のポイントは、デメリットへの注視
- 5 教師主導or子ども主体を抜け出すカギは、「動的平衡」
- 6 教師が教える量の多少で授業の良し悪しは決まらない
- 第2章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[個別最適な学びと協働的な学び]6のこと
- 7 「個別最適な学び」のカギは、子どもの自己調整
- 8 教師が対応するのではなく、子どもに選ばせる
- 9 わからない子がいたら「指導の個別化」をすればよいと考えるのは早計
- 10 盲点になりがちな「学び方」の知識・技能
- 11 「学習の個性化」には、2種類の知識・技能が必須
- 12 疑問や調べたいことは、簡単には見つからない
- 第3章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業デザインの方法]7のこと
- 13 失敗から学べるのは、普段から成功体験を積み重ねている子だけ
- 14 授業のゴールの示し方は、3つの視点で考える
- 15 教育の流行に対して、動的平衡の感覚によるリスクヘッジが必要
- 16 深い理解を促すカギは、「認識の飛躍」
- 17 初学者が集まっても理解は深まらない
- 18 対話、討論を深めるカギは、教師による論点整理
- 19 授業方法を知っているだけでは、授業はデザインできない
- 第4章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業づくりの順序]7のこと
- 20 4月の最優先事項は、「わかる・できる」の成功体験の繰り返し
- 21 学習の基盤となる「基礎・基本」なしに話し合いや討論は困難
- 22 学級の平均点が高いのは、教師の能力が高いからではない
- 23 子どもに主体性が育たない原因は、子ども自身にはない
- 24 真に楽しい授業を実現するカギは、子どもが素通りするところにある
- 25 「認識の飛躍」を促すには、意図的に子どもの視点を変える必要がある
- 26 普段の授業における経験が、探究や協働的な学習の成否を決める
- 第5章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[集団づくりと授業づくりの関係]4のこと
- 27 授業と集団づくりで相乗効果を生む基礎は、「心理的安全性」
- 28 授業の事実が、集団のもつ価値観を変える
- 29 個々の小さな成功体験は、集団に大きな波及効果をもたらす
- 30 授業の充実で、自然と前向きな雰囲気がつくられる
- 第6章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業力向上の手立て]6のこと
- 31 授業方法に関する知識を得なければ、授業改善はできない
- 32 指導ができる教師だけが、支援に回ることもできる
- 33 授業技術を「理解する」ことは第一段階
- 34 授業力を劇的に向上させるカギは、「定石」の理解
- 35 「いいとこ取り」は、悪いことではない
- 36 学びながら、かつ言語化しなければ、反省すらままならない
- 第7章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[教師の姿勢]6のこと
- 37 わずかな教材研究の有無が、大きな授業の質の違いを生む
- 38 教師は無意識下に自身がもつ「授業イメージ」通りに授業をしている
- 39 授業方法を工夫・改善するカギは、教師の主体性
- 40 全体指導だけで「教えた気」にならない
- 41 知識の理解が進まない隠れた要因は、教師の「体験」に対する過信
- 42 「正解」に対する教師のスタンス次第で、子どもの主体性は変わる
- 引用・参考文献一覧
はじめに
ある学校で、公開研究会が行われました。指導案は、「新しい時代に必要」と言われた授業方法で作成されました。いわゆる「流行」を取り入れた授業でした。
公開授業ということもあり、念入りに準備が行われました。校内で何時間も指導案を検討し、案を練りに練って臨んだのです。
ところが、授業はまったくうまくいかず、子どもの資質・能力は伸びませんでした。
授業後の検討会で授業者は言いました。
「指導案は悪くない。子どもができなかっただけだ」
「将来、子どもが伸びる布石になった」
「期待していた資質・能力は伸びなかったけど、他の資質・能力は伸びた」
つまり、言い訳に終始したのです。授業や指導案を否定してしまうと、流行に乗って取り組んでいる学校ぐるみの授業がすべて否定されるからです。
このような反省の仕方では、子どもにとって価値ある授業は実現できません。
また何より、教師の授業力が向上しません。
十分な準備をしても、授業がうまくいかないことはあります。
そんなとき、授業者は自分の授業こそ反省すべきです。
失敗と向き合うのはだれしも嫌なものです。しかし、失敗を分析すれば、多くの学びを得ることができます。子どもの事実から学ぶことで、よい授業とは何かが見えてきます。そして、それが授業力向上につながるのです。
本書は、この点を踏まえ、各項目の冒頭で授業の失敗例を示しました。続いて、失敗の分析を行っていく中で授業力向上の方途を示しています。
本書には様々な人物が登場します。私の経験が主ですが、他の人物も登場します。失敗例が多いこともあり、事例をぼかすため、三人称の人物を登場させてエピソードを紹介し、「学び続ける」教師像の一端を示しました。
日々の授業をどう反省し、どう学べばよいのか。本書で示した「学び続ける」姿勢を身につけることで、授業力向上が実現していくはずです。
※本書で示した研究成果の一部は、JSPS科研費 JP 20K03261の助成を受けたものです。
2024年1月 /大前 暁政
他のタイトルの本もあるようなので購入したいと思いました。