- はじめに
- 第1章 人間の一生 そして幼児期
- 1 「人」から「人間」へ そして「子ども」から「大人」へ
- 1◆「人」から「人間」へと育つ基本の時期=幼児期
- 2◆子ども時代 学びについて
- 3◆生きていく力とは
- @身体的・情緒的・知的 3つの基礎
- A全体を捉える力+部分に分けてそれを分類する力
- B「良い耳・良い頭・良い心・良い手」の順序
- 4◆グループ学習の力(わらべうたから)
- 2 「乳児」から「幼児」=「学びの基礎」へ
- 1◆乳児の世界と幼児の世界は,まるで違う
- 2◆乳児「遊ばせ遊び」 と 幼児「わらべうた」の違い
- 3◆乳幼児の身体発達とわらべうたのテンポ
- @Scammonの各器官系の発育模型図より,各器官の変化
- A体温・脈拍・呼吸の変化
- B乳幼児身体発育平均値
- C身体発育の変化とバランスの変化
- D年齢によるテンポ
- 第2章 幼児の世界
- 1 幼児期とは
- 1◆3歳から5歳
- 2◆幼児の体感による財産
- 3◆わらべうた遊びの体感による財産
- 2 幼児の発達段階のまとめ(分離と統合の時期)
- 3 「わらべうた」遊びでの発達段階 一覧表
- 4 「聞こえない音楽」を見せてくれる「わらべうた」
- @musica mundana
- Amusica humana
- Bmusica instrumentalis
- 5 「わらべうた」を「わらべうた」として遊ぶために
- 1◆「わらべうた」はどんな形で遊ばれていたのでしょう
- 2◆私たち大人が,子どもたちに伝えるには,どうするのが良いでしょう
- 3◆わらべうたは,「真似」模倣遊びです
- 4◆遊びが,うまくいかない時,考えてみましょう
- 6 人間として幼児期に,身につける事
- 1◆ルールと,その多様性を同時に伝える
- 2◆ルールでなく,法則を示し,体感するのを,助ける
- 3◆全ては,体感による学び(人の学びの法則)
- 第3章 各遊びの世界・基本の形と段階的発展
- 1 「日本のわらべうた」の遊びによる分類
- 1◆計画性と一貫性の元となる「遊びによる分類」
- 2◆遊びの分類と各遊びに含まれている要素
- 2 各遊びの世界観 及び ルールと遊びの種類と段階
- A 遊びのルール
- B 大人のルール
- C 体感する世界
- D 遊びの種類と段階
- ○全ての遊びの 共通ルール
- @鬼きめ…3つの種類 四段階
- Aしぐさ遊び…6つの種類 三段階
- B歩き…3つの種類 年齢別
- C役交代…11の種類 三段階
- D門くぐり…3つの種類 四段階
- E勝負遊び…4つの種類 年齢別
- F隊伍を組んで…4つの種類 三段階
- G昔遊び…4つの種類 五段階
- H鑑賞曲…5つの種類 年齢別
- I文学
- ―語呂合わせ・詩 年齢別
- ―絵本・3つの世界 年齢別
- 第4章 課業について
- 1 課業とは,何でしょうか?
- 2 コダーイ音楽教育における 教授法と目的
- 1◆コダーイ音楽教育の特徴は,一貫性と計画性
- 2◆「幼児」以降のコダーイ音楽教育の,学びの形
- 3◆教授法は 全体から部分 ⇒ 部分から全体 の法則
- 4◆良き聴衆を育てる
- 3 音楽の数学的な世界と情緒的世界のつながり
- 1◆音の数学的関係性の世界
- ・倍音 ・調性と和音 ・調性と5度圏 ・5度圏の転調と,曲調の違い ・ソナタ形式 ・ソナタ
- 2◆リズムの規則的で規則的でない世界
- 3◆人間の数学的世界
- 4◆人間の情緒
- 4 音楽とは何か
- 1◆自己表現の世界
- 2◆共感の世界
- 5 音楽の課業
- 1◆拍感
- 2◆内的聴感
- 3◆大小
- 4◆速い遅い
- 5◆音の高低
- 6◆音色
- 7◆歌う力
- 8◆リズム
- 9◆形式感
- 10◆多声
- 6 わらべうたの課業のあり方
- ○課業の一覧表
- ○学童になって行う音楽の授業の方法(幼児の課業を基礎として)
- ○わらべうた 年齢別遊びの分布表
- ○使用し,参考にしたわらべうたの本
- おわりに
はじめに
「遊ばせ遊び」を通してしっかりと触られ,自分の身体を感じ,自分が大切で愛されている存在だと感じて育った子どもたち。自分自身で,食べたり排泄したり眠ったり歩いたり,自分の思いを言葉で表せるようにもなった,「人」となった子どもたち。社会的な人「人間」となる準備が始まります。子どもたち自身が大人の世界や自然の中から,見出し感じ,遊びの中で作り出してきた,歌い継いできた「わらべうた」を手渡していきましょう。
ルネッサンス時代のヨーロッパの人たちは,音楽には3つの音楽があり,それも「聞こえない音楽」と「聞こえる音楽」があると,考えていたそうです。
第一は「世界・宇宙の音楽」。太陽や月の巡り,星たちの巡り,季節の移り変わりや,月日の繰り返し。その規則正しい繰り返しのリズムは,宇宙の音楽。
第二は「人間の音楽」。人間の鼓動や呼吸の,規則正しい繰り返し。精神と肉体のバランスの上に持続している精神性・倫理性・論理性。人間の音楽。
この第一と第二の音楽は,音として聞こえてこない,しかしその規則性・持続性からうまれる美しさは,音楽そのもの。
第三は「楽器の音楽」。これが,聞こえる音楽。一番初めの楽器は人間の声,歌声です。次に同じ息を使う管楽器。言葉がわりにもなる打楽器。そして,弦楽器。息の代わりに空気を送り込んでならすオルガンができ,そこから鍵盤楽器が発展してきたのです。
「わらべうた」これは,宇宙や世界,人間の中にある「聞こえない音楽」を子どもたちが感じ,その心の内から身体の内からわいてくる音楽をほとばしるように,声と身体を使って表したものだったのです。ですから子どもたち自身の「わらべうた」遊びは,終わることがないのでしょう。
/十時 やよい
-
- 明治図書