- はじめに
- 第1章 小学校 通級指導教室担当の仕事を100倍楽しむポイント
- 01 子どもには大好き光線を浴びせる
- 02 在籍学級に出向いて,まわりの子どもとも連携する
- 03 保護者にはとにかく安心感をもってもらう
- 04 誇れるくらい特別支援教育のプロになる
- 第2章 小学校 通級指導教室担当の仕事を100倍楽しむスキル60
- 子どもの心をつかむ
- 01 出会う前に子どもを知るスキル 資料読み込み3原則
- 02 子どもの緊張をとくスキル 大好き光線発射
- 03 子どもの好きを知るスキル 「君の好きなことを知りたい」
- 04 子どもの願いを知るスキル 「全力で応援しています」
- 05 こいつは違うぞと思わせるスキル 先生っぽくない先生
- 06 「また会いたい」と思わせるスキル 余韻を残す
- 07 「できる!」「わかる!」と思わせるスキル 見える形で示し,成功で終わらせる
- 08 通級は役に立つと思わせるスキル 子どもにとっての結果を出す
- 09 自分自身のことを知ってもらうスキル 「得意なこと苦手なことグラフ」
- 10 子ども同士をつなぐスキル 仲間と乗り越える課題
- 子どもを見取る
- 11 アセスメント力を高めるスキル@ 子どもを見る
- 12 アセスメント力を高めるスキルA 環境を見る
- 13 アセスメント力を高めるスキルB 作品を見る
- 14 アセスメント力を高めるスキルC 心理検査等を活用する
- 15 アセスメント力を高めるスキルD チェックリストを活用する
- 指導計画を立てる
- 16 [個別]個別の指導計画作成スキル@ アセスメントが命
- 17 [個別]個別の指導計画作成スキルA より具体的に考える
- 18 [個別]個別の指導計画活用と評価のスキル いつでも手元に個別の指導計画
- 19 [個別]合理的配慮の盛り込みスキル これまでの支援の見える化
- 20 [個別]個別の指導計画の組み立てスキル 1時間の中でのリズムづくり
- 21 [通級全体]小集団活動成功のスキル 活動内容と評価の共有
- 22 [通級全体]個別の指導と小集団活動の組み合わせスキル 切り替えポイントを明確にする
- 指導を行う
- 23 学習のつまずきへの対応スキル ねらいをしぼって,学年を意識!
- 24 ADHDへの対応スキル 自分を知る,対応する
- 25 ASDへの対応スキル ASDの世界へ飛び込め!
- 26 不器用な子どもへの対応スキル 使いやすいものを見つけて調整
- 27 ニーズから自立活動を検討するスキル 当てはめすぎない
- 28 子どもにぴったりな教材作りスキル アセスメントが基本
- 29 発達理論を生かすスキル 「ちょっと頑張る」をねらう
- 30 行動理論を生かすスキル 行動の前後を考えよ!
- 31 認知理論を生かすスキル 同時処理と継次処理のアプローチ
- 32 チームティーチングを活用するスキル MTとSTの連携
- 33 ICTを活用するスキル 「意欲喚起・情報保障・代替機器」
- 34 二次的な問題へ対応するスキル 原因は教員と心得る
- 校内支援体制を整える
- 35 校内委員会活用スキル 通級指導教室で抱え込まない
- 36 通級指導教室を光らせるスキル 校内での存在感をあらわす
- 37 先生たちを引き込むスキル よいところを認めることから始める
- 38 管理職を巻き込むスキル 活躍の場づくり
- 39 開かれた通級をつくるスキル@ 実践事例の公開
- 40 開かれた通級をつくるスキルA 指導場面の公開
- 41 通常の学級との連携スキル 通常の教育課程を理解する
- 42 特別支援学級とつながるスキル 支援の必要度は?
- 43 中学校・高校とつながるスキル 切れ目のない支援
- 保護者・在学校・他機関とつながる
- 44 共同戦線を張るスキル@ 保護者との連携
- 45 共同戦線を張るスキルA 在籍学級担任との連携
- 46 他機関と連携するスキル@ 医療機関との連携
- 47 他機関と連携するスキルA 福祉機関との連携
- 48 校内研修会開催スキル 疑似体験プログラムや事例検討
- 49 保護者学習会開催スキル 横と縦の交流
- 通級を卒業してもらう
- 50 通級指導終了スキル@ 保護者との相談
- 51 通級指導終了スキルA 在籍学級担任との相談
- 52 通級指導終了スキルB 本人との相談
- 53 終了後もつながるスキル 通級指導教室からのアクセス
- 担当者として力量をあげる
- 54 相談するスキル 一人で抱え込まない
- 55 研修会参加スキル 色々な分野の研修会へ
- 56 研修会を運営するスキル 自分が学びになるように
- 57 事例検討会参加スキル 自分事として捉える
- 58 事例検討会での事例提供スキル みんなにわかるように伝える
- 59 事例検討会を企画するスキル みんなにとって有意義な会
- 60 願いをニーズへと高めるスキル 今必要なことは何か
- 参考文献
はじめに
通級指導教室は,おまけの存在
通級指導教室は,おまけの存在であると思っています。通級指導教室は,通常の学級に在籍している子どもが対象です。したがって,その子どもたちの主な活動場面である通常の学級で輝けるように,通級指導教室は存在しています。では,通常の学級で輝くとはどういうことでしょうか。決してよい成績を取るとかよい行動をして模範となるとかではないと思います。その子がその子らしく,自分は「やれている」と感じたり,「居場所がある」と感じたりすることだと考えます。それをお手伝いするのが通級指導教室の大きな役割です。いわば,おまけの存在です。もちろん,子どもによってはおまけがメインとなることもあるかもしれませんが,教員はおまけであるという意識をもち,常に縁の下の力持ちに徹しましょう。
子どもを中心に
通級指導教室の面白さは,その自由度にあると思います。「子どものために」という前提があれば,活動内容や支援方法は自分で考えて取り組むことができます。子どもにとって楽しい活動で,何を身に付けたいかが明確であれば,それは素晴らしい支援です。子ども自身が何を願っているのか,どんなことができるようになりたいかを常に考えていけるような通級指導教室担当であってほしいと思います。
通級担当者としての心構え
本書では,私が通級指導教室担当として勤めた14年間で感じたことや大事にしたいことを60のスキルとして紹介させていただきました。通級指導教室では,子どもの実態によっても取り組むことが大きく異なりますし,地域や学校の実態でもその役割は大きく異なります。あくまで一例として,私が意識していた心構えを挙げています。本書をお読みになったみなさんが自分なりにアレンジして,新しいスキルとして心構えが身に付いていくことを願っております。
大事なことなので,最後に1回だけ言います。どんなに困難を抱えている子どもあっても,通級指導教室に来て,最後は保護者もいっしょに笑顔で帰っていく。そんなことができる通級指導教室ってとても面白いし,最高だと思いませんか。
著者 /山下 公司
初めて通級指導をする方にオススメです。