- はじめに
- 1章 歌唱活動につなぐ!「声遊び」の魅力
- 1 楽しく声が出せればきっと歌うことも楽しくなる!
- 声遊びとは
- なぜ「声遊び」か
- 「声遊び」のねらい
- 「声遊び」の取り入れ方
- 声の特性を生かした「声遊び」の内容
- 線による図形楽譜を用いる
- 〔共通事項〕との関わり
- 2 歌唱指導の新たな可能性
- 「声遊び」の授業で大切なこと
- 声を出すという行為そのものを楽しむ
- 歌唱技能とのつながり
- ICT機器の活用
- 「声遊び」分類表
- 「声遊び」分類表の見方
- 2章 声を出すのが楽しくなる!「声遊び」のアイデア&授業レシピ
- いろいろな声色で遊ぶ
- 1 いろいろな「ア」
- 2 蚊がとんできたぞ
- 3 吹き出しの形で
- 声を上下に動かして遊ぶ
- 4 ボールに合わせて
- 5 あっち向いてアー
- 6 スライド・ホイッスルのように
- 7 声でウェーブ
- 8 あみだくじのように
- 声を伸ばしたり切ったりして遊ぶ
- 9 コマに合わせて
- 10 お経のように
- 11 シャボン玉と声
- はっきり発音して遊ぶ
- 12 カードで当てっこ
- 13 ピッパッポッ
- 声を重ねて遊ぶ
- 14 やまびこごっこ
- 15 不思議な輪唱
- 16 不思議なハーモニー
- 17 クラスターづくり
はじめに
私は以前,いろいろな「音遊び」を紹介する本を2冊出版しています(『子どものコミュニケーション力を高める! 音楽遊びベスト40』,『子どもを音楽好きにする! 楽器遊びベスト40』いずれも明治図書)。しかし,2冊ともほとんどが身近な楽器や日用品などから引き出した「身の回りの音」を用いた活動で,声を用いた活動はごくわずかでした。音の出せる日用品は山とあり,音楽室には奏法や音色の異なる楽器がいろいろありますから,そこから遊びのアイデアを生み出すことは可能だったのです。でも声となると,日用品や楽器のように様々な奏法や音色を用いるというわけにはいかず,遊びのアイデアを生み出すことは難しいと感じました。発声練習のようなものではなく,「歌う」以前の,もっと声そのものを楽しめるような活動はできないものか……。悩んでいるうちに小学校を去る年齢が近づきました。
私はその後大学教員になりましたが,小学校教員の間に,母音や子音などによる活動やリズム以外の要素に着目した声の活動を,もっと工夫し実践しておくべきだったと,ずっと残念に思っていました。しかし最近になって,かつて私も勤務していた筑波大学附属小学校の笠原壮史先生という,強力な協力者を得たので,やり残していた「声遊び」に改めて取り組んでみることにしました。私が「声遊び」のアイデアを出し,それを笠原先生がご自分なりの工夫を加えながら実践してくださったのです。笠原先生の実践は,期待以上でした。それらを明治図書の木村悠さんがまとめてくださって,本書ができあがりました。
ここに示した「声遊び」の事例が,楽譜通りに歌うだけでなく,もっと自由な声の使い方に先生方が取り組むきっかけとなり,声の捉え方が幅広いものになっていくこと,そして,歌うことが苦手な子どもでも楽しく声が出せるようになっていくことを願っています。
2020年5月 /熊木 眞見子
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- 明治図書
- とてもわかりやすく、参考になりました。2021/3/1420代・小学校教員