『絶対成功する！外国語授業３３の英語表現指導アイデアブック　小学６年』の詳細情報

　さらに小学校から英語学習を始めると，４年間で２１０時間（小３：３５時間，小４：３５時間，小５：７０時間，小６：７０時間）の学習時間となります。外国語を身に付けるには，ある程度の「学習時間」の確保と「学ぶ動機づけ」が必要と言われていますので，教材に工夫を加え，オーセンティックな場面を設定し，実際に海外の学校と交流するなど，英語を学ぶ動機を高める工夫をぜひ教育課程に盛り込みたいものです。先日は，大阪城で，胸にEnglish Learnerと書かれた名札を付けた小学生を見かけました。２人の小学生は，外国人に英語で，それこそ上手な発音でインタビューをしていました。子どもが好きそうな男性の外国人は，丁寧にインタビューに応じ，インタビュー後に小学生がその男性にプレゼントを渡すと，嬉しい笑みを浮かべ，その子たちと記念写真を撮っていました。それを見ていた私は，その微笑ましい様子に，つい小学生に話しかけ，色々と尋ねると，何と幼稚園の頃から英語を学んでいるということでした。外国人観光客の多い大阪城で，初めて会う外国人に話しかけるのも勇気のいることですが，日本の印象を尋ねたり，日本のことを伝えたりしている頼もしい姿を見て，「こういう学習がこれからの日本の小学校英語教育には必要なんだなあ」と強く感じました。

　さて，本書で全４巻が終了します。本書シリーズでは，授業展開を４５分授業のところを４０分で組み，５分の余裕をもたせています。英語の授業は，指導教員の指導観により，帯的な学習を設け，語彙や文字，音韻認識能力を育てる指導，絵本の読み聞かせ等を行うことがあります。それらはとっても大事な学習です。そのことを考慮し，４０分で作成しています。どうか残りの５分は，帯的な学習に充てても構いませんし，授業展開の中のどこかを引きのばしても構いません。なお筆者は，３・４年生では絵本の読み聞かせ，５・６年生では音韻指導の充実に充てたいと考えています。本書に載せたアイデアは，あくまでも参考例となりますので，どうか先生方でアイデアを膨らませ，楽しい授業にしていただければと思います。２０２０年からの小学校外国語の授業が意味あるものとなりますよう，学校の先生方に提案を今後も続けていきたいと思っています。ご活用いただけると幸いです。

　　2020年２月　　　岐阜大学教育学部准教授　／瀧沢　広人