- はじめに
- 第1章 「教師の関わり方」次第で授業は大きく変わる
- 1 「教材」と「教師の関わり」は両輪
- 2 「教師の関わり」は料理人の腕
- 3 万能な唯一の方法は存在しない
- 4 「教師の関わり」で教材と子どもを近づける
- 第2章 「教師の関わり方」がより深くわかる 算数授業スキルQ&A
- 集団で学びを深めるための基本
- どうすれば,教師中心ではなく,子ども中心の学びをつくることができますか?
- ・「授ける」から「引き出す」へ
- どうすれば,どの子も発言しやすい授業になりますか?
- ・「は・か・せ」至上主義からの脱却
- どうすれば,子どもがより深く追究する授業にステップアップできますか?
- ・4つの焦点化/授業MVP
- どうすれば,多様な子どもの発言を生かして授業を展開することができますか?
- ・問い返し発問
- 問題提示
- どうすれば,文章問題の場面を捉える力を育てることができますか?
- ・一文ごとに自力解決を取り入れる
- どうすれば,授業の導入から対話的な学びを実現することができますか?
- ・ペア交流
- 自力解決
- どうすれば,自力解決にかかる一人ひとりの時間差を少なくできますか?
- ・短いスパンの自力解決
- どうすれば,どの子にもちょうどよい自力解決の時間を設定できますか?
- ・子どもの思いや考え方を基準にする
- どうすれば,全体を見取りつつ,算数が苦手な子にも適切な関わりができますか?
- ・見取りの順番
- 全体交流
- どうすれば,より活発な交流の場面をつくることができますか?
- ・結果の一部からの推論
- どうすれば,もっと全員の学びが深まる交流をつくることができますか?
- ・正しくないことの証明
- 活発な交流になったのですが,テストの結果が散々でした…
- ・表現の変換
- どうすれば,友だちの発言を解釈する際の時間差を埋めることができますか?
- ・発言解釈のためのペア交流
- たくさんの考え方が出たとき,どの意見から取り上げればよいか迷ってしまいます…
- ・代表的な正しい考え方から一番遠い意見
- どうすれば,誤答をうまく生かした交流にすることができますか?
- ・逆転場面
- まとめ
- まとめがマンネリ化し,学びを振り返る場として機能していません…
- ・まとめ議論
- どうすれば,学んだことをしっかりと整理,定着させられる「まとめ」になりますか?
- ・まとめの更新
- ノート
- どうすれば,子どもが自分の学びを見つめ直すノートにすることができますか?
- ・心の声/メタ認知
- 小集団での追究場面で,ノートがまったく活用されることがありません…
- ・思考の集積場
- 板書
- 黒板を使っているのは教師ばかりで,子どもは十分に活用していません…
- ・黒板は「学級のノート」
- 1時間の中で何が大切なことだったのかがはっきりしない板書になってしまいます…
- ・「数学的な見方・考え方」のピックアップ
はじめに
Society5.0という新しい時代の幕開け,新型コロナウイルスの感染拡大。GIGAスクール構想による1人1台のPCやインターネット環境の拡充が後押しとなり,学校教育の姿は今後,大きく変わっていくでしょう。こうした中,世の中の教育に対する捉え方は,学校という場所に縛られることなく,ますます広がっていくことが予想されます。
では今後,学校教育の内容がすべてオンラインコンテンツなど学校外のものに代替され,「学び舎」そのものの存在が必要なくなるのかと言えば,私はそうは思いません。
むしろ,「学び舎」に人が集い,学びを深めていくことの価値は,より強調される時代になると考えるのです。
未来では,AI技術の発達により様々なものがロボット化され,人と人との直接的なコミュニケーションが今ほどは必要なくなるのかもしれません。しかし,そんな時代だからこそ,「人と人が直接会うことの価値」は,より高まっていくと考えるのです。
もちろん,これからの学校教育では,オンライン授業や外部コンテンツによる学習などに代替可能な内容は,次々と「学び舎」の外に位置づくことになっていくでしょう。結果的に,「人と人が顔を突き合わせながら,リアルタイムに思いや考えを共感,共有し合うことでしか深められない学び」はより洗練され,高い価値を担保し,未来へと引き継がれていくのです。
このように考えたとき,私たち教師は,「自身の授業は,果たして学び舎でしか実現できない価値ある学びとなっているのか」という大きな「問い」に,真に向き合うべきときが来たと言えるのではないでしょうか。
もし,「学び舎」における学びが,AI技術や様々なオンラインコンテンツによって代替可能なものしか提供することができないならば,「学び舎」という場所は,そして私たち教師は,その存在価値を失うからです。
「学び舎」にしかできない価値ある授業。それは何よりも,良質な教材と教師の優れた指導技術でしか創り上げることはできません。それ自体は,今も昔も,そしてこれからも変わらない学校教育の不易なのです。
本書は,今だからこそ未来に残していきたい,「『学び舎』にしかできない価値ある授業」を創るために欠かせない授業スキル(教師の関わり方)を,ベーシック,アドバンスの2冊で構成しています。
この本を手に取った読者の皆様が,これをきっかけに,これからの時代の価値ある学びを共に創る担い手となっていただけたなら,これほどうれしいことはありません。
そんな切なる思いを込め,本書を未来に残したいと思います。
2021年1月 /瀧ヶ平 悠史
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