小学校国語 「書くこと」の授業づくり パーフェクトガイド

小学校国語 「書くこと」の授業づくり パーフェクトガイド

この1冊ですべておまかせ!

観察記録、報告文、意見文、プレゼンテーション、新聞…など教材別に、「書くこと」の授業づくりについて徹底解説。どの子も書けるようにするための様々な工夫を、思考ツールやワークシートを交えながら紹介しています。すぐに使える楽しい活動のアイデアも満載!


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PDF
ISBN:
978-4-18-341826-5
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 184頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年12月4日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 「書くこと」領域の授業全体に通底すること
1 書くことのよさは何か
2 子どもたちはなぜ書けないのか
3 「書くこと」領域の6つの特性
4 「書くこと」指導の2つのタイプ
5 発達段階に応じた指導
6 ICTの賢い活用法
7 教科書の上手な使い方
8 書く活動を「読むこと」領域で生かす
9 書く活動で考える力をつける
10 視写・聴写で書く力をつける
第2章 活動別 指導のポイントと指導例
1 「観察記録」の指導のポイントと指導例
2 「報告文」の指導のポイントと指導例
3 「説明文(読み書き複合単元)」の指導のポイントと指導例
4 「意見文」の指導のポイントと指導例
5 「手紙」の指導のポイントと指導例
6 「リーフレット・パンフレット」の指導のポイントと指導例
7 「プレゼンテーション」の指導のポイントと指導例
8 「新聞」の指導のポイントと指導例
9 「短歌・俳句」の指導のポイントと指導例
10 「詩」の指導のポイントと指導例
11 「物語」の指導のポイントと指導例
12 「随筆」の指導のポイントと指導例
13 「登場人物の会話文を書き足す」ことの指導のポイントと指導例
14 「続き話をつくる」ことの指導のポイントと指導例
15 「視点を変えて書き換える」ことの指導のポイントと指導例
16 「穴のあいた箇所に言葉を書く」ことの指導のポイントと指導例
17 「間違いを探して正しい言葉に書き換える」ことの指導のポイントと指導例
第3章 すぐに使える書く活動のアイデア
1 「おもしろ日記」シリーズ
2 学期末の私への手紙
3 あらすじ紹介にならない読書感想文
4 時間をかけず充実させる行事作文
5 懇談会の中身を想像する作文
6 友だちへの感謝,尊敬のメッセージ
7 「なぞかけ」づくり
8 「あいうえお作文」づくり
9 大事な人に贈る一字
10 写真にひと言コメント
11 テーマを決めて動画撮影
12 チャットのトレーニング
13 筋道立った考えを書く3つのステップ
14 ノートの基本トレーニング

はじめに

 子どもたちに,こう指示します。

 「この間,みんなで桜ケ丘公園に行ったときの楽しかった思い出を作文に書きましょう。書き方は自由です。思い思いに書きましょう」


 指示を出して5分。

 すらすら鉛筆を走らせている子も数名いますが,まったく鉛筆が動かない子もいます。


 そのうちに,子どもから質問が出ます。

 「先生,書き始めはどうすればいいですか?」

 「先生,書き方がわかりません。どうやって書けばいいですか?」

 次第に教室は騒然とし始めます。


 作文を書く授業で起こりがちな場面の1コマです。

 子ども一人ひとりには,もって生まれた能力はありますが,能力は引き出してあげないと発揮されません。

 自由に書く時間を与えるだけでは,決してクラス全員が自分の力で時間内に書くことはできないのです。

 知識社会学の研究者である渡邉雅子氏は『「論理的思考」の社会的構築―フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』(2021,岩波書店)の中で,フランスの小学校の国語の授業では「まず手本となる詩や物語を,文法を使って分析し,鑑賞した後に,児童に手本をなぞらせる」と述べています。

 しかるべき型を身につけさせてから,文章を書いていくという活動の流れが見えてきます。

 書く行為は,授業の中で,学習課題に対する自分の考えを書くことから,数時間かけてパンフレットをつくるという活動に至るまで,様々に行われています。

 そのそれぞれについて,時間を与えるけれども,「書き方」の指導をしなければ,子どもたちは書くことができるようになりません。

 一方で,適切に書き方を指導すれば,子どもたちはしっかりと書けるようになります。

 また,書き方を身につけることで,次に同様の課題と出合ったときに書き方に困ることなく書いていくことができます。加えて,適切な書き方を指導された子ども一人ひとりの文章の内容は,実に個性的です。


 では,どのようなときに,どのように指導したら,子どもたちに満足のいく内容を書かせることができ,書き方を身につけさせることができるのでしょうか。

 本書では,1時間の授業の学習課題に対する筋道立てた意見の書き方から,日記の書き方,新聞づくり,パンフレットづくりといった数時間かけた活動に至るまで,子どもたちが,意欲をもち,書き方を理解し,円滑に書き,そして満足感を得られるような具体的な指導のアイデアを提案しています。

 また,書くことを通して,読む力を高めるための指導のアイデア,書くことそのものを楽しむ指導のアイデア,タブレット端末等を活用した指導のアイデアなど,様々な視点から書く活動の提案をしています。

 子どもが書くことが好きになり,書くことに自信をもち,書くことで自他を高めていける国語教室づくりのヒントになることを願っています。

 最後になりましたが,明治図書出版の矢口郁雄氏には,大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。


  2022年8月   /小林 康宏

著者紹介

小林 康宏(こばやし やすひろ)著書を検索»

長野県生まれ。横浜国立大学大学院修了後,長野県内の公立小中学校に勤務。元長野県教育委員会指導主事。現和歌山信愛大学教授。

日本国語教育学会理事。全国大学国語教育学会会員。きのくに国語の会顧問。東京書籍小学校国語教科書「新しい国語」編集委員。東京書籍中学校国語教科書「新しい国語」編集委員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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