中学校国語科 クラス全員が必ず書けるようになる指導技術
すぐに使える練習ドリル付き

中学校国語科 クラス全員が必ず書けるようになる指導技術すぐに使える練習ドリル付き

コピーして使えるドリルで論理の型を身につけさせよう

高等学校新学習指導要領国語に基づく高校の授業及び入試の変容は、中学国語科授業の改善に直結する。大学入学テストにおける記述問題の導入も視野に、論理的思考力の育成が重視される中、本書はクラス全員が必ず書けるようになる指導技術の一方法を提案するものである。


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PDF
ISBN:
978-4-18-341915-6
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 200頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年11月25日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第一章 中学生はなぜ「書くこと」が苦手なのか
1 生徒の立場
(1) 書くことがない、書き方が分からない、書きたくない、書いたことがない
(2) 読書感想文はあらすじで原稿用紙を埋める
2 教師の立場
(1) 論理的文章を「書く」授業の仕方が分からない
(2) 教科書の「書くこと」の単元をとばす
3 中学生が書く論理的文章とは科学論文の中学生版―小論文―
コラム 大学生も書くことが苦手
第二章 新学習指導要領が求める「書くこと」の学習指導とは何か
1 新設された「情報の扱い方に関する事項」では論理的思考力の育成が求められている
2 新テストの記述式問題では論理的思考力・表現力を求めていた
3 〔思考力、判断力、表現力等〕「B 書くこと」の学習で要求している能力とは
4 ますます必要となった論理的思考力
(1) なぜ国語科で論理を教えるのか?
(2) 言葉は論理といえるのか?
(3) 思考力と論理的思考力とは違うのか?
(4) 論理的思考には種類がある?
(5) 国語科で論理的思考を育成する必要がある?
(6) 明治の文豪の論文例―森鴎外・夏目漱石・寺田寅彦―
@ 森鴎外の論文
A 夏目漱石の論文
B 寺田寅彦の論文
第三章 論理的文章についての常識・非常識
1 文法を知っていると文章が楽に書ける?―きりっとした文章を書くには―
2 文章を書くには文学的センスが必要か?―文章は書いていくうちに発展する?―
3 「こと」・「もの」は具体的にいい換えよう
4 便利な言葉「要点を押さえる」「活性化」を使わない
5 バイアス・ワード(傾向語)にだまされない
6 句読点の付け方
7 抽象概念は漢字のおかげ
8 文体は個性の始まり
第四章 だれにでも教えることができる「書くこと」の授業の基礎
1 「小論文」は自然科学論文の初歩である
(1) 生活作文と小論文との違い
(2) 小論文は科学論文の書き方指導書に学ぶべし
@ 文章構成
A 段落とキーワード
B 事実の書き方
2 「小論文」の書き方指導を始めるために
(1) 教科書の論理的文章教材を読む
@ これまでの論理的文章を読む学習の問題点
A 教科書の論理的文章教材の課題
(2) 中学生が書いた「小論文」を読む
@ 中学1年の書いた「小論文」
A 中学2年の書いた「小論文」
B 中学3年の書いた「小論文」
(3) 文章構成「はじめ・なか1・なか2・まとめ」に気づく
第五章 クラス全員が必ず書けるようになる「書くこと」の授業
1 報告の書き方編
(1) 報告は学校行事が適している
(2) 授業時数
(3) 国語教科書の「書くこと」の単元の扱い方
(4) 3年間の学習計画
(5) 小論文学習の全体像
@ 学習目標
A 学習計画(4時間扱い)
B 主な発問・指示及び評価
(6) 使用する教材
教材1 「小論文の書き方」プリント
教材2 「小論文書き方ワーク」
教材3 「どちらがじょうずかな」プリント
【資料編】
教材1 「小論文の書き方」プリントの解説
教材2 「小論文書き方ワーク」の解説
2 論説の書き方編
(1) 経験を基に主張を書く
(2) 学習計画、主な発問・指示、使用する教材
3 説明の書き方編
(1) プレゼンテーションの基礎を身につける
(2) 読み上げ原稿を作成する
(3) スピーチの3年間の計画
(4) スピーチ学習の全体像
@ 学習目標
A 学習計画(4時間扱い)
(5) 主な発問・指示及び評価
(6) 使用する教材
教材1 「スピーチ聞き取りメモ」
4 記録の書き方編
(1) 事実の記録の仕方
(2) 日記で記録の文章を書く習慣をつける
(3) 日記の書き方例(中学3年)
5 読書感想文の書き方編
(1) 夏休みの宿題は読書記録カードにする
(2) 二学期最初の国語科授業で読んだ本を持参
(3) 主な発問・指示及び評価
(4) 読書感想文コンクールへは希望者が応募する
6 自己PR文・自己推薦書編
(1) 小論文やスピーチ原稿等を3年間保管
(2) 経験に基づいてPRする
第六章 「書くこと」の授業における指導技術
1 授業内で書く
2 一単元を4時間以内で、一斉に書く
3 原稿用紙1枚、400字で書く
4 一年間に5課題を書く
5 評価が要である
6 国語科の授業内で添削・評価を指導する
(1) 黒板添削での評価の観点の提示
(2) 添削には「○」印をつけてから
(3) 具体的事例を中心に指導
(4) 教師による評価
(5) 段落ごとの評価
(6) 「評価の授業」の設定
(7) 最終の評価は花印で押す
7 各教科や総合的な学習の時間で、小論文の書き方指導を生かす
8 高校入試の記述式問題に対応できる
第七章 実践 学年・学校全体で論理的文章を書く
[1]学年全員が論理的文章を書ける―北海道札幌市立元町中学校1年の取り組み―
1 特色
(1) 学年での取り組み
(2) 教科書の論理的文章教材や、リライト教材を「読む」学習と系統的に設定
2 学習指導計画
3 生徒作品
@ C評価の作品(1回目「家の手伝い」)
A C評価の作品(3回目「班・係活動」)
B B評価の作品(2回目「炊事学習」)
C B評価の作品(4回目「二学期の行事」)
D A評価の作品(3回目「班・係活動」)
E A評価の作品(5回目「中学1年の思い出」)
F 個人の変遷
4 成果、課題、他の「書く」活動への影響
(1) 成果
(2) 課題
(3) 他の「書く」活動への影響
[2]全学年が論理的文章を書ける―東京農業大学第三高等学校附属中学校―
1 特色
(1) 「論理の時間」を学校で統一して設定
(2) 一人の教師が全学年を週に1時間指導
(3) 全校で同様のテーマ・指導計画・字数で指導
2 学習指導計画(二〇一八・二〇一九年度)
3 生徒作品
@ C評価の作品(1回目「家の手伝い」中学2年)
A C評価の作品(4回目「係活動」中学1年)
B B評価の作品(1回目「家の手伝い」中学2年)
C B評価の作品(2回目「体育祭」中学3年)
D A評価の作品(4回目「係活動」中学1年)
E A評価の作品(5回目「一年間の思い出」中学3年)
F 個人の変遷(1回目「家の手伝い」・4回目「係活動」・5回目「一年間の思い出」中学1年)
4 他教科への活用
(1) 五教科の学習レポートを書く
(2) 英語のライティング・スピーキングへの応用
5 成果、課題、他の「書く」活動への影響
(1) 保護者からの期待
(2) 効果測定として実施した検定試験結果
(3) 小論文を書く能力は3回目または4回目で向上する
(4) 授業展開上の問題点
(5) 生徒による「論理の時間」の授業の振り返り
第八章 すぐに使える論理の練習ドリル
1 基礎(中学1〜2年)
2 段落(中学1〜3年)
3 一段落一事項(中学1〜3年)
4 名前のつけ方(中学1〜3年)
5 具体と抽象(中学1〜3年、中学・発展)
6 論理的思考の組み立て方(中学1〜3年)
7 事実か意見か(中学1〜3年)
8 事実(「なか」)の書き方(中学1〜3年)
9 考察(「まとめ」)の書き方(中学1〜3年)
10 結論(「むすび」)の書き方(中学3年)
11 序論(「はじめ」)の書き方・題名のつけ方(中学1〜3年)
12 図・表・グラフの読み方(中学1〜3年)
13 情報の信頼性(中学2・3年)
14 論理的文章の文体(中学1〜3年)
15 論証の誤り(中学・発展)
あとがき
参考文献

はじめに

 二〇一八年三月告示の高等学校学習指導要領国語で「現代の国語」と「言語文化」が2単位ずつ必修となった。「現代の国語」の「読む」教材は「現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章とする」と明記された。必修の半分を論理的文章を読み、書き、話し、聞く学習に充てるという。高等学校国語科授業の変容は高校の入試を変え、中学国語科授業の改善に直結する。

 二〇一九年十二月に、二〇二一年一月実施の大学入学共通テストでの記述式問題の導入が見送られた。記述式問題の導入は文部科学省の英断と捉えているので、早期の実施を期待している。

 本書では、クラス全員が必ず書けるようになる指導技術の一方法を、具体的に提案する。教科書の文章を読み解けていない子どもがいるという報告がある中、中学生が書いた分かりやすい文章を読み、それに基づいて論理的に書く力を伸ばそうという試みである。本書での学習指導は複数の中学校で取り組み、成果を既に上げている。第七章で先駆的な中学校を2校紹介する。巻末にコピーをすれば、すぐに使えるドリルも載せている。

 現在、多くの中学校が臨時休校である。今ほど、中学生が不安や悩み、困ったこと、明日への希望など、その思いや考えを言葉にし、表現する必要が迫られているときはないであろう。先生方に本書を活用いただき、生徒の論理的思考力・表現力の育成の一助になれば幸いである。


  二〇二〇年五月五日   /長谷川 祥子

著者紹介

長谷川 祥子(はせがわ さちこ)著書を検索»

1987年埼玉大学教育学部卒業,2006年早稲田大学大学院教育学研究博士後期課程満期修了。1987年から東京都公立学校教諭,2013年北海道教育大学,2017年より青山学院大学勤務。

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北海道札幌市立元町中学校

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東京農業大学第三高等学校附属中学校

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 筆者に明確な自説があることが、良い点でもあり危うさや脆さを感じる点でもある。近年の答申等で述べられている理想論とは対極の、目の前の子どもの実態に立脚した、地に足のついた論説と言えるだろう。
      2024/2/2520代・中学校教員
    • 多岐にわたる実践事例が細かく紹介されていて感心しました。
      2023/8/22iroirotomaton
    • 研究を踏まえた実践例が載っていて、勉強なった。ぜひ高校編も出してほしい。
      2021/3/1220代・高校教員
    • すぐに使えるドリルがあって便利。具体的に考えるヒントになる。
      2020/8/11名古屋遊行上人
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