- はじめに
- 理科3年
- 01 コップ飛ばし【風とゴムの力の働き】
- 02 マグヌスコップ【風とゴムの力の働き】
- 03 風に向かって進む車【風とゴムの力の働き】
- 04 紙コップカメラ【光と音の性質】
- 05 空き缶で凹面鏡づくり【光と音の性質】
- 06 鏡を使わない万華鏡【光と音の性質】
- 07 ストロー笛【光と音の性質】
- 08 ダンシングスネーク【光と音の性質】
- 09 タピオカクント管【光と音の性質】
- 10 あいうえおコップ【光と音の性質】
- 11 アルミパイプの楽器【光と音の性質】
- 12 骨伝導の音【光と音の性質】
- 13 ぺたぺたペンギン【磁石の性質】
- 14 飛びつくネズミ【磁石の性質】
- 15 バラバラ磁石【磁石の性質】
- 理科4年
- 16 ペットボトル空気砲【空気と水の性質】
- 17 ペットボトル風船【空気と水の性質】
- 18 ストローロケット【空気と水の性質】
- 19 空気の重さ体感【空気と水の性質】
- 20 ラップ割り【空気と水の性質】
- 21 簡単ホバークラフト【空気と水の性質】
- 22 全反射コップ【空気と水の性質】
- 23 大気圧コップ【空気と水の性質】
- 24 水でペットボトル持ち上げ【空気と水の性質】
- 25 浮沈子【空気と水の性質】
- 26 水が凍る瞬間を観察しよう【空気と水の性質】
- 27 乾電池で着火【電流の働き】
- 28 導線1本で豆電球点灯【電流の働き】
- 29 電気が流れるもの探し【電流の働き】
- 理科5年
- 30 ミョウバンの大きな結晶づくり【物の溶け方】
- 31 ハンガー回し【振り子の運動】
- 32 共振振り子【振り子の運動】
- 33 スチロールシート【植物の発芽,成長,結実】
- 34 ミジンコの観察【動物の誕生】
- 35 ペットボトルの中に雲をつくろう【天気の変化】
- 理科6年
- 36 シャボン玉で気体の実験【燃焼の仕組み】
- 37 色のついた炎【燃焼の仕組み】
- 38 ラムネづくり【水溶液の性質】
- 39 紫色のジュースの色変わり【水溶液の性質】
- 40 石灰水づくり【水溶液の性質】
- 41 うがい薬で実験【水溶液の性質】
- 42 色変わり焼きそば【水溶液の性質】
- 43 紙のペンスタンド【てこの規則性】
- 44 手回し発電機で電球をつけよう【電気の利用】
- 45 電池式ホバークラフト【電気の利用】
- 46 最も簡単なモーターをつくろう【電気の利用】
- 47 充電おもちゃ電車【電気の利用】
- 48 オブラートで水の姿を観察【植物の養分と水の通り道】
- 全学年
- 49 逆立ちゴマ
- 50 紙コップでカルメ焼き
- 51 割り箸で紙すき
- 52 水中シャボン玉
- 53 ドライアイスでいろいろ実験
- 54 ペンシルバルーンの伸び縮み
- 生活科
- 55 スポイトあそび
- 56 超撥水あそび
- 57 浮き沈み
- 58 砂鉄あそび
- 59 磁石あそび
- 60 静電気あそび
はじめに
○エンターテインメントの中で科学を学ぼう
1980年代に,理科を苦手とする子どもたちが増加したと考えられたことから,「理科離れ」「理科嫌い」という言葉が使われました。この対策の一つとして,1992年に科学技術館で「青少年のための科学の祭典」全国大会が始まったのをきっかけに,全国で様々な児童生徒向けの科学イベントなどのサイエンスコミュニケーションが行われるようになりました。
そして,科学実験・工作が,「エンターテインメント」になっていきました。子どもたちは,テレビやイベントの実験・工作に目を輝かせて見たり取り組んだりしています。
本書では,筆者がこれまでサイエンスショーや実験教室で行ってきた,子どもをわくわくドッキリさせるような面白い実験・工作を「科学あそび」としてまとめました。
子どもたちは,実験・工作が大好きです。実験・工作を通して,子どもたちは科学を楽しみながら様々な現象を学び,科学への興味関心を高めています。エンターテインメントの中で科学を学ぶ,これが「科学あそび」です。
○科学あそびで,子どもたち主体の授業に
本書で紹介する科学あそびは,実験教室やサイエンスショーで行った実験・工作の中から,小学生が楽しみながら学べるものや,小学校の先生に授業で使ってほしいものを選びました。先生方がこれらの実験を小学校の理科授業の導入やまとめの場面で使うことで,現象を楽しんだり,原理の理解につながったりするのではないかと思います。
例えば,3年「風とゴムの力の働き」の学習では,導入の場面でプラスチックコップを飛ばすあそびを紹介しています。ゴムの本数や伸ばし方を変えてみると,コップの飛び方が変わります。なかなか上手に飛ばせず,意欲が続かない子がいることもありますが,本書で紹介する「マグヌスコップ」(p.11)のように飛ぶコップを曲げる技を使うと,子どもたちは自分でもやってみたい,上手に飛ばしたいと感じ,夢中になります。すぐにコップを飛ばせるようになった子も,教師の紹介する不思議な飛ばし方に興味をもち,自分たちでも工夫を始めます。
授業の導入で,いろんな疑問をもつことができれば,子どもたちが主体的に取り組む授業になります。単元のまとめの場面では,風車を使って動く車をつくれば,子どもたちはものづくりの楽しさも経験できます。風に押されて進むだけでなく風に向かって進む車の様子に,子どもたちはものづくりを楽しむだけでなく,実験にも疑問をもって取り組みます。
また,生活科の授業で取り入れることができる科学あそびも紹介しています。学習指導要領の生活科の教科の目標では,小学校3年生以降に学ぶ理科授業で身に付けてほしい資質・能力の基礎となる力を身に付けることをねらいとしています。子どもが周りの自然と関わる様々な科学あそびの中で,自然の事象・事物に目を向けることができるようになることで,理科を学ぶための基礎となる経験ができると考えています。
○本書の特徴
本書の特徴として,授業で使うことができるサイエンスコミュニケーションの実験や教材を紹介していることが挙げられます。これまで見たことがない実験・工作や,見たことはあるけれど,どのように授業に取り入れるか悩んでしまう実験・工作について,それぞれの成功のポイントに加えて,教師のプレゼンテーションの一部や,子どもの反応の例も紹介しました。筆者がサイエンスショーなどでお話ししたセリフを思い出して書いています。実験では子どもたちは先生のおしゃべりも楽しみにしています。
また,紹介した実験・工作は,比較的簡単な準備で可能な内容がほとんどです。筆者は,多くの材料を100円ショップやホームセンター,最近ではインターネット通販で購入しています。本書で紹介する準備物は,比較的簡単に入手できるようになっています。
これらのあそびを授業で使う前に,ぜひ先生ご自身で試してみてください。本で読むとわかった気になりますが,実際にやってみるとひと工夫して行う必要があるものがあります。簡単そうに見えても,意外に難しい実験・工作もあるのではないかと思います。
本書で紹介した科学あそびには,筆者がオリジナルで考えた実験・工作もあります。いろいろな先生から教えていただき,自分なりに教材や提示方法をアレンジして行った実験・工作もあります。担当していた科学部の生徒たちと,試行錯誤しながらやり方を考えた実験・工作もあります。参考にさせていただいた文献や内容はできるだけ紹介いたしましたが,20年間のことなので抜けがあるかと思いますが,ご容赦ください。
これまで多くの先生方に教えていただいた成果として本書をまとめています。これまでお話しさせていただき,実験・工作を教えていただいた先生方に感謝の意を表します。
また,本書の中の写真は,これまでの実験教室の写真を使い,子どもたちの反応をわかりやすく伝えたつもりですが,普段のサイエンスショーや実験教室では写真を撮ることができないため,本書の作成にあたって多くの写真を撮影しました。協力いただいた多くの先生方の多大なる支援に感謝の意を表します。
/月僧 秀弥
-
- 明治図書
- おもしろい2023/1/2330代・小学校教員