- はじめに&本書のコンセプト
- 成功する「学級開き」ってどうやってつくればいいの?
- CASE1 学級開きでは範を示す
- CASE2 ねらいに迫る工夫を考える
- 学級目標をただの飾りにしないためには?
- CASE1 つくった学級目標を機能させる
- CASE2 学級目標の定着を図る
- お互いを認め合うクラスってどうやってつくるの?
- CASE1 成長した瞬間を見逃さない
- CASE2 認め合いを「当たり前」にしていく
- どんな掲示物が,本当に必要な掲示物なの?
- CASE1 掲示物は子どもたちファーストで問い直す
- CASE2 子どもたち自身に掲示させる
- 学級を成長させる席替えの方法は?
- CASE1 子どもが決める機会をつくる
- CASE2 クラスの成長に応じた席替えをする
- 朝の会や帰りの会が形骸化してしまう
- CASE1 ねらいをはっきりさせて豊かな時間にする
- CASE2 無駄をそぎ落とす
- 係活動が停滞してしまう
- CASE1 活動のねらいをはっきりさせ促進させる
- CASE2 システムと競争原理を取り入れる
- 何度指導しても,給食の準備・片付けがうまくいかない
- CASE1 早く丁寧な準備を叶えるタイム測定&声かけ
- CASE2 見通しのもてる分かりやすい指導
- 掃除をサボる子が多く,まったくきれいにならない
- CASE1 やる気を価値づける
- CASE2 責任をもたせる
- 整理整頓ができず教室が散らかっている
- CASE1 整理整頓のための時間を確保する
- CASE2 具体的なシステムをつくる
- 挨拶ができない
- CASE1 挨拶の価値を伝える
- CASE2 挨拶は量から質へと高める
- 話を聞くことができない
- CASE1 子どもたちにまずは自覚させる
- CASE2 「指示」と「説明」を見直す
- 子ども間の注意の声かけがきつい
- CASE1 注意する場面と方法を指導する
- CASE2 子どもたち自身に考えさせる
- 褒めるより叱るほうが多くなってしまう
- CASE1 ブレないための軸をもつ
- CASE2 具体的行為を価値づけて褒める
- 子どもからなめられるかもという不安に苛まれる
- CASE1 指導は一貫させる
- CASE2 最も大切なことは信頼されること
- 男女の仲がいまいちよくない
- CASE1 男女ではなく一個人として捉える
- CASE2 教師との信頼関係を築く
- 行事が盛り上がらない
- CASE1 準備段階から子ども自身を主役にする
- CASE2 評価をする
- 言葉遣いが徐々に乱れてきた
- CASE1 あらためて信頼関係づくりをする
- CASE2 ロールプレイングで実感させる
- ごまかしたり,嘘をついたりする子
- CASE1 逃がしどころを見極める
- CASE2 事実と気持ちははっきり分ける
- 叱ったり指導したりするとすねてしまう子
- CASE1 伝え方を工夫する
- CASE2 注意すべきことは絞る
- 友達とあまり関わらないおとなしい子
- CASE1 ありのままを受け入れる居場所づくり
- CASE2 関わりを多くする手立てを増やす
- 支度が間に合わない子
- CASE1 やるべきことを見える化する
- CASE2 個々の背景・環境も含めて指導する
- 学級経営に保護者を巻き込みたい
- CASE1 保護者参加型にする手立てを仕組む
- CASE2 学級通信と一筆箋を活用する
- おわりに―事例研究の大切さ
はじめに&本書のコンセプト
若手教師の学級づくりでの悩みを解決したい!
本書は「あるある困った場面」シリーズのうち,学級経営に主眼を置き,具体的実践を集めた1冊です。
そもそも,このシリーズを書くことになったきっかけは,私が教員サークル活動を進めていく中で多くの若手教師と接していて,以下のようなことに気づいたからです。
若手教師がつまずくことはすべて同じではないが,かなり似通っている
ためしに,目次ページをご覧ください。
「あぁ,これある!」という場面ばかりだと思います。このような場面は誰しもが経験するもので,対処法やそもそもそういう場面に直面する,ということを知っておくのと知らないのとでは大きな差になります。
このシリーズでは,そんな「あるある困った場面」に対する有効策を紹介しています。
前著『新任3年目までに身につけたい 困った場面をズバリ解決!指導術』では,授業づくり,学級経営,子どもとの関わり,保護者対応,同僚との関わり,仕事術の6つの項目ごとに,若手教師が直面する「あるある困った場面」を挙げ,それぞれに対して解決策をイラストとともに分かりやすく示しました。
とりわけ,学級経営は小学校教師にとって仕事の中心ともいえ,これが上手くいかないと1年間苦しい思いをすることになります。
もちろん,授業も大事ですが,若手教師にとって安定した学級経営ができる力は,より重要だと私は考えています。
ですから,「あるある困った場面」シリーズの続編として,学級づくりの具体的な対応策を本書ではまとめました。
ほとんどの若手教師が経験する「困った場面」を掲載!
「若手教師」とひと口に言っても様々な方がいますが,それでも意外なほど若手教師が経験する悩みは似たことが多いものです。
私自身,初任者〜3年目までの間にこれらの悩みの多くを経験しました。一つ一つは細かい悩みであっても,積み重なると「どうしたらいいのか分からない!」と途方に暮れてしまうこともありました。
新卒時に多くの教師が学級崩壊やそれに似た状況を引き起こしてしまう,と言われていますが,実はその原因が本書に挙げたような悩みの場面でうまく対応できなかったということもあるかもしれません。
教育は細かいことの「積み重ね」です。挨拶ができない子たちにどのように指導するか,騒がしいときにどうするか,給食の準備が遅いときどうするか……など,これらの場面においてどう対応するかは,「絶対的な正解」はないものの,教師がその場その場で「最適解」を考え実行していくことで,子どもが少しずつプラスの方向へ進むことができます。
しかし,これらの場面すべてで「不正解」を選択し実行していくことを「積み重ねて」しまっていったら……子どもは確実にマイナスの方向へ進んでしまいます。教師の言うことに耳を貸さなくなり,子ども同士のトラブルが多発し,授業が成立しなくなってしまうこともあります。
本書はそのような,若手教師のほとんどが経験し,なおかつ実は重要な「あるある困った場面」の事例をたくさん取り上げました。その一つ一つの悩み,困りに,「少し先輩」の立場から答えたのが本書なのです。
本書に挙げた「あるある困った場面」は実際に私やサークルメンバーが経験したものです。しかも,我々の年齢層は20代後半〜30代ですので,まだまだその場面での記憶も鮮明です。若手教師の思い,立場や状況なども加味したうえでのアドバイスとなっています。
具体的な実践を2本ずつ掲載!
本書の大きな特徴が,一つの「あるある困った場面」につき,二つの具体的実践を掲載している,ということです。
困った場面自体は「あるある」でも,日本全国に同じ教室は二つとありませんし,同じ子どもも2人といません。すべての状況は「特殊」であるとも言えます。そんな中「こうすればすべて問題は解決され,うまくいく」という方法は残念ながら存在しません。
前著『新任3年目までに身につけたい 困った場面をズバリ解決!指導術』ではどちらかというと「基本的」な対応について掲載しました。そのため,それで解決する場合もあれば,それでは通用しない場合もあったかもしれません。繰り返しになりますが,絶対的な正解,万能な手法などないからです。
そこで本書では,さらに詳しい具体的実践を二つ掲載し,その中から読者である先生方が,指導の引き出しを増やし,本書に書かれている実践から選んだり組み合わせたりして,目の前の子どもたちにとっての「最適解」を導き出していただく,ということを目指しました。
私を含めた「KYOSO’s」のサークルメンバーたちで実践して,効果があった内容やその問題への考え方などをなるべく具体的に書きました。中には,二つの実践が大きく異なるものもあります。だからよいのです。それらをお読みになり,「これはうちのクラスでやれそうだな」とか「この考えには納得できるな」というものを取り入れていっていただければいいですし,「この実践のここと,あの実践のあれを組み合わせたらなおよさそうだ」などと組み合わせてもよいでしょう。
いずれにせよ,一つの問題に対して二つの実践が掲載されていることで,それらを比較しながら読むことができ,実践の引き出しを増やすことができるのです。
少し経験を積んで,様々なケースを経験してこられた若手の先生にこそ,お読みいただきたいと願っています。
編著者 教育サークルKYOSO’s代表 /土居 正博
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