- はじめに
- 1章 どの子も漢字の時間が待ち遠しくなる!「授業」で漢字指導
- 学びのフローチャート
- 1 出会いの演出で漢字が好きになる!低学年漢字指導術
- (1) 漢字が好きになる演出@ 絵画効果
- (2) 漢字が好きになる演出A リズム効果
- (3) 漢字が好きになる演出B ゲーム感覚効果
- (4) 漢字が好きになる演出C 変化のあるひと手間効果
- (5) 漢字が好きになる演出D レベルアップ見える化効果
- 2 漢字が友達,親友に!中・高学年漢字指導術
- (1) 漢字が友達になる仕掛け@ タイムリー指導
- (2) 漢字が友達になる仕掛けA 漢字くん紹介型指導
- (3) 漢字が友達になる仕掛けB フラッシュカード型指導
- (4) 漢字が親友になる仕掛け@ 1日まるごと漢字指導
- (5) 漢字が親友になる仕掛けA 前もって漢字指導
- 3 子供熱中!“自分たち授業”で漢字学習
- (1) 自分たち授業で漢字に熱中@ 漢字探しタイム
- (2) 自分たち授業で漢字に熱中A 漢字対決・作成タイム
- (3) 自分たち授業で漢字に熱中B 辞書引きタイム
- (4) 自分たち授業で漢字に熱中C 難問漢字検定タイム
- (5) 自分たち授業で漢字に熱中D 漢字カードタイム
- 学びのキーワード
- 2章 どの子も漢字の時間が待ち遠しくなる!「教室環境」で漢字指導
- 学びのフローチャート
- 1 資料にひと工夫!「知的学級掲示」で漢字指導
- (1) 授業に登場すると「知的学級掲示」で再登場!
- (2) 立ち止まって考える「ミスバチ漢字」
- (3) 子供たちが作成する「漢字くん紹介」
- (4) 想像力を働かせる「ばらばら漢字」
- (5) 他教科のまとめ掲示で「再会・出会い漢字」
- 2 ゲーム感覚で学ぶ!「ゲーミフィケーション型掲示」で漢字指導
- (1) ゲーミフィケーション型掲示@ 運試し編
- (2) ゲーミフィケーション型掲示A 切り貼り編
- (3) ゲーミフィケーション型掲示B 創作・創造編
- (4) ゲーミフィケーション型掲示C 発見編
- (5) ゲーミフィケーション型掲示D 調べ編
- 3 出会いを楽しむ!「学級文庫」で漢字指導
- (1) 学級文庫は「辞典・字典・事典」を活用する場
- (2) 学級文庫は「面白漢字問題」に出会う場
- (3) 学級文庫は「カルタ・カード」を常備する場
- (4) 学級文庫は読書量アップで「未知の漢字」と出会う場
- (5) 学級文庫に時折「漢字パズル」が出現する
- 学びのキーワード
- 3章 どの子も漢字の時間が待ち遠しくなる!「テスト」で漢字指導
- 1 学び方が変わる!「上達型テスト」で漢字指導
- (1) 「何級型」漢字テストで学び方が変わる!
- (2) 「ヒント付き」テストで学び方が変わる!
- (3) 「付け足し型」テストで学び方が変わる!
- (4) 「調べ型」テストで学び方が変わる!
- (5) 「漢字リンピック」で学び方が変わる!
- 2 いつでもどこでも!「発見型テスト」で漢字指導
- (1) 発見型!身の回りの物から漢字テスト
- (2) 発見型!教科書・辞典から漢字テスト
- (3) 発見型!答えを見ていい漢字テスト
- (4) 発見型!間違いを見つける漢字テスト
- (5) 発見型!部分から漢字を想像するテスト
- 3 深く学ぶ!「挑戦型テスト」で漢字指導
- (1) 挑戦型!どれを漢字にできるか究極の漢字テスト
- (2) 挑戦型!家に持って帰って行う漢字テスト
- (3) 挑戦型!どうやって覚えるか思考漢字テスト
- (4) 挑戦型!漢字の書き順作成テスト
- (5) 挑戦型!スピード漢字カード取りテスト
- 学びのキーワード
- 4章 どの子も漢字の時間が待ち遠しくなる!「宿題」で漢字指導
- 1 漢字テストへの布石「宿題漢字プリント」で漢字指導
- (1) 挑戦! 点つなぎ型宿題漢字プリントの秘密
- (2) 挑戦! 線つなぎ型宿題漢字プリントの秘密
- (3) 挑戦! 暗号型宿題漢字プリントの秘密
- (4) 挑戦! 迷路型宿題漢字プリントの秘密
- (5) 挑戦! 宿題くんプリントの中で漢字の秘密
- 2 授業・知的学級掲示に活きる「作成型宿題」で漢字指導
- (1) 子供たちが作成!変身ミスバチ漢字
- (2) 子供たちが作成!変身ばらばら漢字
- (3) 子供たちが作成!漢字くん紹介プリント
- (4) 子供たちが作成!点つなぎ・線つなぎ問題
- (5) 子供たちが作成!フラッシュカード用問題
- 3 全員が喜んで書く「作文宿題」の場で漢字指導
- (1) 学校の行き帰り発見作文で漢字指導
- (2) じっくり観察作文で漢字指導
- (3) 分析を楽しむ作文で漢字指導
- (4) 上手い説明作文で漢字指導
- (5) メディア活用作文で漢字指導
- 学びのキーワード
- 5章 どの子も漢字の時間が待ち遠しくなる!「自学」で漢字指導
- 1 工夫した練習の連続!「ドリル型」漢字自学
- (1) びっしり練習「ドリル型」漢字自学
- (2) 漢字ワークマネッコ「ドリル型」漢字自学
- (3) 工夫漢字くん紹介「ドリル型」漢字自学
- (4) 先取り・特訓「ドリル型」漢字自学
- (5) 4つ切り「ドリル型」漢字自学
- 2 授業・宿題を活かす!「続き学び・つながり学び」漢字自学
- (1) イラストマニュアルで「続き学び」漢字自学
- (2) 漢字分析で「続き学び」漢字自学
- (3) 漢字クイズ問題作成で「つながり学び」漢字自学
- (4) 他教科で一石二鳥「つながり学び」漢字自学
- (5) 分析作文に漢字多用「つながり学び」漢字自学
- 3 家族を巻き込む!「共育・協育・驚育」で漢字自学
- (1) 家族も一緒に楽しむ〈漢字すごろく〉タイム
- (2) 家族も一緒に考える〈漢字ワーク〉タイム
- (3) 家族みんなで楽しむ〈はてな発見通信〉タイム
- (4) 漢字自学を活性化する源〈共育カード〉
- (5) 保護者を漢字学びの場に巻き込む〈学級懇談〉
- 学びのキーワード
- 「漢字定着5システム指導法」とリンクする実践本
- おわりに
はじめに
「漢字定着5システム指導法」という言葉,耳慣れないと思います。
簡単に言えば,クラスの子供たち全員が,漢字に出会うことが楽しい,待ち遠しいという「場」を5つ用意するということです。
どんな5つの「場」を用意するのか,簡単に説明します。
この5システム指導法をスタートしたのは新採4年目,転勤と同時に5年生を担任した25歳の時です。今から30年以上も前のことです。
クラスの子供たちは,45名。
4月スタートの時に取ったアンケートの中に,多くの子供たちが「漢字を覚えるのは苦手,嫌い,楽しくない。漢字練習は面倒くさい。」などの言葉を書いていました。
そんな子供たちが,わずか1,2ヶ月でこんな言葉を言い始めます。
「先生,漢字テストまだですか。漢字テストが待ち遠しいです。」
「先生,いつの間にか新しい漢字を全て覚えてしまいました。」
「先生は,この漢字読めますか。難しいですよ。」
「先生,家で漢字対戦をしているんですよ。ぼくが今,家で一番漢字に強いんですよ。お父さん・お母さんにめっちゃ褒められています。」
なぜ,こんな言葉を口にするようになるのか。
それは,子供たちが今まで体感してきた「漢字指導」に少しだけ手を加えたからです。
5年生の子供たちに聞くと,漢字指導とは国語の授業のはじめに「音読み・訓読み・部首・画数・書き順・熟語」などの確認があって,何回か練習するというもの,という言葉が返ってきました。
宿題は,漢字ドリル・スキルの何ページをノートに写してくる。日々その繰り返しだったと言います。
1年生から4年生まで同じパターンだったらしいのです。
それでも,漢字を覚えることができない。漢字の練習をするのが楽しくない。だから,面倒くさい。
漢字テストなんて無ければいいのに,と言う子までいました。
「練習しなさい」と言われるから渋々やる。何となく,適当に漢字練習をしたノートを提出する。形ばかりの漢字練習。
テストをすると当然,漢字を書いても間違える。練習はしたのに,しっかりと漢字を覚えていないから書けない。
覚えたいと思って練習していないから,記憶に残らないのは当然です。
そこで,今までの漢字指導に,少し手を加えたのです。
手を加える時に心したことは,一つ。
「漢字に出会うこと」が楽しくなるように仕掛ける。
ただそれだけです。
楽しければ,覚えなさいと言わなくても子供たちは漢字を自然と覚えます。
新しい漢字に出会うことを積極的に望みます。
その手を加えた「場」が,「5つの場」なのです。「5つの場の漢字との出会いに少し手を加える」,それを「5システム」と呼んだのです。
その5つの場は,「授業・教室環境・テスト・宿題・自学」です。
授業にだけ手を加えても,子供たちの漢字に対する心は大きく変わりません。
子供たちが学ぶ教室環境にも手を加える。
子供たちが挑むテストや宿題・自学にも手を加える。
もちろん,大きくは変えません。
本書に紹介しているような「わずかな場の工夫の積み重ね」で,子供たちは一日一日と変わっていきます。
それも全員です。
全員が変われば全員力となって,「全力・前力・善力・然力」が高まっていきます。互いに高め合う力が強くなっていくのです。
ちなみに,この25歳の5年担任の後,1年から6年,その上特別支援学級担任を受け持つ機会を得ました。
どの学年でも,ほんのちょっとの手間と工夫を積み重ねることで,子供たち全員が漢字大好きっ子に変わっていったのです。
しつこく言います。
漢字は練習させれば,覚えるものではないです。
漢字との出会いが楽しいから,覚えるのです。それも,いつの間にか覚えてしまうのです。
練習も自分から進んでやりたくなるのです。
漢字ドリル・スキルを宿題に出す必要も無くなります。子供たちは,時間を見つけては進んでドリル学びをします。本書に紹介したように,進んで学びたくなるように仕掛けているからです。
「漢字定着5システム指導法」というのは,特別な方法ではないです。
今までやってきたことを少し変え,ほんの少しの手間と工夫を日々行うことで,子供たちの心が変わるという指導法です。
まずは,本書に紹介した5つの「場」の中から,変えることができる「場」を見つけてください。
場を決めたら,ほんの少し手間をかけてみようかなと思った「場」から取り組んでみてください。
子供たちの漢字に対する心,漢字を学ぶ心構えが少しずつ変わっていきます。ある時突然,ブレイクスルーする瞬間が必ずやってきます。
この瞬間を楽しむために,教師の心の導火線に火をつけてください。少しでも,漢字大好きっ子が生まれることを願っています。
2020年7月 /福山 憲市
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- 明治図書
- 漢字を楽しんで学べるようになる工夫が実例とともに紹介され、とても興味深く読ませていただきました。2022/8/1830代小学校教諭
- よい2021/9/1320代・中学校教員
- 単調になりがちな漢字指導に、沢山の工夫がみられ、とても勉強になった。2021/6/2ガッツ