- はじめに
- Chapter1 iPadでつくる!数学授業のヒント
- 01 なぜ数学嫌いが生まれるのか
- 02 先生側の視点と生徒側の視点から
- 03 生徒たちと創造的な活動へ
- 04 iPadを活用した創造的な活動
- 05 iPadの魅力を考える
- 06 iPadでつくる数学授業のヒント
- 07 iPadで学力面の授業を効率化する
- 08 iPadとともに生徒が自律する数学へ
- Chapter2 iPadでつくる!数学授業~準備編
- 01 「まずはやってみよう!」
- 02 LMSを準備しよう
- 03 授業デザインと個別最適化学習を支援するAI教材
- 04 iPadの基本アプリケーションを触ってみよう
- コラム テクノロジーを使った学び ~生徒たちは待っていられない
- Chapter3 iPadでつくる!数学授業~実践編
- 基本
- 01 数学で春の俳句を詠もう
- 02 数字をスケッチしよう
- 1年
- 03 負の数を探して問いを立てよう
- 正負の数 Clips
- 04 MATHのある風景
- 文字と式 Clips,NHK for School
- 05 日常にある方程式の解
- 方程式 カメラ,iMovie
- 06 対称な図形をスケッチしよう
- 平面図形 Tayasui Sketches School
- 07 平面図形で敷き詰め模様をつくろう
- ★平面図形 Pages,Keynote
- 08 ARで理想の部屋づくり
- 空間図形 Reality Composer
- 09 空間図形を見つけよう
- ◆空間図形 GeoGebra,GeoGebra空間図形,Clips
- 10 数学とプログラミングPart1
- [数学的活動] Swift Playgrounds
- 11 数学とプログラミングPart2
- [数学的活動] Numbers,Keynote
- 12 みんなのワクワクを届けよう 美術編
- ◯教科横断 Padlet,Safari
- 13 みんなのワクワクを届けよう 数学編
- 教科横断 Safari,Padlet
- コラム iPad活用Q&A 創造的な学びの授業の評価方法は?
- 2年
- 14 Math BINGO
- 1年の復習 Keynote
- 15 連立方程式の問題ストーリーと解説動画
- 連立方程式 iMovie
- 16 身の回りの直線を傾けよう
- 1次関数 GeoGebra,Keynote
- 17 三角形の五心をまとめよう
- ◆図形の性質 Numbers,GeoGebra
- 18 好きなロゴマークを分析しよう
- 図形の性質 Keynote
- 19 写真でファクトフルネス
- ★確率 Pages,カメラ
- 20 世界のデータをインフォグラフィック
- データの活用 Safari,Keynote
- 21 数学がつくる音楽Part1
- [数学的活動] Numbers,GarageBand
- 22 数学がつくる音楽Part2
- [数学的活動] Numbers,GarageBand,Clips
- 23 数学と英語が学校で出会う場所
- 教科横断 カメラ,メモ,AR Makr,Keynote
- コラム NHK for School「アクティブ10 マスと!」で学ぼう!
- 3年
- 24 自分を因数分解しよう
- 多項式 Keynote
- 25 白銀比を探して問いを立てよう
- 平方根 Clips
- 26 黄金比レポート
- 2次方程式,相似な図形 Pages
- 27 効率のいいバトンパス
- ★関数 y=ax^2 カメラ,Numbers,GeoGebra
- 28 校庭の面積を求めよう
- 相似な図形,三平方の定理 マップ,Keynote
- 29 パッケージデザイン
- ★三平方の定理 Pages,Keynote,カメラ
- 30 バスケットボールと放物線Part1
- 関数 y=ax^2 カメラ,Pages
- 31 バスケットボールと放物線Part2
- 関数 y=ax^2,空間図形 Reality Composer
- 32 『おくのほそ道』から芭蕉の哲学を学ぼう 国語編
- ・教科横断 Keynote,カメラ
- 33 『おくのほそ道』から芭蕉の哲学を学ぼう 数学編
- 教科横断 Numbers
- 34 数学研究発表会Part1
- [数学的活動] Keynote 他
- 35 数学研究発表会Part2
- [数学的活動] Pages 他
- コラム 「魔法のノート」 ~一生使える学習法
- Chapter4 iPadでつくる!数学授業~発展編
- 01 中学で創造的に数学を学んだ生徒たちは
- 02 放物線をARで紹介しよう
- 2次関数 カメラ,Keynote,AR Makr
- 03 フェルミ推定
- 論証・証明など Keynote
- 04 フィボナッチ数はなぜ自然界に存在するのか
- 数列 Numbers,カメラ
- 05 素数の規則性
- 整列 Numbers
- コラム 探究的な活動 クロスカリキュラムからCBLへ
- おわりに
- 執筆協力者
- ★…菅原 慎太 (三田国際学園中学校・高等学校 数学科)
- ◆…赤澤 徹哉 (三田国際学園中学校・高等学校 数学科)
- ◯…川島 恵 (新渡戸文化中学校・高等学校 美術科)
- ・…酒井 雄大 (新渡戸文化中学校・高等学校 国語科)
- この書籍は,2022年2月時点の情報をもとに書かれています。
はじめに
~なぜ生徒たちは数学を学ぶのか?
「絵を描くばかりで勉強しませんね」
先日,ある生徒から中学生のときに何を思って過ごしていたかを教えてもらいました。絵を描くことが好きでも大人からは成績のみで判断された「絵を除いた自分」を見られ,その認識の溝に大人から認められることは諦めていたそうです。
学校での学びとは一体何なのでしょうか。そんな想いから私は数学の授業で生徒たちによく聞かせてもらうことがあります。
「Why Math?」
みんなは「なぜ数学を学ぶ」のですか?
この質問は,年間の授業の中で聞き方を変えながら生徒たちに何度か問いかけさせてもらっています。数年聞いていくと2つのことがわかっていきました。1つ目は,生徒たちの多くは「テストや成績のために学んでいない」ということ,そして2つ目は「生徒によって理由は違う」ということです。
しかし,中学の数学の時間だけで伝えられるものは限られています。
今教えている数学ができて欲しいのか。
数学や数学的な思考を将来有効に使って欲しいのか。
数学の面白さに気づいて欲しいのか。
論理的に考える習慣が身について欲しいのか。
すべてを伝えるのは難しいでしょう。
では,生徒たちには数学をどのように学んでもらうのがいいのでしょうか。
そのことを生徒から気づかせてもらったのは数学の授業にiPadを使うようになってからでした。iPadのもつ創造性は,生徒たち本来の想像を生かし,共有によって対話や相互関係を生み,実社会とのつながりを容易にして,たちまち生徒たちを学びの主役にしてくれます。私はiPadによって,生徒たちに教わり,一緒に学ぶようになりました。
生徒たちにiPadを使った学び方を提案して任せると,「なぜそれが成り立つの?」「自分だったらこう考える!」ということを繰り返し,周囲に活力と喜びを与えてくれるようになってくれました。するといつも生徒たちはこちらが思っている何倍もの思考を巡らせていて,予想を上回る成果を発揮していることに気づきます。生徒たちそれぞれがもつ感性と情熱の部分がiPadを通して引き出されることで,自身の素養に気がついていき,数学を学ぶことにつなげていく過程を見せてくれるようになっていきました。
改めて,世界や時代の流れが目まぐるしく変化する中で,iPadのようなテクノロジーを使ってどんな授業ができるか考えてみます。その答えの現在地(まずはやってみよう)として,「先生たちの強み」と「生徒たちの資質や人間性」が数学の授業でつながるアイデアはないでしょうか。
この本がそんな読み方ができる本になるといいなと書いていきます。
手にとっていただいた方に,そのような解決のためのワクワクする創造が生まれるといいなと願っています。
Apple Distinguished Educator(Class of 2017)
/芥 隆司
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- 明治図書
- 授業の幅が広がり、とても参考になりました。2023/4/130代・中学校教員
- 具体的な実践例が多く分かりやすかった。2022/8/1240代・中学校管理職