- はじめに
- 第一章 理論編「言葉による見方・考え方」を鍛える「読み」の授業づくり
- 第1節 「言葉による見方・考え方」を鍛える授業づくり
- 第2節 小説の授業づくり 四つのポイント
- 1 場面と基本的な設定(時・場・人物)を読む
- 2 構造を読む(構造よみ)
- 3 形象を読む(形象よみ)
- 4 語り手(話者)を読む
- 第3節 説明文・論説文の授業づくり 四つのポイント
- 1 文種と型・タイプ
- 2 構成を読む(構成よみ)
- 3 段落関係をつかみ、要約する
- 4 要旨を読む
- 第4節 「批判的に読み」「評価する」ための授業づくり(吟味よみ)
- 1 小説を吟味する五つのポイント
- 2 説明文・論説文を吟味する五つのポイント
- 第5節 「対話的」な学習を深める話し合いの指導
- 1 学習班の編成
- 2 学習リーダーの指導
- 3 話し合いの進め方の指導
- 第二章 実践編「言葉による見方・考え方」を鍛える教材研究と授業づくり
- 第1節 小説・随筆
- 1 星の花が降るころに(光村・1年)
- 2 少年の日の思い出(光村 東書 教出 三省・1年)
- 3 盆土産(光村・2年)
- 4 走れメロス(光村 東書 教出 三省・2年)
- 5 握手(光村 三省・3年)
- 6 故郷(光村 東書 教出 三省・3年)
- 7 字のない葉書(光村 東書・2年 三省・1年)
- 第2節 説明文・論説文
- 1 「言葉」をもつ鳥、シジュウカラ(光村・1年)
- 2 「不便」の価値を見つめ直す(光村・1年)
- 3 オオカミを見る目(東書・1年)
- 4 私のタンポポ研究(東書・1年)
- 5 クマゼミ増加の原因を探る(光村・2年)
- 6 君は「最後の晩餐」を知っているか(光村・2年)
- 7 「正しい」言葉は信じられるか(東書・2年)
- 8 作られた「物語」を超えて(光村・3年)
- 9 誰かの代わりに(光村・3年)
- 10 絶滅の意味(東書・3年)
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
中学校学習指導要領(平成29年告示)の三年「読むこと」は、指導事項として文章を批判的に読むことを掲げている。義務教育の最終段階で、小説や説明文・論説文を批判的に読めることが求められているのである。そのためには、内容をきちんと読みとれることは当然のこととしてある。その上で、小説や説明文・論説文を相対化する力、書かれている内容を突き放して見る力が求められる。そしてもう一つ、作品や文章のよいところを見出し、また疑問や不十分なところを検討し、評価する力が必要となる。
国語の授業を楽しくする秘訣は、小説や説明文・論説文の読み方を生徒自身のものとしていくことである。教師が一方的に説明するのではなく、授業の中で生徒たちが読むための方法を見出し、使っていけるようにするのである。「主体的・対話的」な授業は、その中で生まれてくる。
本書は、第一章理論編で中学の小説と説明文・論説文の読み方の基本を述べている。読み方を生徒自身のものとしていくことが、「言葉による見方・考え方」を働かせ、鍛えることにつながる。読み方を学び、身につけることで生徒は国語の授業で何を学んでいるかに意識的になり、論理的な思考力が身についていく。教材ごとに違う読み方をしていては、教師の指示待ちから抜け出せず、生徒の読みの力は鍛えられていかない。第二章は、実践編である。十七教材について、「深い学び」につながる教材研究を示している。生徒たちが国語の学習のつながりを意識できるように指導していくことで、「言葉による見方・考え方」を鍛え育んでいくことができる。本書は、その道筋を示している。
二〇二一年五月 /加藤 郁夫
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- 明治図書