- まえがき
- T 社会科教育の理論的基盤
- 1 公民的資質・市民的資質
- 2 地理科・社会科地理
- 3 歴史科・社会科歴史
- 4 公民科・社会科社会
- 5 社会認識(教育)
- 6 社会形成(教育)
- 7 シティズンシップ(教育)
- 8 理解
- 9 説明
- 10 問題解決
- 11 認識
- 12 意思決定
- 13 社会参加
- 14 認知主義/行動主義
- 15 構成主義/構築主義
- 16 経験主義/進歩主義
- 17 社会改造主義
- 18 多文化主義/複言語・複文化主義/間文化主義
- 19 批判主義
- 20 社会・文化的アプローチ
- U 社会科教育の社会的責任
- 21 愛国心
- 22 政治的教養
- 23 集合的記憶
- 24 アイデンティティ
- 25 文化リテラシー
- 26 メディアリテラシー
- 27 政治的中立性
- 28 クリックレポート
- 29 ボイテルスバッハ・コンセンサス
- 30 批判的思考
- 31 政治的陶冶
- 32 サービス・ラーニング
- 33 社会化・対抗社会化
- 34 コモン・グッド
- 35 主権者教育
- 36 正統的周辺参加
- 37 歴史修正主義
- 38 歴史意識/記憶
- 39 困難な歴史
- 40 社会正義
- 41 多様性
- 42 包摂/インクルーシブ
- 43 ケアリング
- 44 コミュニケーション
- 45 閉ざされた領域
- 46 フェミニズム
- 47 平和教育
- 48 外国にルーツをもつ子ども
- 49 リベラリズム
- 50 共和主義とコミュニタリアニズム
- V 社会科教育の歴史と政策
- (A)歴史と論点・争点
- 51 戦前の地理教育
- 52 戦前の歴史教育
- 53 戦前の公民教育
- 54 戦前の社会科
- 55 修身,日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件
- 56 公民教育刷新委員会
- 57 ヴァージニア・プラン
- 58 『あたらしい憲法のはなし』
- 59 『くにのあゆみ』
- 60 『公民教師用書』
- 61 『山びこ学校』
- 62 初期社会科
- 63 大槻・上田論争
- 64 勝田・梅根論争
- 65 地域社会科教育計画
- 66 うれうべき教科書の問題
- 67 基礎学力低下論
- 68 教育内容の自主編成
- 69 教育の現代化
- 70 教育の人間化
- 71 地域に根ざす社会科
- 72 歴史教科書問題
- 73 社会科解体論
- 74 法則化運動
- 75 PISAと言語力
- 76 (世界史)未履修問題
- 77 教育基本法の改正
- 78 領土問題
- 79 アクティブ・ラーニング
- 80 持続可能な社会とESD
- (B)制度と政策
- 81 総合的な学習(探究)の時間
- 82 「生活科」
- 83 「地理的分野」「歴史的分野」「公民的分野」
- 84 「地理総合」「地理探究」
- 85 「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」
- 86 「公共」「倫理」 「政治・経済」
- 87 「特別の教科 道徳」
- 88 学力の3要素
- 89 「主体的・対話的で深い学び」
- 90 「考察」「構想」「説明」「議論」
- W 社会科教育の目標とカリキュラム
- (A)目標とカリキュラム
- 91 認知的スキル/社会情動的スキル
- 92 ブルーム・タキソノミー
- 93 コンピテンシー
- 94 履修主義・修得主義
- 95 カリキュラム・マネジメント
- 96 カリキュラム・ゲートキーピング
- 97 レリバンス
- 98 ストランド
- 99 分化と統合
- 100 コア・カリキュラム
- 101 社会機能法
- 102 三層四領域論
- 103 パイ型カリキュラム
- 104 同心円的拡大法
- 105 内容の構造化
- 106 概念的知識
- 107 見方・考え方
- 108 1次的・2次的概念
- 109 論争問題
- 110 発達の最近接領域論
- 111 ナショナル・カリキュラム
- 112 ナショナル・スタンダード
- 113 コモン・コア・ステート・スタンダード
- 114 C3フレームワーク
- 115 IB/TOK
- (B)教育内容
- 116 地域学習
- 117 産業学習
- 118 国土学習
- 119 人物学習
- 120 政治学習
- 121 国際理解学習
- 122 地誌学習/系統地理学習
- 123 防災学習
- 124 地図・GIS
- 125 歴史的思考力
- 126 通史学習・主題学習
- 127 文化圏学習
- 128 社会史/オーラルヒストリー
- 129 グローバル・ヒストリー
- 130 法関連教育・法教育
- 131 消費者教育
- 132 租税・金融教育
- 133 環境教育
- 134 人権教育
- 135 哲学教育・P4C
- X 社会科教育の方法と評価
- (A)社会科教育の教授と学習
- 136 経験・体験
- 137 ICTの活用
- 138 黒板・板書
- 139 足場がけ
- 140 エンパシー・シンパシー
- 141 習得・専有
- 142 教材・教具
- 143 教科書・副読本
- 144 教授書・授業書
- 145 NIE・新聞活用
- 146 ユニバーサルデザイン
- 147 プログラム学習
- 148 問題解決学習
- 149 シミュレーション・ゲーミング
- 150 ドラマ学習
- 151 討論学習
- 152 探究(探求)学習
- 153 プロジェクト法・PBL
- 154 ジグソー法
- 155 熟議
- 156 トゥールミン図式
- 157 思考ツール
- (B)社会科教育の評価
- 158 絶対評価/相対評価
- 159 到達度評価/個人内評価
- 160 診断的評価/形成的評価/総括的評価
- 161 評価規準/評価基準
- 162 観点別評価
- 163 指導と評価の一体化
- 164 評定
- 165 パフォーマンス評価
- 166 ルーブリック評価
- 167 ポートフォリオ評価
- 168 科学的管理法
- 169 真正な評価
- 170 自己調整学習
- Y 社会科教師の教育と研究
- (A)社会科教師の養成と研修
- 171 反省的実践家
- 172 観察による徒弟制
- 173 洗い流し
- 174 成人教育
- 175 教師教育者
- 176 アクション・リサーチ
- 177 デザインベースド・リサーチ
- 178 レッスン・スタディ
- 179 セルフスタディ
- 180 ライフストーリー
- 181 メンタリング
- 182 PCK
- 183 ALACT
- (B)社会科教師の研究と実践
- 184 社会科教育学
- 185 教育科学研究会
- 186 社会科の初志をつらぬく会
- 187 日本生活教育連盟
- 188 歴史教育者協議会
- 189 全国社会科教育学会
- 190 日本社会科教育学会
- Z 世界の社会科教育の研究と実践
- 191 アメリカの社会系教科教育
- 192 カナダの社会系教科教育
- 193 イギリスの社会系教科教育
- 194 ドイツの社会系教科教育
- 195 フランスの社会系教科教育
- 196 韓国の社会系教科教育
- 197 中国の社会系教科教育
- 198 シンガポールの社会系教科教育
- 199 フィリピンの社会系教科教育
- 200 オーストラリアの社会系教科教育
- 巻末資料
- あとがき
- 索引
- 執筆者一覧
まえがき
永井滋郎・平田嘉三編『社会科重要用語300の基礎知識』が出版されたのは,1981年5月のことである。ほぼ20年後の2000年5月に森分孝治・片上宗二編集『社会科重要用語300の基礎知識』が出版された。それから20年余の歳月を経て,本書である棚橋健治・木村博一編著『社会科重要用語辞典』を出版することになった。
ここ20年間の社会の激動ぶりには目を見張るものがある。社会のグローバル化が加速度的に進展し,IT機器の普及は私たちの社会生活を一変させた。インターネットは全世界を取り巻いている。世界各国の社会科教育研究者とメールをやり取りしたり,オンラインで国際会議をしたりという営みは珍しいことではなくなった。20年前,どれだけの人々が今日の光景を想像し得ていただろうか。
ここ20年の間に学習指導要領は2度改訂された。小学校と中学校の学習指導要領は2008年と2017年に改訂され,高等学校の学習指導要領は2009年と2018年に改訂された。特に注目されるのが,2018年の高等学校学習指導要領改訂である。『地理歴史科』の科目が「地理総合」「地理探究」「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」に再編され,『公民科』では科目「現代社会」に代わって「公共」が設置された。科目名を見る限り,幅広く総合的に社会を捉え,様々な社会事象を深く掘り下げて探究することによって,現代社会を認識するだけでなく,人間としての在り方・生き方と言うべき公共心を育むことが求められるようになってきたということであろう。
このような社会の変化や社会科教育の制度面の変化だけでなく,ここ20年の間に教育界も大きな変化を遂げてきた。20年前にはほぼ使用されていなかった新しい教育用語を私たちは日常的に使用している。しかし,その用語の意味を取り違えて使用している例も決して少なくない。
そこで,『社会科重要用語辞典』の編集に当たっては,ここ20年の間に頻繁に使用されるようになってきた重要用語を抽出するとともに,古くから使用されていて今日においても重要な意味をもつ用語を選び出し,200の重要用語に絞り込む作業を行った。
重要用語の精選と解説に当たって,特に留意したのは次の点である。
@各用語は,特定の立場に偏ることなく,社会科教育学の視点から精選する。
A選択した用語を「社会科教育の理論的基盤」「社会科教育の社会的責任」「社会科教育の歴史と政策」「社会科教育の目標とカリキュラム」「社会科教育の方法と評価」「社会科教師の教育と研究」「世界の社会科教育の研究と実践」という7つの項目(章)に分類し,配列する。
B引き読みやすくするために1頁1語(「社会科教育の理論的基盤」と「世界の社会科教育の研究と実践」については2頁1語)を原則とし,客観的で具体的なわかりやすい解説に努める。
C本書の用語解説で満足することなく,適切な文献への架橋となるように,原則として2点以上の古典や重要論文を参考文献として掲載する。
本書が,社会科教育の研究と実践に携わっている多くの方々,これから社会科教育の研究の道を志そうとしている方々,よりよい社会科授業を構想し実践していこうとされている方々等,幅広い方々の手引きとして役立つものとなることを,執筆者一同,心から願っています。
2022年2月 編著者 /棚橋 健治・木村 博一
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