- 監修の言葉
- 本書の特徴
- プロローグ 中学校で英語を学びにくい子供たち
- 第1章 どの子も置き去りにしない!はじめての「小学校英語」つまずかせない指導のポイント
- point1 日本語と英語に大きな違いがあることを知る
- point2 音韻意識に目を向ける
- point3 音韻表象の定着から文字導入への順序を大切にする
- point4 小学校と中学校での英語学習の段差に配慮する
- 第2章 どの子も置き去りにしない!苦手さのある子もつまずかせない〈学びはじめ〉のサポートアイデア
- STEP1 「音韻表象」
- ◇STEP1「音韻表象」獲得期の指導ポイント
- 1 日本語と英語の音節の違いに気づく いくつあるかな
- 2 英語の音節を操作することができる@ 絵カードで音節神経衰弱
- 3 英語の音節を操作することができるA 飼育員さんゲーム
- 4 オンセット−ライム単位への気づきを促す 単語を分ける・つなげる
- 5 3−4音でできる単語を音素に分解できる What’s Changed?
- 6 音素のブレンディングやセグメンティングができる 音ボタンを使って
- 7 単語単位での音韻認識力を養う チャンツで替え歌づくり
- STEP2 「文字」
- ◇STEP2「文字」獲得期の指導ポイント
- 8 文字の形と音を結びつけることができる 多感覚刺激
- 9 アルファベットの名前読みと仲よくなれる Seven Steps Song
- 10 大文字と小文字の特徴を探る ペアで発見!
- 11 形の区別をつける 大文字当てクイズ
- 12 文字の特徴と4線上の位置をつかむ 小文字でジグソーパズル
- 13 運筆の動きを音声化する 書き順ソング
- 14 左利きの子供の書きやすさに配慮する ノート・練習用紙の工夫
- 15 4線に文字が正しい位置で書ける シートの工夫
- STEP3 「単語」
- ◇STEP3「単語」獲得期の指導ポイント
- 16 2文字を音声化できる つないで読み
- 17 3文字の単語を聞き取って書ける スペリング基本スキル
- 18 3文字単語が読める ワードファミリー
- 19 10までの数字が読める 単語の特徴に焦点をあてた練習
- 20 単語の音と意味と綴り方を理解できる 曜日の単語練習
- 21 単語の成り立ちに気づく 曜日の日本語比較
- 22 書きたい気持ちを育む 例文語句の置き換え遊び
- STEP4 「文法」
- ◇STEP4「文法」獲得期の指導ポイント
- 23 数の概念がわかる 数えられる名詞
- 24 数の概念がわかる 数えられない名詞
- 25 順番を表す序数を学ぶ 〜番目カード
- 26 日本語と英語で単語の並び方の違いがわかる I dog like…
- 27 人称に慣れる 私から見たあなた,彼・彼女
- 28 現在・過去・未来が理解できる 魔法の数直線
- 29 英語で質問する―答える方法がわかる 輪になって英文パス
- 30 正しい語順が学べる カードゲームで文づくり
- STEP5 「話す力」
- ◇STEP5「話す力」獲得期の指導ポイント
- 31 日本語と英語のリズムがつかめる 俳句・標語
- 32 英語のイントネーションが習得できる キャッチボール
- 33 英語特有の音の発音に慣れ親しめる 早口言葉で口の体操
- 34 楽しく語彙を増やせる 片仮名英語・大検証
- 35 相手に理解されやすくなる 英語ジェスチャーいろいろ
- 36 簡単な英語表現ができるようになる Show & Tell
- 37 自己紹介できるようになる My favoritesシート
- STEP6 「やりとりする力」
- ◇STEP6「やりとりする力」獲得期の指導ポイント
- 38 日常よく使われる表現に慣れる 英語決まり文句カルタ
- 39 相手と情報交換できるようになる 着せ替えゲーム/相槌の表現
- 40 聞き返しができるようになる 犯人捜しゲーム
- 41 確認する力をつける インフォメーション・ギャップ
- 42 お願いやお礼ができるようになる 道案内をしよう!
- 43 話の流れを上手に換えられるようになる 話題転換の表現
- 44 コミュニケーションを円滑に進められる 追加の表現
- STEP7 「書く力」
- ◇STEP7「書く力」獲得期の指導ポイント
- 45 ローマ字のルールが復習できる ローマ字は日本語だ!
- 46 英単語の共起関係を感覚でつかめる 絵カード学習
- 47 単語と単語を離して書けるようになる パズル英文
- 48 理由や根拠を整理して表現できるようになる 3つの理由
- 49 文章の組み立てができるようになる モデル文
- 50 原因・根拠をつなげる力がつく フレーズカードづくり
- あとがき
監修の言葉
2020年より学習指導要領の改訂に伴って小学校3・4年生から外国語活動の導入,5・6年生において英語が「教科」となり,評価の対象になりました。小学校3・4年生では,アルファベットや単語の認識で「聴く力」「話す力」を中心とした英語のやりとりに慣れ親しむプログラム,小学校5・6年生になると,より体系的な学習が求められ,「書くこと」「読むこと」にも焦点があてられます。小学校英語の目的の一つは,「英語なんかだいきらい」な子を一人でもなくすことにあります。中学校からの英語学習への苦手意識を取り除き,楽しく中学校英語に臨めることが大きな目標です。
本書のエピソードにあるように,「英語が苦手,きらい」には理由があります。
アルファベットが覚えられない,英語の音が聴き取れない,単語が声を出して読めない,ノートに写せない,単語が覚えられない,文法がわからない,などなどです。
効果的な学習をするためには,教える立場の教師,保護者は,英語学習の初期の段階で一人一人どこが難しいのか,どこにつまずいているのかで次のステップにいけないのかをしっかり把握することが大切です。母語である日本語の習得でさえまだ十分でない小学生に対して画一的な外国語指導は危険です。一人一人「学び方が異なる」,すなわち「その子にはその子に丁度合った学び方がある」という認識をもつ必要があります。
本書は,英語教育に長年携わる4人の先生方の体験を通して書かれています。特に第2章では,英語の特性をわかりやすく理解させる工夫がされています。
例えば,「日本語と英語は表記が違いすぎます」。漢字は文字自体に意味がありますが,アルファベットには意味がありません。アルファベットを並べて意味のある単語をつくります。仮名文字は音と1対1対応していますがアルファベットは複雑です。本書では,アルファベットを丁寧に音声的に理解するプログラムがたくさん入っています。「日本語は音の高低(ピッチ),英語は抑揚(リズム)で話します」。日本語では音の高低で意味が変わることがありますが英語は抑揚です,しっかり聴くトレーニングの中で英語の抑揚を捉える訓練をします。
本書の「どの子も置き去りにしない,つまずかせない」プログラムが,英語学習をあきらめない子どもを育てます。効果的な学習は「やる気」につながります。子どもの気に入った学習スタイルを見つけ,「英語は楽しいね」を実感させてあげてください。
大阪教育大学名誉教授・大阪医科大学LDセンター顧問 /竹田 契一
実践しやすくとても役立つ内容です。