- はじめに
- 第1章 学級を育てる「トーク」3つのポイント
- 「言葉」を決める
- 「期待」を込めて話す
- 「確認」を怠らない
- 第2章 学級を育てる「ばっちりトーク」60
- 学習規律を定着させるトーク
- 01 文字はその人を表す
- 02 目で追う
- 03 40秒で支度しな
- 04 立ったら止まる
- 05 半端をやめる
- 06 四角い掃除
- 07 0.5秒で反応する
- 08 1から10を考える
- 09 時間と時刻
- 緊張感と集中力を高めるトーク
- 10 鬼のように書く
- 11 黙書
- 12 落ち着きは音で決まる
- 13 静かはつくる
- 14 没頭せよ
- 15 いい意味で目立つな
- 16 後ろ姿で語ろう
- 17 余白を使え
- 主体性を引き出すトーク
- 18 プラス1(ワン)
- 19 準備が8割
- 20 逆算する
- 21 かっぱえびせん
- 22 仕事はつくる
- 23 気を利かせる
- 24 脱・指示待ち
- 25 つかみ取る学び
- 考える視点を変えるトーク
- 26 作業から学習へ
- 27 北風か太陽か
- 28 共感と同感は違う
- 29 重要と急用
- 30 加点法と減点法
- 31 体の態度,心の態度
- 32 学力は楽力
- 33 「テキトー」から「適当」へ
- 34 納得と説得
- 自分と向き合わせるトーク
- 35 逃げない
- 36 徹頭徹尾
- 37 ほころびに負けない
- 38 負荷をかける
- 39 青い根と赤い花
- 40 根幹の反省
- 41 裏の自分をつくらない
- 42 分岐点
- 43 心の超回復
- 社会性を養うトーク
- 44 感情で動くな,理性で動け
- 45 アンインストール
- 46 「無言」実行
- 47 根を張れ
- 48 献身的になろう
- 49 勝っても負けてもさわやかに
- 50 条件つきをやめる
- 51 伝え方と伝わり方
- 心を育てるトーク
- 52 実るほど頭を垂れる稲穂かな
- 53 残心
- 54 あいさつは先手
- 55 まず,「いいね」
- 56 気丈に振る舞う
- 57 ノーサイド
- 58 一人でいる力
- 59 張り切る
- 60 アシスト
- おわりに
はじめに
みなさんは,子どもたちの前に立って話す時に何を意識していますか。何を考えてお話ししていますか。
そして,どうやってご自身の話術を磨いてきましたか。また,どうやって鍛えていますか。
私たち教師にとって「話すこと」は仕事の大部分を占めていると言ってよいでしょう。
朝,子どもたちと出会って交わす「おはようございます」に始まり,帰り際の「さようなら」まで,1日の中でいくつもの言葉を発しているからです。
実は,大学を出たばかりの私は,教室で「話すこと」が大の苦手でした。
1日を終えると喉が潰れており,毎日のど飴を口に放り込んで帰りの車を走らせたものでした。そして,「明日はできる限り『話さず』に1日を過ごそう」と思っていました。
その当時は単に喉が潰れるのが嫌で,自分が楽をするために「話さない」ことを意識したものでした。しかし,今になって考えてみると,なかなかよい心がけだったなと振り返ることができます。
なぜなら,「教師の1日の発話量がどのくらいか」を何となく把握できるようになったからです。
そして,年数を重ねるごとに「1日の中で自分が話せる量はどのくらいか」という,限界値がわかるようになってきました。極端に言えば,その文字数すら何となくわかるようになったのです。
すると,自分の「発話量」によってその中身や内容を考えるようにもなりました。「話せる量」に限界があると思うと,その量を「無駄遣い」したくないと思ったのです。
同時に子どもたちを叱ったり責めたりするような消極的なことばかりに話す時間を割きたくないとも思いました。
さらに,「どうしたらより短く話せるか」「端的に,わかりやすく話せるか」「より伝わるように話せるか」を考えるようになりました。言葉を選んだり,話し方を工夫したり,話すタイミングを考えたりしたのです。
きっと,そうした長年の積み重ねが,今の私の「トーク」を磨き,鍛える術になっていたのだと思います。
現在,私は「Voicy」という音声配信メディアで毎日「声」を届けています。その中で,「古舘先生の話はなぜかスッと入ってくる」「内容も聞きたいけど,その声を聞きたい」と言っていただけたり,「おしゃべりはどうやって学んだのか」「いつからそんなに話せるようになったのか」と聞かれたりすることがあります。
本当にありがたい言葉で,私にはもったいない言葉です。いつもありがとうございます。
そこで,感謝の気持ちを込めて教室の事実をまとめようと思いました。
これまで教室で話してきた「トーク」を振り返り,みなさんと共有したいと思いました。ぜひ,「教室の空気」を感じていただければと思います。
本書が,読者の方々の目の前にいる子どもたちを育てる一助になることを願っています。
著者 /古舘 良純
本書を読むと、目の前の子どもたちと向き合い、わかりやすく、熱く、しなやかに語る、古舘先生。そんな情景が思い浮かびます。全てを真似することはできませんが、目の前の子どもたちに合わせ、私もそのような語りをできるよう努めたいと思います。
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