- はじめに
- Chapter1 英語×ICTの強みと弱みを理解しよう
- 01 ICTで学びを広げる
- 02 時間と労力を削減し,新たな学習時間の創出へ
- 03 活用事例を校内でシェアして仲間を増やす
- 04 ICT の強みと弱み 従来の教材と組み合わせて
- Chapter2 場面別 中学校英語のICT活用スキル
- [まずはここから]
- 01 プリントからPDFへ
- 活用ツール:Google Classroomなど
- 02 音声や動画,リンクを共有
- 活用ツール:カメラアプリ,MP3録音アプリなど
- 03 ALTや自分の声で気軽に録音
- 活用ツール:MP4録音アプリなど
- 04 板書バージョンアップ@ アナログ電子黒板
- 活用ツール:プロジェクタ
- 05 電子教科書(的)活用のススメ
- 活用ツール:教科書QRコード
- 06 使用するアプリの使い方は生徒とリハーサルを
- 活用ツール:アプリケーション全般
- [一人一人のスピードに応じた指導]
- 07 LL教室風・音読練習
- 活用ツール:Webブラウザ,イヤホン
- 08 LL教室風・シャドウイング
- 活用ツール:Webブラウザ,イヤホン
- 09 音声入力で音読チェック
- 活用ツール:Googleドキュメントなど,iOS音声入力機能
- 10 LL教室風・単元学習後のディクテーション
- 活用ツール:Webブラウザ,イヤホン
- 11 Googleフォームを使って内容理解
- 活用ツール:Googleフォーム
- [個別・家庭学習]
- 12 音読テストを宿題で,添削は空き時間に
- 活用ツール:Classroom,MP3録音アプリ
- 13 フラッシュカードで新出語を事前学習
- 活用ツール:PowerPoint,Word,Classroom
- 14 課題作文の添削@ ノートをカメラで撮影
- 活用ツール:Classroom,Apple Pencil
- 15 課題作文の添削A Apple Pencilで手書き
- 活用ツール:Classroom,Apple Pencil
- 16 課題作文の添削B Googleドキュメントを使って
- 活用ツール:Classroom,ドキュメント
- 17 YouTuberになったつもりで文法解説動画を作成
- 活用ツール:Classroom,PowerPoint
- 18 Google Classroomを使って自習を遠隔授業に
- 活用ツール:Classroom,PowerPoint
- 19 Googleフォームで宿題確認テスト
- 活用ツール:Classroom,Googleフォーム
- [協働学習・発表]
- 20 Googleスプレッドシートで一斉に例文の作成・共有
- 活用ツール:スプレッドシート
- 21 Google Jamboardで文整序
- 活用ツール:Jamboard
- 22 リーディングの内容理解をクラス一斉で解答
- 活用ツール:スプレッドシート
- 23 GoogleスライドやJamboardでプレゼンテーション
- 活用ツール:スライド,Jamboard
- 24 Jamboardを使ってジグソーリーディング
- 活用ツール:Jamboard
- [評価]
- 25 Classroomでルーブリック作成
- 活用ツール:Classroom
- 26 宿題の提出・評価×ICT「主体的に学習に取り組む態度」編
- 活用ツール:Googleフォーム
- [板書]
- 27 板書バージョンアップA Apple Pencilで書く
- 活用ツール:Jamboard,Adobe Acrobat Reader,Word,Excel,PowerPoint
- 28 板書をPowerPointで。動画配信も可能に
- 活用ツール:PowerPoint
- 29 板書バージョンアップB 板書を手元で確認する
- 活用ツール:Jamboard
- [その他]
- 30 電子黒板は不要?iPad & Apple Pencilと比べて
- 活用ツール:iPad,Apple Pencil,プロジェクタ
- 31 板書の共有化 板書の写真をアップロード
- 活用ツール:Classroom
- 32 ノートのバージョンアップ OneNoteでメモを取る
- 活用ツール:OneNote
- 33 教材をユニバーサルデザインに
- 活用ツール:Wordなど
- 34 クラウド化でいつでもどこでも安全に
- 活用ツール:Google Workspace for Educationほか
- Chapter3 中学校英語×ICTの授業アイデア
- [中学1年]
- 01 Googleスライドで楽しく自己紹介しよう!
- [ライティング][発表] / 英語表現:be動詞,一般動詞を使った基本的な文
- 02 ブレストからプレゼンまで Show & Tell―“My otaku thing”
- [ライティング][発表] / 英語表現:I like 〜. など
- 03 海外の国を紹介しよう!Show & Tell―“Countries around the World”
- [ライティング][発表] / 英語表現:一般動詞全般,〜 is famous for 〜. など
- 04 写真と一緒に伝えよう!冬休みの思い出
- [ライティング] / 英語表現:過去形
- 05 単元学習後の音読はClassroomで管理しよう!
- [スピーキング] / 英語表現:どの英語表現でも可
- [中学2年]
- 06 各自で調べて将来の夢を語り合おう!
- [ライティング][発表] / 英語表現:willやbe going to,want to など
- 07 自分の文と友達の文をつないでみよう!
- [スピーキング][ライティング]/ 英語表現:接続詞ifを使った表現
- 08 全員の考えを共有しながら内容理解を進めていこう!
- [リーディング] / 英語表現:I was excited to see the festival. など
- 09 海外の子どもたちに自分の学校を紹介しよう!
- [ライティング] / 英語表現:全般
- 10 理想の職業のアンケート結果をランキングにしよう!
- [文法説明][ライティング] / 英語表現:want to 〜.(to 不定詞)
- [中学3年]
- 11 自分の住んでいる街を紹介しよう!My hometown
- [スピーキング][発表] / 英語表現:全般
- 12 日本の文化を伝えよう!Picture Story Show―Lafcadio Hearn, Mujina
- [スピーキング][発表] / 英語表現:全般
- 13 留学生へのインタビューをまとめよう!
- [スピーキング][リスニング][発表] / 英語表現:全般
- おわりに
- 参考資料
はじめに
GIGAスクール構想によって始まった1人1台端末の導入により,すべての学校に児童・生徒用のICT機器が設置されました。一般の人々からすれば,その先進的な取り組みに驚きを感じたり,自分たちの子ども時代とは変わったと感じたりしていることでしょう。
本書を手に取っているのは,恐らく学校の現場で日々様々な問題と奮闘している教員ではないかと思いますが,その教員の皆さんにとって1人1台端末の導入はどのように映っているでしょうか。私は学生時代からパソコンショップでアルバイトをし,コンピューターが思うように動かないときは試行錯誤をするのが当たり前と思っている英語教師ですから,授業でのICT活用についても全くストレスを感じていません。
しかし,私のように感じている現場の教員はごく一部であることは明白です。それどころか学校現場は,そもそもコンピューターなどのICT機器の業務への導入も他業種に比べるとかなり遅れていたように記憶しています。人によっては,電子メールによる業務連絡を拒まれるといったことも,最近まで日常的なことでした。ましてや,生徒の学びの場にiPadやChromebookを活用すると宣言しようものならば,断固拒否という人がいても全く不思議ではないというのが学校現場であるように思います。
すべての学校に真新しいiPadやChromebook,高速インターネット回線,校内Wi-Fiなどが配備され,これでいよいよ教育現場もICT活用が万全のスタートを切れると思いきや,肝心の現場でそれを使うはずの先生たちへの指導が十分に行われず,新しい端末はずっと保管庫におかれたままという話もよく聞きます。コロナウイルスによる休校で,GoogleMeetやZoomなどの会議システムを利用した遠隔授業は一般的に行われるようになりましたが,これで終わってしまっては,ICTは高価なテレビ電話システムに過ぎません。
教育現場には,新たに対応すべき課題が増え続けています。多様な生徒や保護者への対応,不登校傾向の生徒数の増加,新しい観点別評価を含んだ新学習指導要領への対応,そしてこのICT活用が加わりました。業務は増え続ける一方で,教員の数は不足しています。教員を志す大学生の減少や休職に追い込まれる教員の増加で,これまでより多い業務を,これまでより少ない教員でこなさなければなりません。この負のスパイラルが続けば,学校は間違いなく倒産です。一般企業なら不思議なことではありません。
ICTは目的ではなく手段です。学校における諸問題は解決すべき対象であり,ICTはそれらの問題の1つではなく,他の問題を解決できるかもしれない方法の1つです。もちろんICTは万能な存在などではなく,従来の方法を用いた方がよりよい場合もあります。ICTは,時間と場所について効率化する可能性をもっています。
私がICTでやりたいと思っていることは,生徒たちに,これまでよりも学びを楽しいと感じてもらうこと,これまでよりも自ら学びたいと感じてもらえるようになること,そして教員が充実感を感じられる指導ができるようになることです。これまでなら,実現のためには莫大な時間と労力が必要だった指導内容でも,ICTを活用すれば時間や労力を浪費することなく,実現できてしまうこともあります。時間と手間がかかるからと言って,あきらめる必要がなくなります。そして,効率のよい学びをさせることで,新たな学びの時間を創出することも可能です。これによって,より深い学びにつなげることも可能になります。
今,社会は激しく変化しています。未来を予測することが非常に困難になっています。それだけに,私たち教育を担うものは,教育の内容も方法も,その時代に合わせて変化させ続けていく必要があります。ICTを活用して教育の質を高め,生徒たちがより多くのことを身につけられるようになればと考えています。
2023年1月 /青木 和伸
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- 明治図書
- 実際に授業への活かし方が書かれてあり、わかりやすかった。2024/7/3030代・中学校教員
- ICTの基本が分かりやすく掲載されています。2023/5/5さくすけ