- はじめに
- 第1章 全員参加の体育授業を目指して
- 1 個が輝く体育授業を
- 2 運動の「面白さ」に没頭させるために
- 3 全員参加の体育授業のために教師に必要な力
- 第2章 全員参加の授業をつくる4つの視点
- 視点1 教材・教具・場・ルールの工夫
- 視点2 振り返りと次時の学習課題設定の工夫
- 視点3 学習過程の工夫
- 視点4 チーム性をもたせる工夫
- 第3章 領域別 全員参加のための指導テクニック
- 体つくり運動
- 1 ナンバーゲームや並びっこで楽しく「体育の席」を覚えさせる
- ナンバーゲーム・並びっこ,視点1
- 2 3つの運動を組み合わせて心と体をあたたかくする
- ひっこぬき,視点1
- 3 新聞紙を使って楽しく体幹を高める
- ぐねぐね,視点1
- 4 動物の動きで楽しく基礎感覚を育む
- おりかえし,視点1
- 5 3つの運動あそびを組み合わせて心と体をほぐす
- 体ほぐしいろいろ,視点1
- 6 シンプルな運動をゲーム化して「動ける体」を育む
- 多様な動きをつくる運動,視点1
- 7 クライミングロープを使って生き物に変身させる
- クライミングロープ,視点1
- 8 チャレンジ運動で「協力」って何?を追究させる
- チャレンジ運動@(長縄),視点1・4
- 9 「桂林の川下り」で友達同士の支え合いを体感させる
- チャレンジ運動A,視点3・4
- 10 「黄山の綱渡り」で仲間と協働する大切さを感じさせる
- チャレンジ運動B,視点2・4
- 11 「昆明の石林」と「万里の長城」で対話の楽しさを実感させる
- チャレンジ運動C,視点2・4
- 12 基礎技能を「30秒はやとびチャンピオン」で高める
- 短なわ,視点1・2
- 13 生き残りで競い合い,楽しく体力を高める
- 短なわ,視点1
- 14 短・長のなわを組み合わせた動きを示し,「やってみたい」を高める
- チームなわとび@,視点1・3・4
- 15 できるなわとびの技だけで構成を考えさせる
- チームなわとびA,視点3・4
- 16 2つの学習カードをセットで使い学習意欲をキープする
- 体つくり運動全般,視点2
- 器械運動
- 17 準備・片付けを得点化する
- 器械運動全般,視点1
- 18 主運動を意識した準備運動を行う
- 跳び箱,視点1
- 19 良いゴールイメージと,チーム性による必要感をもたせる
- チーム跳び箱@,視点1・4
- 20 技のポイントを共有して,グループの活動を活性化する
- チーム跳び箱A,視点2・4
- 21 技の課題別練習は個人の必要感を重視して設定する
- チーム跳び箱B,視点2・4
- 22 できる跳び箱の技だけで演技の構成を考えさせる
- チーム跳び箱C,視点2・3
- 23 様々なバリエーションのあるチーム跳び箱に挑戦させる
- チーム跳び箱D,視点3・4
- 24 準備運動の意味をしっかり伝える
- マット運動,視点1
- 25 曲のリズムと技を組み合わせたゴールイメージをもたせる
- チームマット@,視点1・4
- 26 学習カードで技のポイントを確認させ,脳と体をつなげる
- チームマットA,視点2・4
- 27 目的意識をもたせて技と場を選択させる
- チームマットB,視点2・3
- 28 できるマットの技だけで演技の構成を考えさせる
- チームマットC,視点2・3
- 29 技の組み合わせとフィナーレの工夫を積極的に紹介する
- チームマットD,視点3・4
- 30 タブレット端末の「撮る・見る・伝え合う」を有効に使う
- 器械運動全般,視点2
- 31 学習カードの都度評価で個人のめあてを把握する
- 器械運動全般,視点2
- 陸上
- 32 今もっている力のトップ50m入れ替え走を実施する
- 走の運動,視点1
- 33 サークルリレーで競争の面白さを味わわせる
- リレー,視点1
- 34 ワープリレーで勝敗の未確定性を楽しませる
- リレー,視点1
- 35 個の必要感に応じた練習をするための環境をつくる
- 走り幅跳び,視点2
- 36 「ん」「く」の字を学びの視点に掲げる
- 走り幅跳び,視点2
- 37 グループ対抗戦を行い,チームで走り幅跳びを楽しませる
- 走り幅跳び,視点3・4
- 38 ノモグラムを使って自己記録とクラス記録の更新を楽しませる
- 走り高跳び,視点1・2
- 水泳
- 39 浮く・もぐる遊びで水に楽しく慣れさせる
- 水慣れ,視点1
- 40 スモールステップで「できる・わかる」を実感させる
- クロール,視点3
- 41 ペア学習で「かいて・パッ・けるーん」を見合わせる
- 平泳ぎ,視点3
- 42 全員リレーは様々なバリエーションで実施する
- リレー,視点1・3
- 43 顔上げ平泳ぎで20分泳にチャレンジさせる
- 平泳ぎ,視点3・4
- ボール運動
- 44 バスケットボール特有の面白さを重視した授業づくりをする
- ゴール型,視点1・2
- 45 テニス型とバレーボール型の面白さの違いを理解して授業をつくる
- ネット型,視点2
- 46 視点を明確に提示して課題別練習の意図を考えさせる
- ゴール型,視点2・3
- 47 「返せるか・返せないか」の意識をもった練習を行う
- ネット型,視点2・3
- 48 分析カードを活用して「見る・支える・知る」の役割を与える
- ボール運動全般,視点2
- 49 ICTで「撮る・見る・共有する」を活用させる
- ボール運動全般,視点2
- 50 子どもと教師で話し合い,納得できるチームづくりを行う
- ボール運動全般,視点4
- 51 オフィシャルのルールを絶対視しない
- ボール運動全般,視点1
- 52 ボールに触る/得点する機会を保障できるルールをつくる
- ゴール型(ラインサッカー),視点1
- 53 ソフトバレーボールの特有の面白さをもとにルールを工夫する
- ネット型,視点1
- 54 バットで上手に打って得点する面白さを体感させる
- ベースボール型,視点2・3
- 55 状況判断の面白さを重視する
- ベースボール型,視点2・3
- 56 みんなが楽しめるルールをみんなで創造させる
- ボール運動全般,視点2・3
- 57 練習内容と方法を示したカードを配布し,主体性を保障する
- ボール運動全般,視点2・3
- 58 図面を使って空間認識を高めさせる
- ネット型,視点2
- 59 ボールの落下点を予測し,移動する力をスモールステップで高めさせる
- ネット型,視点2
- 60 「学びの転移」を意識したボールゲームカリキュラムを考える
- ボール運動全般,視点2
- 61 今ある環境で楽しめる用具と場を設定する
- ボール運動全般,視点1
- 表現
- 62 型(きまり)と創作(自由)を組み合わせる
- 民舞,視点1・4
- 63 子どもたちが安全に,考えて動く組体操をつくる
- 組体操,視点2・3
- 64 クライマックスを引き立てる構成を考える
- 組体操,視点1
- Column
- 「チーム跳び箱」で個の輝きを引き出そう
- 個が輝くネット型ゲーム「テニピン(テニス型ゲーム)」
- おわりに
はじめに
■体育授業の現状に目を向ける!
「テニスって面白いよね!」「運動すると気持ちいいよね!」
スポーツには,「体を動かして面白い」「観戦して面白い」「関わり合って面白い」… 様々な「面白さ」が存在します。こうした運動がもつ「面白さ」を学ぶことで,体育科の究極目標である,「生涯に渡って運動に親しむ資質・能力」が育まれるのではないでしょうか。
小学校の子どもたちの多くは,体育の授業を楽しみにしています。体育の授業が雨などでできないと知れば,「えー!」「先生,体育館でやりたいです!」と何とか体育の時間をつくろうとする子どもたちの姿が見られます。
こうした体育を支持する圧倒的な力によって,体育はみんなにとっての楽しい教科として,明るいイメージをもたれています。故に,たとえクラスを半分に分けて,ドッジボールを1つのボールで行うような授業が展開されても,その場の雰囲気で「面白かった!」という感想をもってその時間の体育を終えることが少なくありません。
しかし,一見,全員が嬉々として運動しているようなボールゲームの授業においても,ゲームの中をよく見ると,ゴール前にポツンと動かずにいる子,行ったり来たり走っているけれど,一度もボールに触れない子,シュートが打てない子など,楽しさを感じられていない子がいるのです。
このような授業の中では,運動が得意な子は,輝く場面や運動量が保障され,「面白かった!」と気持ちが高まり,運動欲求充足が満たされた状態になります。一方で,運動が得意でない子にとっては,この時間は何の時間になっているのでしょうか。ボールには触れない,いや,むしろ触りたくないと思っているのかもしれません。その背景には,「ミスしたら友達から責められる」「恥ずかしい思いをしたくない」「運動は得意でないから,早く終わってほしい」と思っている子どもたちが,その授業の中には存在しているのです。
■全員参加=個が輝く体育授業を!
子どもたちは,どの教科,どの領域においても,「活躍したい!」「輝きたい!」「認められたい!」という思いをもっています。こうした思いに応え,子どもたちの自己肯定感を高めることが,私たち教師の役目です。
運動が得意な子も運動が得意でない子もすべての子どもたち一人ひとりが輝ける授業をつくることは,自己肯定感を高めることに加え,生涯スポーツを親しむ力を培うことにつながります。そして,その子の人生をより豊かにしていくことができるのです。
では,すべての子どもたちが輝ける授業とは,どのような授業でしょうか。それは,全員が主体的に参加する授業です。
本書では,「全員参加=個が輝く体育授業」をつくる上での指導テクニックをまとまめました。多くの先生方のより良い授業づくりの一助になれば幸いです。
【全員参加のための4つの視点】
視点1 教材・教具・場・ルールの工夫
視点2 振り返りと次時の学習課題設定の工夫
視点3 学習過程(今もっている力→発展した力)の工夫
視点4 チーム性をもたせる工夫
2020年11月 /今井 茂樹
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- 明治図書
- いろいろな子が進んで授業に参加できる工夫が記載されていて、参考になりました。2024/1/1750代・小学校教諭
- 多様な児童がクラスにいますが、全員を巻き込んで体育を指導したいと考えている方に必見です。2022/7/2940代・小学校管理職
- 全員参加にするための手立てが領域ごとに書かれていて、とても分かりやすかった。2021/6/1830代・小学校教員
- 全員参加の体育授業のコツが、教材レベルから授業の作り方レベルまで幅広く書かれており参考になります。2021/2/1830代・小学校教員