- はじめに
- 本書の特徴
- 本書の使い方
- PART1 音読・シャドーイングからスピーキングまでの指導のポイント
- 1 スピーキング力が伸びるスパイラル型指導モデル
- 1 PresentationからComprehensionへの指導モデル
- 2 PracticeからProductionへの指導モデル
- 2 文字と音を結びつける音読の基礎・基本
- 1 スピーキングにつなげる
- 2 単語認知を自動化する
- 3 学習事項を内在化する
- 4 内容理解につなげる
- 5 英語の音韻システムを獲得する
- 6 英文を前から理解する力を育成する
- 7 文章を深く味わう
- 8 記憶効率を向上させる
- 3 押さえたい音読の4つのポイント
- 1 音読のタイミング
- 2 音読の単位
- 3 音読の前のリスニング
- 4 発音とプロソディー
- 4 音読の8つの原則
- 1 考えながら音読する
- 2 何度も様々な形でスパイラルに本文を繰り返す
- 3 本文を使った十分な再利用を行う
- 4 再利用の前に本文を自分の言葉にするための準備活動を行う
- 5 再利用の後で本文を自分の言葉で言うスピーキング活動を行う
- 6 スピ―キング活動の評価方法を見直す
- 7 音読の前後の内容理解の方法に留意する
- 8 シャドーイングも組み合わせて利用する
- 5 スピーキング活動につながる9段階のバックワード・デザイン
- 1 STEP1 発音で重点を置く箇所の確認をする活動
- 2 STEP2 音声と文字と意味を一致させる音読
- 3 STEP3 自分で音声化する音読
- 4 番外編 授業にアクセントをつけるための音読
- 5 STEP4 生徒の音読への教師からのフィードバック
- 6 シャドーイング
- 7 STEP5 第1段階の発展的活動
- 8 STEP6 本文を自分の言葉にするための準備活動(内容理解2)
- 9 STEP7 第2段階の発展的活動(本文の内容を自分の言葉で言う活動)
- 10 STEP8 第3段階の発展的活動(本文をふくらませる活動)
- 11 STEP9 インタビュー・テストなどのスピーキング評価活動
- 6 Fluency重視のスピーキング活動
- 7 音読から表現活動への指導例
- PART2 音読・シャドーイングからスピーキングまでの活動アイデア
- 1 STEP1 発音で重点を置く箇所の確認をする活動
- 1 発音・プロソディー確認法
- Column withコロナの音読指導で思ったこと
- 2 STEP2 音声と文字と意味を一致させる音読
- 1 リッスン・アンド・リピート
- 2 オーバーラッピング(パラレル・リーディング)
- 3 リズム音読
- 3 STEP3 自分で音声化する音読
- 1 バズ・リーディング
- 2 リレー音読
- 3 スピード音読
- 4 通訳なりきりトレーニング(レベルA)
- Column 番外編 授業にアクセントをつけるための音読
- ① ウォーキング音読
- ② たけのこ音読
- ③ ツイート音読
- ④ DM音読
- ⑤ 情景見ながら音読
- ⑥ フォークダンス音読
- ⑦ 妨害音読
- 4 STEP4 生徒の音読への教師からのフィードバック
- 1 発音・プロソディー確認(音声送付編)
- 2 発音・プロソディー確認(授業中編)
- 5 シャドーイング
- 1 プロソディー・シャドーイング
- 2 マンブリング
- 3 ポーズ・シャドーイング
- 4 ディレード・シャドーイング
- 5 コンテンツ・シャドーイング
- 6 音声確認シャドーイング(上級者向き)
- 7 速攻アウトプット・シャドーイング(上級者向き)
- 8 リテンション(リピーティング)
- 6 STEP5 第1段階の発展的活動
- [TYPE A:本文をそのまま再生する音読]
- 1 穴埋め音読(クローズ音読)
- 2 リード・アンド・ルック・アップ
- 3 語順意味付きフレーズ音読
- 4 ストーリー・リプロダクション(キーワード再生)
- 5 パラパラ音読
- [TYPE B:感情を込めて本文を音読]
- 1 オーラル・インタープリテーション(エッセイ)
- 2 オーラル・インタープリテーション(対話文)
- 3 ジェスチャー音読
- [TYPE C:形式を作り替える音読]
- 1 タイプ変換音読
- 7 STEP6 本文を自分の言葉にするための準備活動(内容理解2)
- 1 日本語でのリテリング
- 2 構造マップ作成
- 3 教師による模範リテリングを聞く
- 4 変形英作文
- 8 STEP7 第2段階の発展的活動(本文の内容を自分の言葉で言う活動)
- 1 ストーリー・リテリング(内容理解・音読から発展)
- 2 ストーリー・リテリング(リスニングから発展)
- 3 サマリー+リテリング
- 4 グループ・リテリング
- 9 STEP8 第3段階の発展的活動(本文をふくらませる活動)
- 1 スキット作成
- 2 ディベート第1歩
- 3 日本語から入るディベート
- 10 STEP9 インタビュー・テストなどのスピーキング評価活動
- 1 かるた方式評価
- 2 シャドーイングテスト
- PART3 Fluency重視のスピーキング活動
- 1 ワードカウンター
- 2 マジカルクイズ
- 3 チャット
- 4 コマーシャル作成
- おわりに
- 主要参考文献
Preface はじめに
ベネッセコーポレーションの「中高の英語指導に関する実態調査2015」では,「授業において,次のようなことをどのくらい行いますか」という質問に対して中学校教員が最も実施している活動は音読で,98.1%が「よく行う」「ときどき行う」と答え,高校教員に対する質問でも同様に94.7%が,「よく行う」「ときどき行う」と回答しており,両者において最もよく行う活動となっています。音読が中学・高校の教員の間に広く浸透している活動になっていることがわかります。
では調査の中で,アウトプット活動の実施状況はどのようになっているのでしょうか。スピーチやプレゼンテーションを「よく行う」中学は9.1%,「ときどき行う」は48.0%,高校では,「よく行う」は3.8%,「ときどき行う」は22.0%でした。ディスカッションに関しては,中学では「よく行う」が0.6%,「ときどき行う」が4.8%。高校では「よく行う」が1.7%,「ときどき行う」が7.4%でした。英語で教科書本文の要約を書く活動に関しては,中学では「よく行う」が2.9%,「ときどき行う」が12.0%,高校では「よく行う」が7.3%,「ときどき行う」が21.6%でした。
各地で授業を見せていただく中で音読指導は行われていても,その後の発展的なスピーキング指導のない授業が多々あります。また発展的な活動はあっても,その前の音読練習がない授業も多くありました。このように中高の英語の授業では,音読は十分指導されていても,なかなか音読後のスピーキング活動までできず苦闘する先生方の姿が浮かびます。新課程が開始された中,特にスピーキング力の向上が叫ばれ,音読後のスピーキング活動の重要性は強調してもし過ぎることはありません。音読で授業を終えるのではなく,音読をその後のスピーキング活動に結びつけてこそ,音読をする意味があるのではないかと思います。
本書は,音読をスピーキングにつなげることに焦点をあてています。音読を行った後で,音読をスピーキング活動につなげるには様々な工夫が必要です。キーワードを元に本文を声に出して再生したり,本文の意味を考えて図示し,自分の言葉で再構築して声に出して読んだりします。ここには,「考える」プロセスや本文を様々な形で繰り返すプロセスを必要とします。特に内容理解は音読の前にすれば終わりではなく,音読の際やその後のスピーキング活動の際に自分の言葉にする活動などを通じて繰り返すことにより本文を自分のものにし,さらにその上に積み上げることができます。 また,内容理解に時間がとられて音読やスピーキング活動に時間が割けないと言われる先生も多いですが,音読やアウトプット活動の中に内容理解を取り入れることにより時間をつくることができます。このように反復と意味を深める作業を伴う音読を行うことで,従来の音読に比べて自然にアウトプット活動につなげることが可能になります。
スピーキング活動にはFluency(流暢さ)に重点を置く方法とAccuracy(正確さ)に重点を置く形があります。授業の中では両方の形が必要ですが,どちらかと言うと最近はFluencyに重点を置く活動が増えているように感じます。本書では,音読によりAccuracyを伸ばしながらFluencyも伸ばしていくことも目指します。また,スピーキング活動には新学習指導要領にある[発表]と[やり取り]という2つの要素を含みます。本書では音読の後でどのようにして[発表]し,生徒同士や先生と生徒が授業中に[やり取り]つまり英語による意味の交渉を行うことができるようになるのか,そしてそれをどう評価に繋げればいいのかということについての流れを紹介します。
本書のタイトルは『スピーキング力に差がつく!英語アクティブ音読「超」指導法』です。「アクティブ」音読としたのは従来の音読と違い,「1つ1つの音読に意味をもたせながら,生徒が活き活きと活動し,シャドーイングとも組み合わせてスピーキングへと繋げていく」という意味合いからです。
本書は音読指導法の紹介は必要最小限にして,音読をどうやってスピーキングにつなげ,それをどう評価するかに焦点をあてています。音読指導についてさらにお知りになりたい方は明治図書から出版されている拙著『目指せ!英語授業の達人10 英語力がぐんぐん身につく!驚異の音読指導法54』をご覧ください。筆者はスローラーナーへの指導について研究をして参りました。「英語を話すのが難しい」つまずきの克服方法として本書を書きました。皆さんのお役に立てることを願ってやみません。
2021年12月 /安木 真一
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- 明治図書
- 「超」指導法シリーズは、単語版を以前読んで大変役に立ったので、その音読版が出たので買いました。1つのテーマに絞った内容である程度経験を積んだ方がよむことで、視点を広げたりすることができる本だと思います。本書は音読が主ですが、その先にスピーキングがあることを踏まえた指導を意識していきたいと思いました。2022/6/1940代・中学校管理職