- はじめに
- 第1章 愛のある言葉かけとは
- 1 繰り返される「不適切で,効果的ではない」言葉かけ
- 2 関係を壊す教師の言葉かけ
- 3 なぜ,関係が壊れる言葉かけをしてしまうのか
- 4 愛のある言葉かけの条件とは
- 5 愛のある言葉かけを,どのように生み出すのか
- 6 愛のある言葉かけは,相手にどう響くのか
- コラム1 胸の内を,そのまま話す
- 第2章 子どもの生活を支える愛のある言葉かけ
- 1 子どもが他の子を非難している
- 子どもの味方になる言葉かけ
- 2 子どもが暴力をふるってしまった
- 暴力をふるった理由に寄り添う言葉かけ
- 3 子どもが教師を非難する
- どんなことでも聞くとメッセージを出す言葉かけ
- 4 子どもが家庭環境の変化で苦しんでいる
- 子どもの感情をそのまま受け入れる言葉かけ
- 5 じゃんけんで負けてパニックを起こしてしまった
- 正論を捨てて,子どもの心情を理解しようとする言葉かけ
- 6 子どもが登校を渋り始めた
- 「心配してくれている」と思える言葉かけ
- 7 子どもがうそばかりつく
- うそを責めない言葉かけ
- 8 子どもが当番活動をさぼっている
- 一緒に問題を解決する言葉かけ
- 9 子どもが忘れ物をしてしまう
- 報告してくれたことに感謝する言葉かけ
- 10 子どもが喧嘩をしてしまった
- 仲直りを無理強いしない言葉かけ
- 11 子どもが挨拶をしない
- 自然と挨拶ができるように促す言葉かけ
- 12 子どもがものを大切にしない
- 「なるほど!」と気づかせる言葉かけ
- 13 子どもが学校の規則を守らない
- 行動目的に共感する言葉かけ
- 14 子どもが「いじめられている」と訴えてきた(被害側)
- 全面的に心情に寄り添う言葉かけ
- 15 「いじめている」と訴えられた子と向き合う(加害側)
- 相手の心情を慮るようになる言葉かけ
- 16 子どもが性的な発言をする
- 自省を促す言葉かけ
- 17 子どもが不適切な言葉を使う
- 適切な心情表現を示す言葉かけ
- 18 子どもが友だちの体に触れてしまう
- 「信頼している」気持ちを認める言葉かけ
- 19 子どもが複数で行動したがる
- 目的と行動を確認する言葉かけ
- 20 子どもが席替えのあと,不満を言う
- 診断的言葉かけ
- 21 子どもが親との関係で悩んでいる
- 子どもの苦しさを受けとめる言葉かけ
- 22 子どもが特定の子に執着する
- 誰も悪者にしない言葉かけ
- 23 子どもの姿と親の訴えが違いすぎる
- 子どもの安全を保障する言葉かけ
- 24 子どもが下校時にトラブルを起こした
- 子どもの心情に同調する言葉かけ
- 25 陰で悪口を言われていると訴えてきた
- 自分で解決できるように勇気づける言葉かけ
- 26 教室内で物がなくなった
- 明るい気持ちになれる言葉かけ
- 27 朝の準備をせずに,休日のことを話してきた
- 「もっと話したい」を引き出す言葉かけ
- 28 家族のプライバシーにかかわることを大声で話す
- ケアする必要性を診断する言葉かけ
- コラム2 子どもの真意を洞察する
- 第3章 子どもの学習を支える愛のある言葉かけ
- 1 子どもが発表しない
- 対話へとつなげる言葉かけ
- 2 子どもが,授業中に不規則な発言をする
- ロールモデルを示す言葉かけ
- 3 子どもが隣の子と交流しない
- 緊張を解いて,共感を促す言葉かけ
- 4 子どもが特定の授業に参加したがらない
- 子どもの苦手さに,共感する言葉かけ
- 5 子どもが授業中に何かをいじっている
- してほしいことを,間接的に伝える言葉かけ
- 6 子どもが授業中に寝ている
- あたたかい雰囲気をつくる言葉かけ
- 7 特定の子が,すぐに答えを言ってしまう
- その子も,周囲の子も生かせる言葉かけ
- 8 特定の子が,立て続けに質問する
- モチベーションを下げない言葉かけ
- 9 子どもの聞き返しが多い
- 意欲を大切にする言葉かけ
- 10 子どもがグループ学習に参加できない
- その子の「今」を認める言葉かけ
- 11 子どもが授業中に立ち歩く
- 注意しなくても,席に戻れる言葉かけ
- 12 子どもが授業中教室から出て行ってしまう
- 「できない」苦しさに寄り添う言葉かけ
- 13 指示されたことをしようとしない
- 「取り組んだ方が損をしない」と思うようになる言葉かけ
- 14 子どもが他の子の学習を邪魔する
- 魅力的なミッションを提供する言葉かけ
- 15 授業中に関係のないサイトを見ている
- 自分の行動をコントロールすることを促す言葉かけ
- 16 授業中にチャットをしている
- パソコンの適切な使い方に気づかせる言葉かけ
- 17 専科の先生の授業が荒れているようだ
- 改善したい気持ちを引き出す言葉かけ
- 18 子どもが「総合のプレゼンをしたくない」と言う
- 周囲への仲間意識を芽生えさせる言葉かけ
- 19 学習がうまく進まず,子どもがキレた
- がんばろうとしていたことを認める言葉かけ
- 20 子どもたちが,学習に面白さを感じていない
- 子どもの正義感を高める言葉かけ
- 21 子どもが教室に入らない
- 気持ちを理解しようとする言葉かけ
- 22 子どもが大きな声でおしゃべりをしている
- 声の大きさの基準を示す言葉かけ
- コラム3 何も伝わっていないわけではない
- 第4章 保護者とともに子どもを支える言葉かけ
- 1 学校への強い要求を持っている保護者
- 「なんでも話していい」と思ってもらう言葉かけ
- 2 本音を語ってくれない保護者
- 子どもをほめ続け,信頼してもらう言葉かけ
- 3 子どもに厳しすぎる保護者
- しつけの効力感を高める言葉かけ
- 4 子どもに甘すぎると見えてしまう保護者
- 教師との連帯感を持ってもらえる言葉かけ
- 5 教師の指導に不満を持っている保護者
- 要望を尊重していることを伝える言葉かけ
- おわりに
はじめに
この本には,次のようなことは書いていません。
1つ目に,教師の意のままに,子どもを動かす言葉かけです。
そもそも,教育とは教師の意のままに子どもを操ることで成立する営みではありません。
教育の真骨頂は,子どもが自らより良い方向に進むために環境を整えて,待つことです。
ですから,子どもを意のままにコントロールするような言葉かけは,注意深く排除したつもりです。
2つ目に,どんな子にも通用し,誰にでもできる言葉かけです。
ここに書いてある言葉かけは,54歳のおじさん教師が,子どもたちとの生活の中で見つけたものにすぎません。
ですから,どんな年代や性別,人生の送り方をした教師にも「そのまま使える」とは言えません。
では,筆者と同じような教師にだけ有効かと言えば,そうではないでしょう。そうならないように書いたつもりです。
筆者は自分の言葉かけがなぜ有効であったのかを分析し,成功した要素を取り出し,解説したつもりです。
また,多くの教師がご自分の状況に応じて,その要素を参考に,言葉かけをカスタマイズできるように,示したつもりでもあります。
翻ってみれば,あらゆる教育書は,本来自分なりにカスタマイズして活用すべきものです。
それは,「誰でもできる〜」「どの子にも効く〜」という書名がついた本であっても,そうなのです。
そして,最後に,この本には思い付き程度でうまく通用した言葉かけは,書いていません。
どれも,子どもたちや保護者との関わりの中で,筆者が失敗を繰り返して,ようやく見つけた言葉かけばかりです。
苦しんだ末に,子どもや保護者との関係を,改善するきっかけをつくることができた希望の言葉かけばかりを記しました。
私にとっての希望の言葉かけが,あなたにとっても希望となりますことを,心より願っております。
筆者記す
自分の今までの経験になかった,子どもに対する観点を得ることができた。
若い先生方にも紹介することができた。