- はじめに&本書のコンセプト
- 導入で子どもたちをどうひきつけたらいい?
- CASE1 授業を逆算して考える
- CASE2 子どもから出た学習課題で進める
- 発言する子が限られてしまう
- CASE1 挙手の練習をし,習慣化する
- CASE2 発言せざるを得ない場をつくる
- 話し合いの指導の仕方が分からない
- CASE1 身体づくりと目的化で発表する体勢に
- CASE2 スモールステップで進める
- 授業で子ども同士をどうつないだらいい?
- CASE1 ウォーク&トークでつながる喜びを
- CASE2 ペア対話をベースにレベルアップを図る
- ペアやグループでの話し合いが深まらない
- CASE1 目的理解×マンネリ化を防ぐ多様な活動
- CASE2 深まりレベルを可視化する
- 学級全体の話し合いを深めるには?
- CASE1 「ズレ」が生まれる発問を精選する
- CASE2 聴き合いのできる学級を育てる
- ノート指導って何をすればいいの?
- CASE1 ノートの意義に立ち戻って考える
- CASE2 スパイラルに積み上げ,授業改善に活かす
- 文字の丁寧さやスピードをどこまで求める?
- CASE1 丁寧さを可視化して,使い分ける
- CASE2 一人一人に寄り添ったレベルアップを
- 丸付けは子どもがする?教師がする?
- CASE1 丸付けを通して主体的な学び手に育てる
- CASE2 スモールステップで付けたい力を伸ばす
- タブレットってどう使ったらいい?@
- CASE1 「視覚化」「共有」「蓄積」を目的にする
- CASE2 メリットを活かした利用方法を考える
- タブレットってどう使ったらいい?A
- CASE1 学習ログとして活用する
- CASE2 省察と振り返りで授業を磨く
- ダラダラと話す子への指導はどうしたらいい?
- CASE1 動画で目指したい姿を共有する
- CASE2 問い返しで話の中心を意識させる
- 正誤にばかり価値を置く子には?
- CASE1 過程に目を向けさせる学習展開に
- CASE2 「納得解」を提示できる専門性を高める
- 課題が早く終わり,時間を持て余している子への対応は?
- CASE1 上限のない課題設定と事後のルーティン化
- CASE2 子ども自身に問題プリントをつくらせる
- みんなと同じペースだと取り残されてしまう子には?
- CASE1 課題の細分化・単純化と加点式評価
- CASE2 自由進度学習を選択肢として持つ
- 学習の誤りを効果的に気付かせる方法は?
- CASE1 間違いの気付かせ方のバリエーションを持つ
- CASE2 場面に応じてアプローチを使い分ける
- どうすれば全員参加の授業ができるの?
- CASE1 当事者意識を持たせる発問を
- CASE2 導入の工夫で立場を明確にさせる
- 子どもたちが問いを持つようになるには?
- CASE1 3ステップで問いを持たせる
- CASE2 教師自身が学びのモデルになる
- 子どもがつまらなそうにしている
- CASE1 つまらないと言わせない教師の学びを
- CASE2 環境設定×課題設定で取り組みを促す
- 一時間でまとめまで辿り着かない
- CASE1 徹底的な事前準備
- CASE2 逆算してイメージする×言葉の力を高める
- 振り返りを書かせるにはどうしたらいい?
- CASE1 書けない子と書ける子,それぞれへの手立てを
- CASE2 “教室で”“友達と”学ぶ価値を示す
- 宿題って何を出して,どう扱ったらいいの?
- CASE1 付けたい力を自覚させ,即時評価で強化する
- CASE2 宿題を通してコミュニケーションを図る
- 教室の全体を俯瞰して見取るにはどうしたらいい?
- CASE1 「目線の動線」×全員に関わるという意志
- CASE2 自分の癖を自覚し,変えてみる
- どうやったら授業改善を図れるの?
- CASE1 「準備する力」と「進める力」は両輪で
- CASE2 授業を観る・観てもらう
- おわりに
はじめに&本書のコンセプト
若手教師の学級づくりでの悩みを解決したい!
本書は「あるある困った場面」シリーズのうち,授業づくりに主眼を置き,具体的実践を集めた1冊です。
そもそも,このシリーズを書くことになったきっかけは,私が教員サークル活動を進めていく中で多くの若手教師と接していて,以下のようなことに気付いたからです。
若手教師がつまずくことはすべて同じではないが,かなり似通っている
ためしに,目次ページをご覧ください。
「あぁ,これある!」という場面ばかりだと思います。このような場面は誰しもが経験するもので,対処法やそもそもそういう場面に直面する,ということを知っておくのと知らないのとでは大きな差になります。
このシリーズでは,そんな「あるある困った場面」に対する有効策を紹介しています。
『新任3年目までに身につけたい 困った場面をズバリ解決!指導術』では,授業づくり,学級経営,子どもとの関わり,保護者対応,同僚との関わり,仕事術の6つの項目ごとに,若手教師が直面する「あるある困った場面」を挙げ,それぞれに対して解決策をイラストとともに分かりやすく示しました。
「教師は授業で勝負」とはよく言われますが,教師として子どもたちと毎日過ごしていると,このことを痛感します。どんなに明るく,子どもから好かれる教師でも,授業が下手だと子どもたちは授業中につまらなそうにしています。そういう時間が積もり重なると,時には学級の荒れへとつながっていきます。やはり,授業は教師にとって生命線なのです。
ですから,「あるある困った場面」シリーズの続編として,授業づくりの具体的な対応策を本書ではまとめました。
ほとんどの若手教師が経験する「困った場面」を掲載!
「若手教師」とひと口に言っても様々な方がいますが,それでも意外なほど若手教師が経験する悩みは似たことが多いものです。
私自身,初任者〜3年目までの間にこれらの悩みの多くを経験しました。一つ一つは細かい悩みであっても,積み重なると「どうしたらいいのか分からない!」と途方に暮れてしまうこともありました。
新卒時に多くの教師が学級崩壊やそれに似た状況を引き起こしてしまう,と言われていますが,実はその原因が本書に挙げたような悩みの場面でうまく対応できなかったということもあるかもしれません。
教育は細かいことの「積み重ね」です。挨拶ができない子たちにどのように指導するか,騒がしいときにどうするか,給食の準備が遅いときどうするか……など,これらの場面においてどう対応するかは,「絶対的な正解」はないものの,教師がその場その場で「最適解」を考え実行していくことで,子どもが少しずつプラスの方向へ進むことができます。
しかし,これらの場面すべてで「不正解」を選択し実行していくことを「積み重ねて」しまっていったら……子どもは確実にマイナスの方向へ進んでしまいます。教師の言うことに耳を貸さなくなり,子ども同士のトラブルが多発し,授業が成立しなくなってしまうこともあります。
本書はそのような,若手教師のほとんどが経験し,なおかつ実は重要な「あるある困った場面」の事例をたくさん取り上げました。その一つ一つの悩み,困りに,「少し先輩」の立場から答えたのが本書なのです。
本書に挙げた「あるある困った場面」は実際に私やサークルメンバーが経験したものです。しかも,我々の年齢層は20代後半〜30代ですので,まだまだその場面での記憶も鮮明です。若手教師の思い,立場や状況なども加味したうえでのアドバイスとなっています。
具体的な実践を2本ずつ掲載!
本書の大きな特徴が,一つの「あるある困った場面」につき,二つの具体的実践を掲載している,ということです。
困った場面自体は「あるある」でも,日本全国に同じ教室は二つとありませんし,同じ子どもも2人といません。すべての状況は「特殊」であるとも言えます。そんな中「こうすればすべて問題は解決され,うまくいく」という方法は残念ながら存在しません。
『新任3年目までに身につけたい 困った場面をズバリ解決!指導術』ではどちらかというと「基本的」な対応について掲載しました。そのため,それで解決する場合もあれば,それでは通用しない場合もあったかもしれません。繰り返しになりますが,絶対的な正解,万能な手法などないからです。
そこで本書では,さらに詳しい具体的実践を二つ掲載し,その中から読者である先生方が,指導の引き出しを増やし,本書に書かれている実践から選んだり組み合わせたりして,目の前の子どもたちにとっての「最適解」を導き出していただく,ということを目指しました。
私を含めた「KYOSO’s」のサークルメンバーたちで実践して,効果があった内容やその問題への考え方などをなるべく具体的に書きました。中には,二つの実践が大きく異なるものもあります。だからよいのです。それらをお読みになり,「これはうちのクラスでやれそうだな」とか「この考えには納得できるな」というものを取り入れていっていただければいいですし,「この実践のここと,あの実践のあれを組み合わせたらなおよさそうだ」などと組み合わせてもよいでしょう。
いずれにせよ,一つの問題に対して二つの実践が掲載されていることで,それらを比較しながら読むことができ,実践の引き出しを増やすことができるのです。
少し経験を積んで,様々なケースを経験してこられた若手の先生にこそ,お読みいただきたいと願っています。
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- 明治図書