- はじめに
- 1章 新学習指導要領を実現する!授業づくりのポイント
- 新学習指導要領改訂のポイント
- 新学習指導要領を実現する本書の題材モデル
- 小学校からの接続において美術科教師が心がけること
- 「美術」との出会いに「期待」をもつ生徒を育てる
- 評価シート
- 2章 指導から評価まですべてが分かる!領域別題材モデル31
- 絵画
- 1 身近な人を見つめて 〜その人らしさを表そう〜
- 2 「○」の形の中に何が見える 〜自分らしいデザインをかこう〜
- 3 いろいろな技法の実験工房 〜モダンテクニック〜
- 4 原食堂 〜モダンテクニックを生かして〜
- 版画
- 5 和のオリジナル切手をつくろう 〜一版多色版画のよさを生かして〜
- 6 サークルワールド 〜ドライポイントに挑戦!〜
- デザイン
- 7 美しい構成と装飾 〜身近なものの特徴を捉えて〜
- 8 形を単純化して配色を意識して表現しよう 〜色の知識を活用して〜
- 9 レタリング 〜絵文字が動き出す!〜
- 10 世界一短い自己紹介!
- 11 ブレイクするドリンクはこれだ 〜ペットボトルラベルデザインに挑戦〜
- 12 スタジオ結成!オリジナルアニメの制作
- 13 色のとリズムと立体構成
- 14 自分の紋をデザインしよう
- 工芸
- 15 和のもつ美しさを味わう 〜張り子面〜
- 16 自分キャラだるま
- 17 「たたら板づくり」によるカップと皿の制作
- 18 和風を味わう 〜消しゴムはんこでうちわづくり〜
- 19 マイ水うちわ
- 立体
- 20 願いを込めた仮面
- 21 福来るアニマル
- 22 日本の美を和菓子に込めて
- 彫刻
- 23 手の塑像
- 24 学級を丸ごと再現!ぼくたちの休み時間 〜友人の「その人らしさ」を粘土で表現しよう〜
- 25 インセクトカフェでばぐバグbug!? 〜トリックアートを利用した、オリジナルカフェメニューを虫で表現〜
- 26 プロジェクトN 〜NENDOで本物そっくりのNIBOSHIをつくろう〜
- 鑑賞
- 27 アートで伝言ゲーム
- 28 花の生命 〜花から命の表現を感じ取る〜
- 29 浮世絵って何?浮世絵の真実を明かせ!
- 30 〇〇さんのことを友人に紹介しよう!
- 31 そうだ!美術館へ行こう!
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに
今回の学習指導要領改訂では,図画工作科で身に付けた資質・能力をもとに,中学校美術科における「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の3つの資質・能力の観点から整理されました。その中では,表現活動や鑑賞活動を通じ,造形的な見方や考え方を働かせながら,子どもたちを取り巻く生活や社会にある様々な美術や美術文化と豊かに関わることが目指されました。
ところで,ここで言う造形的な見方や考え方を実現するには,感性や想像力を働かせながら対象や事象を造形的な視点で捉え,自分なりの意味や価値をいかにつくり出すことができるかが実践上のねらいとされます。では,ここで言う「感性」とは,どのような力を言うのでしょうか。「感性」とは一般的に言って「感じる力」と,どちらかというと受け身の力として捉えられがちです。しかし,これまでの研究から,それは,五感を通じて自らにとって大切な情報を取捨選択し,かけがえのない自分らしさを創り上げていく「能力」であり,実は受け身ではなく,主体的,積極的で教育可能な力と言うことができます。また「感性」を働かせるプロセスで生きた「知性」が育成されるという意味で,「感性」とは子どもたちの「確かな知性を支える土台」であると言うこともできます。豊かな美術の学習は,混沌とした多様な価値観の中を自らの視点をもち,確かな足取りで生き抜くための原動力になると考えることができます。
本シリーズは,新学習指導要領に準拠しつつ,実践研究を進めてきた愛知県造形教育研究会の実践研究の成果を中学版「テッパン題材」としてまとめたものです。定番の教科書題材をもとに等身大の中学生の現状に向かい合いながら,いかに造形的な見方や感じ方を育てていくことができるかについて,実践者の様々な工夫や手立てが生かされた実践集となりました。各項目には,授業の環境づくり,進め方,言葉かけのアドバイス,評価等の観点が具体的に示されました。また,本文中の「評価」に関しては,授業者のねらいに合うように自由に書き込める「評価シート」も掲載しましたので必要に応じてご活用ください。
本題材集が,新学習指導要領を背景とした授業の実現に悩む先生方の参考になり,美術科の授業を着実に進めていく際のヒントになればこれに勝る喜びはありません。
最後になりましたが,本書の企画段階から出版に至るまで,本当に粘り強く支えていただきました明治図書出版編集部の木村悠さまはじめ労をとっていただいた編集部の皆様に心より御礼を申し上げます。
2021年5月 監修者
-
- 明治図書