- はじめに
- 序章 GIGAスクールと理科
- GIGAスクール時代の到来
- 1 はじめに
- 2 社会の変化とSociety 5.0
- 3 GIGAスクール構想という新しい教育
- 第1章 理科でICTを活用するための基礎知識
- 1人1台端末を理科の授業のどこでどのように活用する?
- 学習履歴を残し,学びを蓄える機能
- 認識を深める課題提示機能
- プレゼンテーション機能
- グラフ作成機能
- デジタルホワイトボード機能
- ICTを活用しやすい理科室環境
- 第2章 ICTを活用した理科授業づくり
- 3年
- カメラ機能で情報を集め,事実を捉える(自然の観察)
- 写真データを併用して植物の成長の事実を捉える(植物の育ち方)
- 動画の活用で,正確な記録をする(風とゴムの力の働き)
- 動画や写真データを生活と結びつけ,認識を深める(風とゴムの力の働き)
- 見にくい事象をスロー再生し,事実を捉える(音の性質)
- 記録写真をマップにまとめて結果を共有する(動物のすみか)
- 影の動きをタイムラプス撮影して感動を共有する(地面のようすと太陽)
- カメラ機能を活用してより正確な事実を捉える(太陽の光)
- 実験操作の妥当性を,動画で振り返る(電気の通り道)
- 付箋機能で並べ直し,結果を整理する(磁石の性質)
- 実験操作を動画で記録し,事実を捉える(ものと重さ)
- 4年
- 共同編集アプリで集めた情報を共有し,事象をつなげる(季節と生物)
- 他校との共同実験・自動計測で認識を深める(天気と気温)
- スローモーション撮影機能を活用し,事実を捉える(電流の働き)
- カメラ機能と音声で実験を振り返り,認識を深める(閉じ込めた空気や水)
- シミュレーションと検索エンジンで情報を集める(月と星)
- 写真で事象をつなげて,問題を見いだす(雨水の行方と地面の様子)
- 問題解決に必要な骨と筋肉に関する情報を集める(人の体のつくりと運動)
- カメラ機能でわずかな変化の事実を捉える・事象をつなげる(ものの温度と体積)
- カメラ機能で温まる過程すべての事実を捉える・事象をつなげる(ものの温まり方)
- 早送り・連続再生で事実を捉える(すがたを変える水)
- 5年
- オンラインで日本の空をつなぎ,認識を深める(天気の変化)
- タブレットを顕微鏡にして卵の中の変化の事実を捉える(動物の誕生)
- 問題解決に必要な胎児の成長に関する情報を集める(動物の誕生)
- シートを活用して,検証計画の考えを共有する(流れる水の働きと土地の変化)
- 写真を重ねて,事実を捉える(流れる水の働きと土地の変化)
- デジタル色付箋を使い,実験結果を共有する(物の溶け方)
- 表計算アプリで視覚化し,実験結果を共有する(振り子の動き)
- 蓄積された既習の記録から,予想の根拠を見つける(電流がつくる磁力)
- 表計算アプリで平均化し,結果を整理する(電流がつくる磁力)
- 6年
- 割り当てたシートに入力し,結果を共有する(燃焼の仕組み)
- テンプレートで予想し,考えを共有する(植物の養分と水の通り道)
- 写真と考察をスライドにまとめ,考えを共有する(植物の養分と水の通り道)
- スライドのリンクを活用して,情報を集める(人の体のつくりと働き)
- 共同編集しながら,生物同士のかかわりの認識を深める(生物どうしの関わり)
- ICTを上手に活用して,認識を深めたり,情報を集めたりする(月と太陽)
- テンプレートにイメージ図をかいて,物質変化の認識を深める(水溶液の性質)
- 地層(露頭)の写真を共有して,価値を高める(土地のつくりと変化)
- 撮影と共同編集機能で,結果を共有する(てこのはたらき)
- 実験結果を動画とグラフで示し,事実を捉える(電気の利用)
- 長時間の事象を微速度撮影し,事実を捉える(電気の利用)
- 環境問題に関する情報を集め,整理し,考えを共有する(生物と地球環境)
- 第3章 ICT活用にかかわるQ&A
- Q1 書く活動はもうしなくていいの?
- Q2 インターネット検索は難しい言葉まで集めてしまう。どのように指導すればいいの?
- Q3 子供をどこまで制限するべき?
- Q4 動画を見せれば,観察,実験はしなくてよい?
- Q5 プリントアウトって必要なの?
- Q6 なんでもかんでも撮影して記録に残せばいいの?
- Q7 オンライン授業……理科はどんな授業になるの?
- Q8 長い休校期間……家庭で理科の問題解決は進められるの?
はじめに
「GIGAスクール構想」の推進により,多くの学校で児童生徒の「1人1台端末」及び「高速大容量の通信環境」の配備が整いつつあります。授業を行う現場の先生方は,「機器は揃ったが……どのように活用すればいいの?」「どのような資質・能力が身につくの?」「トラブルは起きないの?」「操作が難しそう」など,不安と戸惑いは拭えないことでしょう。
まず,1人1台端末を活用した授業展開はこれまでの授業と大きく変わることはご理解ください。しかし,操作に慣れてくると子供が進んで学習に向かうようになる多くのメリットが潜んでいます。はじめのうちは先生のちょっとしたアドバイスや準備が必要になりますが,子供たちはすぐにICT活用に慣れ,自らの力で活用できるようになります。まさに「自ら考え主体的に行動できる」姿の実現につながるのです。
私たち「理科おもしろゼミ」では,先述のちょっとしたアドバイスや準備等に着目し,1人1台端末を積極的に活用した授業実践を行い,新しい問題解決に生きる実践事例をまとめました。
本書は小学校理科の全単元に特化した1人1台端末を活用した実践事例です。ICTに自信のない先生でも,実践してみたくなる簡単な内容を厳選しています。まずは本書を参考に,端末のカメラ機能から活用し,自然の事物・現象を撮影する授業展開から行ってみてください。
私たち「理科おもしろゼミ」は東京学芸大学附属小金井小学校を中心とした小さな理科の研究会です。これまで小学校理科の授業提案や教材研究などの勉強会を行っています。その活動実践が今回このような書籍になりましたこと,大変喜ばしく思っております。刊行するにあたり,文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・鳴川哲也先生に貴重なご示唆をいただき,書籍の方向性など多大なご指導をいただきました。ここに記して深謝申し上げます。
理科おもしろゼミ・三井 寿哉
実践してみないとまだ分からないですが、徐々に慣れていきたいと思います。