- イントロダクション
- 全員が楽しめる体育あそびとはどんなもの? /鈴木 邦明
- 内容別 短時間でパッとできる体育あそび
- 学級開き・授業開き
- 楽しみながら友だちを知ろう!自己紹介じゃんけん列車
- たくさんの仲間をつくろう!猛獣狩り
- ハラハラドキドキを楽しもう!爆弾ゲーム
- 協力して素早く順番で並ぼう!ラインナップゲーム
- 心を合わせて立ち上がろう!スタンドアップ
- みんなの名前を覚えよう!名前しりとり
- 仲間と心を合わせよう!瞬間移動
- 自分の好きな場所を見つけよう!お気に入りの場所はここ
- 仲間と息を合わせよう!フラフープダウン
- じゃんけん
- 楽しみながら体を温めよう!じゃんけんランニング
- 楽しみながら体を温めよう!体じゃんけん
- 仲間とじゃんけんの勝ち負けを楽しもう!新聞じゃんけん
- 体全体を使って楽しもう!体あっち向いてほい
- 楽しみながら体を温めよう!腰あっち向いてほい
- じゃんけんとストレッチを一度にしよう!縮みじゃんけん
- 一瞬で判断しよう!負けたら逃げろ
- 仲間と協力して早く並ぼう!どこが早く並べるか
- じゃんけんに勝ってどんどん進化しよう!進化ゲーム
- 仲間と一緒に体全体でじゃんけんしよう!チームじゃんけん
- ボール
- ペアで息を合わせよう!ボール運びリレー
- 状況に応じて判断しよう!ボール集め
- 2つの球から逃げ切ろう!ダブルドッジボール
- 思い切りボールを蹴飛ばそう!キックベース
- 思い切りボールをかっ飛ばそう!ベースボールゲーム
- ボールを守ろう,蹴飛ばそう!ボール蹴り
- 体をうまく使ってボールを止めよう!どこでもキャッチ
- タイミングとコツをつかもう!投げ上げ&キャッチ
- 相手のとりやすい球を投げよう!ボールパスラリー
- ラリーを楽しもう!ハンドテニス
- シュートを打って点をとろう!3on3
- 守備をかいくぐってコーンを倒そう!シュートゲーム
- 鬼あそび
- 攻めと守りの頭を素早く切り替えよう!しっぽとり
- 周囲をよく見て逃げよう!もの鬼
- ダンゴになるタイミングを見極めよう!ダンゴ鬼
- 表現力に磨きをかけよう!魔法鬼
- 知恵で体力を補おう!ゾンビ鬼
- じゃんけんに勝って鬼を止めよう!じゃんけん鬼
- チームワークでしっぽを守ろう!ヘビとニワトリ
- つかまえる作戦,逃げる作戦を練ろう!田んぼ鬼
- ルールを変えながら楽しもう!ボール鬼
- 手をつないで,心もつなごう!手つなぎ鬼
- 追いかけられながら追いかけよう!三色鬼
- たまには思い切りふざけよう!探偵鬼
- 器械・器具
- 握力と筋力を高めよう!勝ち残り雲梯じゃんけん
- もっと握力と筋力を高めよう!雲梯ドンじゃんけん
- 逆さ感覚を高めよう!いろいろ鉄棒じゃんけん
- もっと逆さ感覚を高めよう!鉄棒じゃんけんリレー
- もっと鉄棒に親しもう!鉄棒折り返しじゃんけんリレー
- 回転感覚を高めよう!前回りおりリレー
- 振り感覚,跳びおり感覚を身につけよう!振り跳びおりチャンピオン
- 高さ感覚を養おう!ジャングルジム王様じゃんけん
- 巧みに動く力を高めよう!ジャングルジムリレー
- バランス感覚を高めよう!平均台ドンじゃんけん
- バランス感覚とチーム力を高めよう!平均台並べ替えゲーム
- 走りながら障害物を越えよう!平均台リレー
- リレー
- 運を味方にしてバトンをつなごう!運試しリレー
- 運を味方にしてバトンをつなごう!じゃんけんリレー
- いろんな障害を乗り越えバトンをつなごう!障害物リレー
- 慎重につなごう!バケツリレー
- いつもと違う動きでバトンをつなごう!後ろ向きリレー
- いつもと違う走り方でバトンをつなごう!逆回りリレー
- 丁寧に水をつなごう!水運びリレー
- 大きなバトンを協力してつなごう!巨大バトンリレー
- いつもと違うバトンを仲間とつなごう!変わりバトンリレー
- 仲間と協力してたすきをつなごう!ミニ駅伝
- なわとび
- 友だちと声をかけ合って走ろう!2人で駆け足跳び
- いろんな友だちとやってみよう!一緒にジャンプ
- チームで協力してタイムを競おう!トラベラーリレー
- 体を柔らかくしよう!なわとびリンボー
- 回転する縄に合わせてジャンプしよう!ロープまわし
- はさまれないようにステップしよう!なわとびバンブーダンス
- みんなで記録にチャレンジしよう!連続跳び(0の字,1の字,4の字)
- 気持ちとタイミングを合わせよう!タッチなわとび
- スリルを楽しもう!エックスなわとび
- 素早く駆け抜けよう!三角なわとび
- 表現・リズム
- ルールに合わせてピタッと止まろう!巻き戻しだるまさんがころんだ
- 動物を表現してみよう!木の上の動物クイズ
- 即興的に動こう!リーダーはだれだ
- 生き物を表現してみよう!○○でとおりゃんせ
- 動きをピタッと止めよう!ストップあそび
- カウントをよく聞いて大きく手をたたこう!カウントクラップゲーム
- カウントをつかもう!4カウントチュートリアルゲーム
- ノリノリでいこう!ボックスダンスゲーム
- ペアを変えながら楽しもう!エクストリームアルプス一万尺
- みんなでつないで楽しもう!8カウントリレー
- 異学年交流
- いろんな人とペアになろう!ガッチャン鬼
- みんなの絆を感じよう!異学年でスタンドアップ
- お互いのことをもっと知り合おう!ハブユーエバー
- 低学年の子も活躍しよう!火の玉ドッジボール
- お互いの名前や好きなことを覚えよう!名刺交換鬼&サイン集めゲーム
イントロダクション
全員が楽しめる体育あそびとはどんなもの?
帝京平成大学 /鈴木 邦明
1.新型コロナウイルス流行の影響
新型コロナウイルスの流行は,人々の暮らしに大きな影響を与え,学校や子どもの生活にも変化をもたらしました。本書のタイトルにある「体育あそび」とかかわりのある,体育授業,レクリエーション,健康などにも大きな影響を与えています。
そういった中で私が改めて意識することになったのが,世界保健機関(WHO)の健康の定義です。WHOは健康の定義を「体(身体的)」「心(精神的)」「仲間(社会的)」のすべてを満たすこととしています。
体育授業やレクリエーションなどにおいて,教師も子どもも「体(身体的)」は意識していることが多いのですが,他の2つ(「心(精神的)」,「仲間(社会的)」)の存在を忘れがちです。新型コロナウイルスは,この残り2つの存在の大切さを改めて感じさせました。残念ながら,政府の発表によると,子どもの自殺者数が2020年には過去最高でした。人とのかかわりを強制的に遮断することとなった新型コロナウイルスの流行が,直接的,間接的に子どもの心や体に影響を与えていることが予想されます。
こういった状況において,本書がきっかけとなり,子どもが体を動かし,仲間とかかわる活動が増え,まわりの人と遊ぶことを通して,よりよい育ちや学びにつながることを願っています。
2.みんなで何かをする楽しさを味わう
最近,ドッジボールの是非が話題になったことがありました。肯定的な意見もある中,「活躍する子どもに偏りが出る」「弱い者いじめを助長する」などのネガティブな意見が多数見られました。
ドッジボールに関しては,私はどういった状況で取り組むのかということが重要だと考えています。もし,体育の授業で全員が参加する状況であれば,私は通常のやり方でドッジボールに取り組むことには反対の立場です。取り組むにしても,ルールを工夫し,多くの子ども,特に運動を苦手と感じている子どもが楽しむことができるようなやり方にしてから取り組むべきでしょう。ドッジボールは,活躍する(楽しむことができる)子どもが一部になりやすい種目だからです。
これが,休み時間で,好きな子どもだけが参加するような状況であれば,ドッジボールに取り組むことには賛成です。希望者は,基本的に投げることや逃げることが好きな子どもたちだからです。ねらわれて当てられることや当てられて痛い思いをすることなども承知のうえで参加しています。
このドッジボールの捉え方は,他の種目にもそのまま当てはめることができると思います。すべての子どもが参加する活動の場合,一部の子どもだけが楽しめる(活躍できる)のではいけません。すべての子どもが楽しむことができ,また,すべての子どもがやりたいと思うような活動を実施していくことが求められます。
そのために,教師は様々な配慮をする必要があります。個々の子どもの能力は様々です。また,子どもの集団にも違いがあります。教師にも個性があります。さらに,校庭や体育館など場所や設備にも違いがあります。こういった様々なことを考慮しながら,そのとき最適な活動を見つけ,取り組んでいきます。本書がそのための手がかりになれば幸いです。
3.「パッとできる」ことの効果
最後に,本書のタイトルにある「(短時間で)パッとできる」ことについて考えたいと思います。読者の皆さんは「パッとできる」という言葉から,どんなことをイメージするでしょうか。
先生の目線で考えてみると,「道具の準備などが大変ではない」「場所を選ばず取り組むことができる」といったことが考えられます。実際,本書で紹介している活動は,たくさんの道具を必要とする事例は少なく,じゃんけんなど,道具をまったく使うことなく取り組むことができる事例もたくさん紹介しています。道具が多くなると,準備の手間がかかります。さらに,片づけにも同様に手間がかかります。道具を使わずに取り組める活動であれば,いつでも,どこでも取り組むことが可能です。そういったことを考えると,少ない道具で取り組むことができるというのは大切なことです。
さらに,子どもの目線で考えてみると,「ルールがシンプルである」ことが思い浮かびます。ルールが複雑になると,その理解に時間がかかります。さらに,実際に取り組むと,ルールを守らない(守れない)子どもが出る可能性もあり,その結果としてトラブルにつながることがあります。そういったことを考えると,ルールがシンプルであるというのも,子どもが楽しむうえで大切なことです。
※ご注意いただきたいこと
本書で紹介する活動やイラストは,紙幅の都合上簡略に示している部分などもあります。本書を参考に実際の活動を行う際には,安全面に十分配慮してご指導いただくようお願いいたします。
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