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イントロダクション
小5担任の学級経営 4つの鉄則
岩手県花巻市立若葉小学校 /古舘 良純
はじめに/5年生という学年を捉える
これまでに,7年連続11回の6年生担任を経験したことがあります。言い方を選ばずに表現すると,そのほとんどが「荒れ」や「崩壊」といった状態でした。
「なぜそんな状態になってしまったのだろう」と考えながら学校を見ていると,やはり5年生の段階で崩れていく様子が見えました。
具体的に言えば,「生徒指導の数が圧倒的に多くなる」「授業が成立しない」「教室に入れなくなる子が増える」といった状況が,5年生の教室で次々と生まれていたのです。
早ければ6月の段階で黄色信号。1学期をなんとか乗り越えても,また秋にかけて雲行きが怪しくなり,2学期末の段階では赤信号が点灯します。
その原因の多くは「教師が5年生という学年を捉えきれていない」ということにあると考えています。
7年連続6年生を担任した次の年,私は5年生を担任しました。子どもたちを捉えようと,常に子どもたちの情報を共有し,指導の方向性をすり合わせ,学年団で徹底的に話し合いました。
この原稿を書いているのは夏休みです。5年生の子どもたちは大きく成長し,「荒れ」や「崩壊」とは真逆の方向に進むことができています。
こうした学級経営を成立させていくための鉄則が4つあります。
1 「無邪気さ」を引き立たせる
学級開き,開口一番「高学年の仲間入りですね!」と話す先生は多いと思います。しかし,このセリフには多くのリスクが隠れています。この言葉を回収するのは容易なことではないからです。
5年生といえど,出会ったころは「4年生4学期」のようなものです。経験したことがない高学年の看板を急に背負わせてしまうことは,子どもたちに大きな負荷を与えることになるでしょう。
まずは子どもたちとの出会いに感謝し,「今のみんながいい」「そのままのみんなでいい」と伝えることが大切です。無事に4月を迎えられたことや今日出会えたことに,ただ感謝する心構えが必要だと思います。
私たち教師は,「高学年」という言葉に縛られています。「きちんとするのが高学年」「見本になるのが高学年」「立派な姿が高学年」と,崇高な人間像を抱いてしまうのです。そこに「無邪気さ」などはほとんど存在していないように感じます。
しかし,無邪気さを失ってしまった高学年ほど大変な学年はありません。元気いっぱい歌が歌えない。体全体を使って表現できない。喜びを爆発させることができない。涙が出るほど笑えない…。
そんな状態になると,「子どもでもいられず,大人にもなりきれない中途半端な人間」になってしまいます。
徐々に子どもたちはエネルギーを溜め込んでしまい,発散させることができない日々を過ごします。悶々とした生活を送るうちに,「トラブル」という形でエネルギーを表出させてくるのです。
誤解を恐れずに言えば,1学期のうちは「まだ4年生」と捉えて接してもよいくらいです。少しうるさいくらいがちょうどいいと思うほどです。
1年間かけて育てていくわけですから,「子どもらしさ」を存分に生かしていきたいものです。
2 「スピード」を上げる
単純に,スピードが遅いと成長も遅くなります。起立の素早さや問いかけに対する反応,筆記スピードやタイピングスピードもそうです。育っていない学級ほど,スピードは落ちます。
特に,切り替えスピードは重要です。
例えば,50m走のスピードは個々に限界があります。食事のスピードも,その子の体格によって変わるでしょう。
しかし,頭の切り替えスピードは,ある程度どの子も高めることができます。可能な限り早いスピードに慣れさせるようにします。
スピードが上がると,自ずと時間が生まれます。同じ45分間の授業でも,その中にいくらでも余裕を生み出すことができます。
その生み出した時間で習熟を図るもよし,ノートを自分らしくまとめるもよし,話し合いに時間を費やすもよしです。場合によっては,学級活動的な時間の確保もできるかもしれません。
5年生は,教科書の指導事項も多く,特に時間が必要になってくる学年です。時間を捻出し,かつ成長を促すためにも,スピードを上げる視点をもっておくようにします。
3 「人前」に強くする
6年生担任の先生から,「うちの学級の子どもたちはなかなか発言をしなくて…」と相談いただく機会がたくさんありました。
多くの場合,「思春期だから」とか「はずかしさが出てきたのだろう」とか「高学年だから仕方がないね」と片づけがちです。
しかし,本当にそうでしょうか。私はそうは思いません。単純に人前に出る経験を積んできていないだけだからではないかと考えています。
高学年になるに従って,例えば,計算が苦手だとか,社会が好きだとかという理由で発言する子が偏ることはあるでしょう。
しかし,それをよしとして進めてしまう担任のあり方が問われているのではないでしょうか。わかる子,言える子だけで授業を進めてしまうことが,子どもたちを発言できない子に「育ててしまっている」と感じます。
そうならないように,5年生の時点で,人前に強くしておくようにします。同時に,だれもが発言する教室,空気感をつくるようにもします。
そして,正解か不正解かのみをジャッジするようなことではなく,積極的な姿勢や貢献しようとする意気込みを価値づけ,全員で学ぶ教室にしていくのです。
4 健全な「野心」をもたせる
小学校では,最高学年である6年生が筆頭です。事あるごとに「6年生のおかげで」「6年生がいたから」と6年生をもち上げる場面がたくさんあります。それが,学校の鉄則でもあります。
しかし,同じ高学年の括りで見れば,5年生だって委員会活動に取り組んでいたり,運動会でも仕事が分担されたりします。低学年と遊んだり,お世話をしたりもします。
そんな様子を見ていると,厳しい状態で受けもった6年生より,ギラギラした5年生の方が働いていると思うことがあります。正直な気持ちです。
いざ仕事を振ったり,何かを任せたりしたとき,パンチ力があるのは5年生。そんな逆転現象を起こせるのが5年生です。
でも,逆転してはいけません。6年生が筆頭だからです。しかしそれは,5年生の気持ちや勢いをつぶすことではありません。「来年の君たちに期待している」「この6年生をしっかり支えて卒業させたら君たちの番だ」と,力を蓄えながら,最高学年に送り出すことが大切なのです。
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内容 | ファイル名 | サイズ | |
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イラストカット (主に小学校低学年) |
illust_tei.zip | 19,393KB | |
イラストカット (主に小学校中・高学年) |
illust_chukou.zip | 21,778KB | |
イラストカット (カラー、グレー、ぬり絵) |
illust_cut.zip | 35,270KB |
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