- はじめに
- 序章 子どもを夢中にさせる漢字学習のポイント
- 1 漢字嫌いをなくすヒント
- 2 漢字好きにするポイント
- 第1章 学習ゲームのアイデア
- 01 象形文字でカード合わせゲーム
- ―漢字の字形に慣れ親しませる@
- 02 象形文字でババぬき
- ―漢字の字形に慣れ親しませるA
- 03 画数じゃんけん
- ―筆順と画数の数え方に慣れ親しませる@
- 04 漢字ビンゴ
- ―漢字を素早く探すことができるようにする
- 05 画数七ならべ
- ―筆順と画数の数え方に慣れ親しませるA
- 06 漢字カルタ
- ―同じ部首の漢字がたくさんあることを理解させる
- 07 反対漢字カード合わせ
- ―対義語に慣れ親しませる
- 08 漢字ネットワーク
- ―できるだけ多くの漢字に慣れ親しませる
- 09 漢字しりとり
- ―熟語の語彙力を高める
- 10 だれの書いた漢字でSHOW
- ―漢字の細部に注目することができるようにする
- 11 漢字スリーヒントゲーム
- ―漢字の特徴を捉え,伝える力を高める
- 12 辞書引きレース
- ―漢字辞典の使い方に慣れさせる
- 13 ズームしすぎ漢字クイズ
- ―漢字の細部の違いに注意できるようにする
- 14 指でなぞって「伝漢」ゲーム
- ―似ている漢字との違いがわかるようにする
- 15 漢字ずもう
- ―間違いやすい漢字の字形に慣れ親しませる
- 16 ボディで「伝漢」ゲーム
- ―体で漢字を表現することを楽しませる
- 17 漢字で組体操
- ―協力し合い,体で漢字を表現することを楽しませる
- 第2章 プリント・ワークシートのアイデア
- 01 漢字の標本をつくろう!
- ―仲間の漢字を集めることができるようにする
- 02 マイ漢字辞典をつくろう!
- ―主体的に漢字学習を進める習慣をつけさせる
- 03 そっくり漢字プリント
- ―正しい漢字を選択する力を高める
- 04 にせもの漢字を探せ!プリント
- ―似ている漢字との違いがわかるようにする
- 05 漢字の計算プリント
- ―合成・分解で漢字の構成を正しく理解させる
- 06 変形合体する漢字コレクション
- ―漢字の点画が変形することを理解させる
- 07 ジグザグ漢字プリント
- ―部首部分ごとの練習で定着を図る
- 08 感じる漢字プリント
- ―イラストで字形に親しませる
- 09 そう読むの?漢字コレクション
- ―特別な読み方に親しませる
- 10 加えてつくろう別漢字
- ―1点1画が大事であることを理解させる
- 11 万葉がなで暗号文
- ―平仮名・片仮名の成り立ちを理解させる
- 12 仲間はずれはどれ?
- ―「部首とは何か」を理解させる
- 13 漢字四つ葉のクローバー
- ―仲間の漢字や対になる漢字に親しませる
- 14 漢字フラワー
- ―熟語の語彙力を高める
- 第3章 教室環境・掲示物のアイデア
- 01 漢字情報コーナー
- ―教室をまるごと漢字学習空間にし,意欲を高める
- 02 漢字でご案内
- ―身の回りの物を漢字で表す意欲を高める
- 03 筆順のきまり
- ―筆順の原則を身に付けさせる
- 04 漢字アイテム・コレクション
- ―部首部分の意味を理解させる
- 05 今年の新アイテム
- ―初めて学習する部首部分に慣れ親しませる
- 06 3分「漢」クッキング
- ―わずかな時間でも漢字と向き合う意欲を高める
- 07 漢字なぞなぞ
- ―漢字を組み立てる力を高める
- 08 イラスト漢字クイズ
- ―漢字をイメージで捉えることを楽しませる
- 09 おもしろ漢字ワールド
- ―漢字にまつわる話題に興味をもたせる
- 10 難読漢字コレクション
- ―難しい読み方の漢字に興味をもたせる
- 11 デジャビュ漢字コレクション
- ―様々な場面で使われている漢字に興味をもたせる
- 第4章 漢字活用型授業のアイデア
- 01 漢字で五・七・五
- ―漢字にまつわる俳句や川柳をつくって楽しませる
- 02 「今年の漢字」を大予想
- ―1年間のできごとを漢字1字で表現させる
- 03 漢字1字でめあてを表すと
- ―自分が伝えたいことを表す漢字を選ばせる
- 04 日本生まれの漢字をつくろう
- ―国字を知り,オリジナル漢字づくりを楽しませる
- 05 切り抜いて文をつくろう
- ―印刷された漢字を使って楽しませる
- 06 漢字リサーチ
- ―使う場面の少ない漢字に慣れ親しませる
- 07 予想でクイズ
- ―自ら課題をつくり,自ら解決する力を高める
- 第5章 漢字テストのアイデア
- 01 成り立ち漢字テスト
- ―STEP@印象深く漢字を覚えさせる
- 02 間違いだらけの漢字テスト
- ―STEPA間違いやすいポイントを理解させる
- 03 チラ見せ漢字テスト
- ―STEPB部首部分ごとに習得させる
- 04 100点以上取れるテスト
- ―同音異義語に興味をもたせる
- 05 都道府県の漢字テスト
- ―場所と漢字表記を一緒に覚えさせる
- 06 これで全部!○年生の漢字
- ―1年間に学習する漢字に見通しをもたせる
- 07 オリジナル漢字検定
- ―自分のペースで1年生漢字から再点検させる
- Column
- 漢字コラム@ 教科書体は1つではない!?
- 漢字コラムA 許容できない書き方
- 漢字コラムB 筆順も1つではない!?
- 漢字コラムC 1つの点にも歴史あり
- 参考文献一覧
- おわりに
はじめに
突然ですが,「どうして漢字を覚えなくてはいけないの?」と,子どもに聞かれたら,あなたならどう答えますか。
「大人になって漢字を知らないと,恥ずかしいよ」「試験で漢字を書けないと困るでしょ」。確かに一理ありますが,どうにもネガティブな理由のように感じます。どれだけの小学生が,それを聞いて,「よし,今日から漢字練習を頑張るぞ」と奮起するでしょうか。
私は,「漢字を使いこなせると,心が豊かになるし,人生が充実するよ」と,子どもたちに伝えています。漢字を読むことができれば,たくさんの書物に出会うことができます。読書は,心の世界を広げてくれます。また,漢字を使いこなすことができれば,自分の思いをより豊かに表現することができるようになります。
漢字は1字ずつに音と意味があります。アルファベットを始め,世界中のほとんどが表音文字の中,漢字は世界で唯一の表意文字といわれています。子どもが生まれると,名前の響きの美しさや力強さに加えて,漢字のもつ意味に願いを託して命名することがあります。同じ名前であっても,選んだ漢字によって受ける印象は,ずいぶん変わってきます。親がどの漢字にしようかと何日も頭を悩ませながら,一生の幸せを願って名前を考えるのは,漢字が表意文字だからです。
かつて,東京ドームで行われたプロレスのイベント名に「闘強導夢」という漢字が当てられました。格闘技の大会であること,世界中から強者たちが集うこと,全天候型のスタジアムで初めてプロレスが開催されるというファンの夢を導いていること。「東京ドーム」に4つの漢字を当てはめることで,そこに多くのメッセージを込めることに成功しています。これを考えた人のネーミングセンスには,脱帽です。
また,師走が近づくと,「『今年の漢字』は何かな」と多くの人が話題にするのも恒例になりました。このように,日本人は,中国から伝来した漢字を,自国の文化として上手に取り込み,表現を豊かにしてきました。こんなに素晴らしい文化は,他になかなかありません。
ところが,残念なことに,「漢字が嫌い」という子どもたちがいます。漢字好きとしては,とても心が痛みます。また,「漢字は,たくさんあって指導する時間がない」「どう教えたらよいかもわからない」という先生方の声も聞きます。「漢字は,ドリルで学習し,とにかく書いて覚えるしかない」という考えが多いようです。
漢字は,「小学校に配当されている1026字を教えたら終わり」ではありません。日常生活で,新聞を読むには2500字,さらに様々な書籍を読むには,3500字が必要だといわれています。小学校を卒業した後も,生涯にわたり数多くの漢字との出会いが続くわけです。ですから,漢字嫌いを生み出さないことが,小学校の最低限の役割であるといえます。できれば,漢字好きの子どもをたくさん育てたいところです。
理科が好きな先生が教える授業では,子どもたちが生き生きと観察や実験をし,音楽が好きな先生が教えるクラスからは,子どもたちの楽しげな歌声が響いてきます。「生き物や科学が好き」「歌うのが好き」という教える側の気持ちが,自然と子どもたちにも伝わっていくものなのだと思います。ですから,まずは先生方にも漢字を教えることを楽しんでもらいたいと思います。本書には,子どもたちを楽しませる漢字ゲームなどの実践例を数多く収録してあります。
働き方改革が進み,超過勤務が歓迎されない中,教材研究や授業準備の時間を確保することが難しくなってきています。ですから,本書は,先生方が「これ,いいな」「やってみようかな」と思ったら,すぐに実践できるよう工夫しました。拡大コピーすればすぐに使えるワークシート,おすすめの問題例,ゲームやクイズに使える熟語例,小学生の苦手とする漢字の一覧などを,可能な限り収録しました。
まずは,明日からでもすぐにできそうなことを1つ選んで,実践してみてください。子どもたちの表情が,生き生きとした笑顔に変わっていくことを実感してもらえると思います。
/栗林 育雄
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- 明治図書
- 漢字のアイデアに溢れている。見ているだけで、自分の中でもアイデアが湧いてくる。面白い。面白いから、漢字の教材を作ってみたくなる。2024/2/1840代・小学校教員