- はじめに
- 第1章 「探究的な学び」の実現に向けて
- 1 「探究的な学び」が求められる背景
- 2 数学科における「探究的な学び」
- 3 「探究的な学び」を促すための手立て
- 4 「探究的な学び」を目指して
- 第2章 中学校数学の「探究的な学び」の実践事例
- 計算で数を求めて,あなたの運勢を占ってみよう
- [1年/文字式]
- 面積が等しい長方形をつくろう
- [1年/比例と反比例]
- どの辺に最も近いかを考えて,四角形の内部を区分けしよう
- [1年/平面図形]
- ストップタイム・トライアルの得点の規定を考えよう
- [1年/データの活用]
- 自然数を仲間分けしよう
- [2年/式の計算]
- 条件に合うケーキの買い方を考えよう
- [2年/1次関数]
- 四角形の合同条件を考えてみよう
- [2年/三角形・四角形]
- 新しいゲームのルールを考えてみよう
- [2年/確率]
- 「答えが存在するような問題」を作成しよう
- [3年/2次方程式]
- y=x^2のグラフ上の2点に共通する性質を調べよう
- [3年/関数y=ax^2]
- 条件を満たす点を集めたら,どんな図形になるか考えてみよう
- [3年/円]
- 用意するべきおつりの枚数をシミュレーションしてみよう
- [3年/標本調査]
はじめに
平成29年改訂(告示)の中学校学習指導要領に基づく教育課程が令和3年度に全面実施となって,早いもので4年目に入っています。
中学校数学科の授業において,生徒は数学的活動を通してどのような知識及び技能を身につけるのか,どのような思考力,判断力,表現力等を身につけるのか,求められるコンピテンシーが学習指導要領に明示されました。主体的・対話的で深い学びを実現することにより,知識及び技能,思考力,判断力,表現力等に加えて,学びに向かう力,人間性等を高めようと,探究的な学びを充実させた多くの授業実践が重ねられていると思います。
教科書は,ICT の進化などにともなって充実してきた面もありますが,それだけでなく,全般的に内容に深みがあり,手に取るだけでもずっしり重みのあるものになっているように感じられます。いつの時代にも見られるような定型的に記載されている部分はもちろんありますが,近年の社会の変化に対応した身の回りの事象への利用,学んだことを発展的に扱う内容などが多数盛り込まれるようになっています。各学校での授業においても,社会とのつながりをより意識した学習が展開されていることと思います。
そういった背景を意識しながら,よりよい授業づくりを目指して教材研究,授業研究に日々励んでおられる全国の中学校数学科の先生方に向けて,これまでに実践してきた探究的な学びを深めるための実践事例を整理してお示ししようと,本書を企画・編集しました。教科書の中にも新しい視点で多くの教材が示され,探究的な学びの充実した授業が行われるようになっていますが,それだけに留まらず,もう一歩踏み込んで,主体的・対話的で深い学びをより高いレベルで実現する探究的な学びを目指したいという思いから開発し実践してきた題材や指導事例です。現行の学習指導要領に基づいていることはいうまでもありませんが,変化の激しい時代であるがゆえ2030年代に向けて早々に学習指導要領の改訂が検討されるとしても,時代を超えて求められる資質・能力を育む数学教育の実践となり得るものと考えています。
多くの先生方に活用していただけるように,各学年,各領域を網羅して,それぞれ授業の題材と指導事例を簡潔にまとめています。本書が探究的な学びの充実した授業実践のためのヒントとなり,お役に立てば幸いです。
明治図書出版編集部矢口郁雄様には,出版に至るまで懇切丁寧なご支援をいただきました。心より御礼申し上げます。
2024年6月 /砂原 徹
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- 明治図書