- まえがき 道徳の授業は……難しい?
- 1章 授業作りはパーツの組み合わせでできている
- パーツ0:授業作りの流れ
- 01 どうする授業作り
- 02 授業はパーツの組み合わせでできる
- パーツ1:内容項目
- 01 自分の価値観と向き合う
- 02 どれだけイメージできるか
- パーツ2:学習指導要領解説
- 01 ねらいは発達段階に合わせる
- 02 時短のために学習指導要領解説を使う
- パーツ3:教材の分析
- 01 Aの項目は「葛藤」から探す
- 02 Bの項目は「角度」を変えてみる
- 03 Cの項目は「所属意識」を大切にする
- 04 Dの項目は「心が動くところ」を考える
- パーツ4:中心発問
- 01 発問は点ではなく線で考える
- 02 時間と人の2軸で考える
- 03 内容項目へ迫ることを意識する
- 04 全員が参加できるように工夫する
- パーツ5:中心発問に向かうための発問
- 01 とにかく数をしぼる
- 02 中心発問との落差を意識する
- パーツ6:導入
- 01 導入で前提条件をそろえる
- 02 教材へ導入する
- 03 内容項目へ導入する
- パーツ7:展開後段
- 01 導入とセットで考える
- 02 教材と経験を行き来する
- 03 お話と生活経験のはざまで……
- パーツ8:終末
- 01 余韻を残して終わる
- 02 それでもやっぱり説話をしたい
- Column 道徳を研究する意味
- 2章 授業作りのパワーアップには型を見つけること
- パワーアップ1:板書
- 01 言葉を短くまとめてみる
- 02 板書で図解してみる
- 03 心情曲線型
- 04 葛藤型
- 05 比較型
- 06 イメージマップ型
- 07 対比型
- 08 過去未来型
- 09 吸い上げ型
- 10 壁乗り越え型
- パワーアップ2:問い返し発問
- 01 問い返し発問を知る
- 02 話し合いを進める型
- 03 話し合いを広げる型
- 04 話し合いを深める型
- パワーアップ3:教材の範読
- 01 国語と道徳の違いを知る
- 02 教材提示の型
- パワーアップ4:役割演技
- 01 役割演技と動作化の違いを知る
- 02 基本の型
- 03 応用の型
- 04 「お助けグッズ」で盛り上がるランキング
- Column 道徳の授業は種まき
- 3章 さらなるレベルアップには多様な方法を知ること
- レベルアップ1:授業作り
- 01 多面的と多角的を意識する
- 02 イメージトレーニングする
- 03 ローテーション道徳を取り入れてみる
- 04 授業後に振り返る
- レベルアップ2:話し合い
- 01 話し合いの型を変える
- 02 つぶやきを拾う
- 03 指名の仕方を工夫する
- 04 机の配置を工夫する
- Column 失敗したから今がある
- 4章 大公開!授業作りドキュメント
- こうやって作っています! 実際の授業作り
- あとがき 授業作りができるようになったら……
まえがき
道徳の授業は……難しい?
「教育実習の担当をお願いできるかな」
校長からうれしい一言を頂きました。教育実習生の担当になるということは,何となく一人前に認めてもらえた気がしたんです。そして,何よりも私は人に教えるのが好き!(だから,教師は天職だと思っています。)
そうして,ワクワクしながら出会った教育実習生。吸収意欲がすごい方でした。そうなると,こちらも俄然やる気が出ます。この短い期間に,私のもっている限りの引き出しをすべて伝授しようと大張り切りでした。
ある時,尋ねました。「最後の公開授業は何にしますか」すると,迷っていた様子だったので,猛烈に道徳の授業をプッシュしました。
勢いで,道徳を勧めてみたものの,少し後悔をしていました。なぜなら,道徳の授業は非常に難しいからです。ましてや,1回しか授業ができない教育実習の中の公開授業。ズタボロになってしまったら,彼がかわいそうだ。どうしよう。次の日から猛特訓(?)が始まりました。
特訓の時間では,私が紙に手書きで道徳の授業のポイントを書いてきたものを渡し,彼がそれに対して質問をするという時間でした。
導入,発問,板書,役割演技,授業の作り方……それはそれは,たくさんのことを伝えました。実習生の彼にとっても分かりやすいものを目指して,図にして,言葉を添えて1つの「型」として伝えました。
そして,迎えた当日……。
授業は「大成功!」と言ってもいい出来栄えでした。子どもたちは自分なりに活発に意見交流をしていました。私はたくさんの道徳の授業を見ているのですが,「そこらの若手に負けない授業だ!」と思いました。
授業の事後に意見をもらう時に,校長から「今の授業はきれいすぎたね」との言葉を頂きました。「子どもたちが自分事として泥臭く考えられていたか」と問われたら,そこまではいってなかったと思います。
でも,逆に考えると,それは最大のほめ言葉だとも思いました。彼は道徳の授業をするのが人生で初めてだったのです。「授業をきれいに流す」これだけでも実習生にとっては,レベルが高いことだと思います。それを1回目の授業にしてやってのけるとは……。
教育実習が終わってから考えてみました。なぜ,あんなにも授業がうまくいったのだろうと。
その答えは……「型」を伝えたことがよかったのではないかということです。道徳は難しい。でも,1つ1つは分解して考えると難しくない。これは,私の持論でもあります。
さてさて,前置きが長くなりました。この体験から私は,以下の2点に考えが至りました。
@「型」を伝えると,誰でも道徳の授業のレベルが上がる。
A「型」を伝えるためには,図解が最適である。
そこで,本書のコンセプトとしては,授業作りの「型」について,図解を入れて分かりやすくお伝えするというものにしました。
1章では,授業作りについて,1から細かく解説しました。本来なら,「細かすぎるだろう」ということも図解が入ることによって,読みやすいものとなったと自負しております。
2章では,板書や発問などの「型」をお伝えします。1章が理論としたら,この2章はスキルのようなものだと思っていただけたらと思います。
3章では,授業作りにおいて,知っておいた方がよいことや,話し合いの時のポイントを解説しました。
4章では,1章から3章に出てきたことを踏まえて,実際にノート上で授業作りをしている様子を公開しました。この4章を見ながら,教材研究をすると,授業を作れるようになります。
みなさんは,本を読まれる時に,前から読みますか。それとも,気になったところから読みますか。
本書は,前から読み進めていくと,だんだんと授業作りについて分かるようになっています。「道徳の授業作りって,何をしたらいいのか全然分からない。困っています!」という方は,前からどんどん読み進めていってくださればと思っています。
一方で,「授業作りについては,ある程度知っているんだけどな」という方は気になったところからどんどん読み進めてみてください。基本的に本書は,2頁構成(まれに4頁構成)という形になっており,1つのテーマにつき,1つの図解が入っています。
道徳の授業は,はっきり言って難しいです。でも,世の中のものを見ると,難しいものほど,奥が深くて面白いんです。パズルだって,クイズだってそうですよね。出されてすぐに解けてしまうものは物足りなく感じるはずです。難しいものは「あーでもない,こうでもない」と悩むから,解けた時にその苦労の分,面白さを感じるのです。
道徳も例外ではありません。授業作りは難しいけれど,仕組みが分かったら,面白いです。「難しいけど面白い」「難しいから面白い」それが道徳だと思っています。
本書を通して,「道徳の授業作りの仕組みが分からない」「道徳の授業をレベルアップさせたい」と思っている方の一助となれば幸いです。
/森岡 健太
買ってみて大正解でした!
とてもわかりやすく、自分の行う題材にも参考にしやすかったです!
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