- はじめに
- 1章 「理科の見方・考え方」とは何か?
- 「科学的な見方や考え方」と,どう違うの?
- 目標にどのように位置付けられているの?
- 「見方・考え方」が豊かになるって,どうして重要なの?
- 「理科の見方」って,具体的には?
- 「理科の考え方」って,具体的には?
- 見方:「量的・関係的」とは?
- 見方:「質的・実体的」とは?
- 見方:「共通性・多様性」とは?
- 見方:「時間的・空間的」とは?
- 見方:「原因と結果」とは?
- 見方:「部分と全体」とは?
- 見方:「定性と定量」とは?
- 考え方:「比較」とは?
- 考え方:「関係付け」とは?
- 考え方:「条件制御」とは?
- 考え方:「多面的に考えること」とは?
- 「見方・考え方」は教科等の学習と社会をつなぐもの
- 学習指導要領の各学年の内容に,「見方・考え方」の示され方の工夫はある?
- 「見方・考え方」を働かせると,いいことあるの?
- 私が最近働かせた理科の見方 クチナシの花編(コラム)
- 2章 「見方・考え方」を意識した授業のつくり方
- 「見方」「考え方」は何のためにあるのか?
- 授業案を作成する前に
- 授業案の作成内容
- 授業案作成は核心部分から順に考える
- 授業案の作成手順@ 本時の考察や結論にどのような見方が反映されているか
- 授業案の作成手順A 本時の見方が反映されているような問題を設定しているか
- 授業案の作成手順B 本時の見方が働くように自然事象との出合いを考える
- 授業案の作成手順C 本時で育成したい問題解決の力から,本時で主に働かせたい考え方を設定する
- 授業案の作成手順D 本時で考え方が働くように手立てを考える
- 人に授業の意図を伝えることと,授業者の頭の整理の役割をもつ授業案(コラム)
- 3章 エネルギー領域「量的・関係的」な見方を働かせること
- 「量的・関係的」な見方【エネルギー】
- 「量的・関係的」な見方を働かせることとは
- 第3学年 風とゴムの力の働き
- 第5学年 振り子の運動
- こんな「見方・考え方」もあるよ@ 原因と結果(コラム)
- 4章 粒子領域「質的・実体的」な見方を働かせること
- 「質的・実体的」な見方【粒子】
- 「質的・実体的」な見方を働かせることとは
- 第4学年 空気と水の性質
- 第6学年 燃焼の仕組み
- こんな「見方・考え方」もあるよA 部分と全体(コラム)
- 5章 生命領域「共通性・多様性」の見方を働かせること
- 「共通性・多様性」の見方【生命】
- 「共通性・多様性」の見方を働かせることとは
- 第3学年 身の回りの生物
- 第6学年 植物の養分と水の通り道
- こんな「見方・考え方」もあるよB いくつかの見方が働く(コラム)
- 6章 地球領域「時間的・空間的」な見方を働かせること
- 「時間的・空間的」な見方【地球】
- 「時間的・空間的」な見方を働かせることとは
- 第4学年 雨水の行方と地面の様子
- 第5学年 天気の変化
- こんな「見方・考え方」もあるよC 定性と定量(コラム)
- 7章 子どもが「見方・考え方」を意識的に働かせるようにするために
- 意識的に働かせるとは?
- 意識的に働かせることができるようにする
- 価値付け,称賛する(見方)
- 価値付け,称賛する(考え方)
- 振り返ることができるようにする
- きめつけないようにする
- 学習評価の対象にしない
- 「共通性・多様性」からみる生命の魅力(コラム)
はじめに
2020年度より,新学習指導要領が全面実施されました。今回の学習指導要領の改訂では,子どもたちが未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成することを目指しています。
この学習指導要領の趣旨を理解しようとしたとき,そこには,重要なキーワードがたくさん出てきます。
「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」「資質・能力」「主体的・対話的で深い学び」,そして「見方・考え方」……。
これらのキーワードは,それぞれが独立して存在するのではありません。これらの関係を理解することによって,学校教育における学習の全体像を見渡す「学びの地図」が表れてくるのだと思います。
どれも重要なキーワードなのですが,理科教育の立場から眺めてみると,「見方・考え方」が最も気になるところではないでしょうか。
この本を手に取ってくださった方は,これから理科教育についてもっと勉強したいなあと思っている方でしょう。その方には,「見方・考え方」は新学習指導要領の重要キーワードとして映っているでしょう。しかし,これまで,理科教育の発展・充実を使命だと思って,日々の理科の授業に取り組まれてきた先生方は,「見方・考え方って,なんだ? 今までと何が違うんだ」という気持ちで,手に取ってくださったのではないでしょうか。
今回の学習指導要領改訂の仕事に携わらせていただいた私自身も,最初は,同じような感想をもちましたし,実際かなり戸惑いました。
説明をしなければならない立場の者が,「見方・考え方は重要です」と表面的な言葉で話したとしても,伝わるはずがありません。伝える者が,本当にそれを重要だと思っていなければ,伝わらないのです。そこで,私は日常生活において,「理科の見方・考え方」を意識的に働かせようとしました。
そうしたら,この「理科の見方・考え方」を働かせることは,とてもおもしろいことだと実感できるようになってきたのです。
自然の事物・現象についての見え方が変わってきたからです。見え方が変わってきただけでなく,今まで以上に問題を見つけることもできるようになってきました。さらには,自然の事物・現象について,「すごいなあ」と感心することも多くなりました。つまり,自分の中で,理科で育成を目指す資質・能力が育ってきているということです。
本書は,そんなすばらしい「見方・考え方」についてまとめたものです。
みなさんの授業づくりのヒントに,そして,読者のみなさん自身の人生が豊かになるヒントになれば幸いです。
/鳴川 哲也
中学校版も購入したいです。
「関係付け」と「関連付け」の違いを詳しく知りたいです。