- まえがき
- 序 探究的な学びを紡ぐ 社会科授業デザイン
- 第1章 「社会科×探究」授業づくりのポイント
- Point① 「社会科×探究」の問い
- ~探究的な学びの出発点となる問い~
- Point② 「社会科×探究」の学びの振り返り
- ~次なる探究の種を見つける振り返り~
- Point③ 「社会科×探究」の板書
- ~探究的な学びを推進・整理するための板書とその構造化~
- Point④ 「社会科×探究」における批判的思考力(クリティカル・シンキング能力)
- ~批判的思考は「新たな知」を生み出すベース思考~
- Point⑤ 「社会科×探究」とSDGs(国連:持続可能な開発目標)
- ~SDGsは探究の道標に~
- 第2章 板書&展開例でよくわかる!「社会科×探究」授業モデル
- 「社会科×探究」授業実践モデルの見方・使い方
- 1 なぜこんなにも洗濯機が便利になっているのに,今も洗濯板が売れているのだろう
- 第3学年「市の様子と人々のくらしのうつりかわり」
- 2 なぜ〇〇〇〇(公共施設名)は,ハザードマップではイエローゾーン(土砂災害警戒区域)なのに,避難場所に指定されているのだろう
- 第4学年「自然災害からくらしを守る」
- 3 なぜ沖縄県では,わざわざ冬にスイカを出荷している地域があるのだろう
- 第5学年「あたたかい土地のくらし」
- 4 なぜ漁師なのに,魚を逃しているのだろう
- 第5学年「水産業のさかんな地域」
- 5 なぜたくさんの自動車メーカーがあるのに,世界中で日本車が多く売れているのだろう
- 第5学年「自動車をつくる工業」
- 6 なぜ号外は,無料で配られているのだろう
- 第5学年「情報産業とわたしたちのくらし」
- 7 情報ネットワークで管理された図書貸出カードと手書きの図書貸出カードでは,どちらが安心して使用することができるだろう(情報は自ら管理した方が安心? 誰かに管理してもらった方が安心?)
- 第5学年「情報を生かすわたしたち」
- 8 なぜ森林を守ると言いながら,木を切っているのだろう
- 第5学年「わたしたちの生活と森林」
- 9 戦争がないことだけが平和と言えるのだろうか
- 第6学年「わたしたちのくらしと日本国憲法」
- 10 投票に行くことは義務なのだろうか
- 第6学年「国の政治の仕組みと選挙」①
- 11 なぜ裁判員を辞退したい人が増えているのだろう
- 第6学年「国の政治の仕組みと選挙」②
- 12 被災地が復興するために必要なもの・こと・ひととは何だろう
- 第6学年「震災復興の願いを実現する政治」①
- 13 復興では元に戻せないものとは何だろう
- 第6学年「震災復興の願いを実現する政治」②
- 14 都を支えた地方の人々のくらしはどのようなものなのだろう
- 第6学年「天皇中心の国づくり」(奈良時代)
- 15 源氏が平氏のように貴族化していかないようにするために,どのような政治が行われていたのだろう
- 第6学年「武士の世の中へ」(鎌倉時代)①
- 16 与える領地(土地)がないのに,どうやって御恩を武士たちに渡したのだろう
- 第6学年「武士の世の中へ」(鎌倉時代)②
- 17 徳川家はどうやって国を治めて江戸幕府を安定させたのだろう
- 第6学年「江戸幕府の政治と安定」(江戸時代)
- 18 日本は何をすれば条約を改めることができるのだろう
- 第6学年「世界に歩み出した日本」(明治時代)
- 19 ヒロシマは,どうやって広島を取り戻し,ヒロシマを発信することができるようになったのだろう
- 第6学年「新しい日本,平和な日本へ」(昭和時代~現代)
- 20 自宅にある〝Made in ~調査〟から日本とつながりのあるリサーチ国を4カ国決めることができる
- 第6学年「日本とつながりが深い国々」
- 第3章 批判的思考力を働かせる!「社会科×探究」学習単元まるごとモデル
- 1 批判的思考力を働かせる中で探究的な学びを紡ぐ単元構成
- 2 「批判的に考える力」と「未来像を予測して計画を立てる力」
- 3 第5学年「これからの工業生産とわたしたち」
- ~命を奪う工業製品から命を支える工業製品へ~
- 4 第6学年「世界の未来と日本の役割」
- ~日本がこれからすべき本当に必要な国際支援とは何か~(単元の全体像)
- 5 第6学年「世界の未来と日本の役割」
- ~日本がこれからすべき本当に必要な国際支援とは何か~(次なる探究を生む単元末授業の局面)
- 6 本単元が育む資質・能力と「社会科×探究」の学び
- 引用・参考文献
- あとがき
まえがき
社会科という教科。私は小学生の時,1年生と3年生~6年生で社会科の授業をトータルで5年間受けた初等社会科過渡期世代です。そうです,私が小学校2年生の時からちょうど生活科の授業が始まったのです。その時,学級担任だった先生が「みんなこれから初めて生活科のお勉強をしますね。先生も初めて生活科の授業をします」とおっしゃられたことを今でもよく覚えています。
私は,子どもの頃から社会科という教科が大好きでした。小学校の高学年では,学校からの帰り道に友達と各国の首都の暗記クイズをしながら帰っていました。一番にスリランカの首都を覚えてきた友達は正にヒーローでした。(タイのバンコクの正式名称を覚えた友達は,当時いなかったと思います)
大学も教育学部教育学科に進学し,中学校・高等学校の社会科系教員免許状が取得できる課程で学びました。現在も大学院に在籍し,社会科教育のカリキュラムや単元構成,授業の在り方について実践的研究を行っています。
しかし,家庭環境を振り返ると,油絵を専門とする中学校・高等学校美術科教師の父と,大学で音楽科教育を専攻していた小学校教師の母という芸術系教科コラボ環境のもとで育ちました。図画工作科や美術科,音楽科も,もちろん好きでしたが,こうやって当時を振り返りながら執筆していると「なぜこんなにも社会科という教科に魅了されることになったのだろう?」という問いができてしまいます。
きっかけは,当時は小学校4年生で配布された地図帳です。世界地図のページを開くのがおもしろくてたまりませんでした。今思えば,それは社会科における「探究」の始まりでした。当時から,「他の本は,同じページを何回読んでも同じことが同じ場所に書いてある。でも地図帳は,何度も同じページを開いて,変わらない同じ国の場所を見ても,地形や地名のつながりなど,どこかに新しい発見があって,本当におもしろい!」と感じていました。これは,今でもそう感じています。(小学生から思考に大きな変容がないことも問題かもしれませんが……)ここに「社会科×探究」の道の第一歩があったのかもしれません。
本書『板書&問いでつくる「社会科×探究」授業デザイン』は,現在,教育界でさまざまな視点からスポットが当たる「探究」を一貫したテーマとして,それを社会科授業の中に取り入れていくアプローチをメインに取り扱います。
序においては,『探究的な学びを紡ぐ 社会科授業デザイン』と題して,社会科における探究的な学びについての概論を示しています。
第1章では,『「社会科×探究」授業づくりのポイント』と題して,探究的な学びの出発点であると言える「問い」についての概論などを5つのポイントで論述しています。
第2章では,『板書&展開例でよくわかる! 「社会科×探究」授業モデル』と題して,小学校第3学年~第6学年までの計20本の授業実践事例を板書と共に紹介しています。
第3章では,『批判的思考力を働かせる! 「社会科×探究」学習単元まるごとモデル』と題して,社会科で探究的な学びを行っていく上で切っても切れない関係にある批判的思考力(クリティカル・シンキング)を章軸として,小学校第6学年の学習単元モデルからその具体に迫っています。
本書の大きなテーマである「社会科×探究」の学び。これらが掛け合わされた学びの先に生きる子どもたちには,常に社会的事象に対して「なぜ?」をもち続けながら,これからの持続可能な社会の担い手となってくれることを願っています。そして,本書が,読者の皆様の「探究的な学びへと誘いざなう社会科授業づくり」の一助となれば,執筆者としてこの上ない喜びです。
/中村 祐哉
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