- まえがき
- T 理論編「読解力」をつけるために
- 第1章 「読解」とは何を教えればいいのか?―読解の三要素
- 1 読解は「何をどう指導すればいいのか」がわかりにくい
- 2 「読解」でおさえるべき理解のポイントとは
- 3 新しい「読解力」―新しい学力観と?PISA?型読解力
- 4 「読解」の三要素
- 5 発達段階と読解の三要素
- 6 相互の関連
- 第2章 言語的理解
- 1 言語的理解の要素とは
- 2 文字・表記
- 3 語彙
- 4 文法
- 5 音声化
- 第3章 文脈的理解
- 1 「言葉で通じ合う」ということ
- 2 文脈理解の要素
- 3 文脈認識
- 4 物語文の文脈的理解
- 5 説明文の文脈的理解
- 6 その他の文種における文脈的理解
- 7 文脈を考えた音読
- ◆コラム◆ 「学力低下」問題
- 第4章 主体化
- 1 主体化の要素とは
- 2 反省的把握
- 3 反応形成
- 4 主体的な読書活動
- 第5章 発達段階に応じた学習項目の提案
- 1 学習内容の明確化にむけて
- 2 小学校低学年(第1学年及び第2学年)
- 3 小学校中学年(第3学年及び第4学年)
- 4 小学校高学年(第5学年及び第6学年)
- ◆コラム◆ 「メタ言語」って何? 「メタ認知」って何?
- ◆コラム◆ 認識と比喩,そして情報の図示
- U ワーク編
- 低学年編
- T1 ことばのまとまり<言葉のまとまりを意識させる>
- T2 もじに なれる<語や文の区切り・キーワード>
- T3 ことばの いみを 図にする<語からの意味連想・マッピングの基礎>
- T4 どんなようす?<オノマトペアの意味を考える>
- T5 どんな いみ?<文の意味を考えてみよう>
- T6 たいせつなところは?<大切なことは何かな?>
- T7 よみとりをたのしもう!<言葉を大切にした読み取りの学習>
- 中学年編
- C1 漢字の学習<漢字と語の構成の学習>
- C2 意味のちがいを考えよう<類義語の意味の違い>
- C3 語の意味を考えて読み取ろう<語の意味の分析を読み取りに役立てる>
- C4 国語辞典を使いこなそう!<辞典の使い方>
- C5 どんな意味?―文の意味について考えてみよう!<文の意味の把握>
- C6 読み取って 味わおう<推論しつつ読む読み取り・比喩の理解>
- C7 どんな意味かな?<文末形式の意味>
- C8 文章の意味を考えよう関係のあることを図にしよう<文脈での情報の整理>
- C9 予想して読もう<予想しながら読む。読みながら予想を修正する。>
- 高学年編
- K1 文字とその効果<文字とその効果>
- K2 順番に注意する<表現の順序のもつ効果>
- K3 感情や性格を表すところをさがそう<性格や感情の読み取り>
- K4 必要な情報の点検<必要な情報の点検>
- K5 説明文の読解<書かれていないことの推理>
- K6 図表からどんなことを読み取る? <図表の読み取り:非連続型テキストの読解>
- K7 文章を読んで意見を持つ<定義を考える。意見を述べる。>
- K8 表現を分析しながら味わおう<表現を分析しながら味わおう>
- K9 説明文の読解<文章の構造を主体的に理解>
- K10 図像を見て文章化する<図像を見て文章化する>(特別プリント)
- ★アドバイス★ 読書感想文の宿題が出た,どうしよう,というときに役に立つかもしれないヒント
- おわりに
まえがき
「読解力」は,国語はもちろん,他のすべての教科の学習にとっても重要な基礎的学力です。折しも「新しい読解力」ということが叫ばれるようにもなっています。しかし,具体的にどのような指導をすれば「読解力」をつけることができるのか―これはなかなか難しい問題です。そもそも,「国語の学習」の道筋は見えにくいものだからです。
そこで,本書では,「言葉」に着目した観点から,「読解力」の中身を整理し,学習の内容を焦点化していくことを考えました。
「読解」の基礎にあるのは「言葉」です。ですから,まずは言葉やコミュニケーションを考える観点から,「読解力」の要素を整理することが必要なのです。
本書の第T部では,理論編として,読解力を構成する力とは何かを考え,読解力を高めるための学習のあり方を整理しています。最近の言語研究などのさまざまな知見をとりいれつつ,わかりやすい形で「読解の三要素」としてまとめました。
子どもたちの言葉の理解は,必ずしも大人と同じではありません。「言語」としての理解も要所要所を押さえておく必要があるのです。これが「言語的理解」です。次に,情報の集積,関連づけなど,文章を理解する上で必要なことを物語文,説明文などの特性に関連させて具体的にまとめました。これが「文脈的理解」です。さらに,単に受け身的に「理解」するだけではなく,読み手がその内容を評価することなども含めて,「自分」なりに考えを深めることも重要です。これが「主体化」です。このように三つの要素に整理する中で,どういうところに重点を置けばいいのか,読解力をつけるためのポイントにどのようなことがあるのか,などをあぶりだし,発達段階も加味しつつ,学習内容の組織化に向けた提案も行っています。経験の深い先生はもちろんですが,経験の浅い先生でもしっかり読解力の指導ができるような理論づけをめざしたつもりです。日々の国語の授業,言葉に関連するすべての授業のあり方を考えるための手がかりとしていただければ幸いです。
第U部では,その具体例として,プリントワークとその解説を作りました。そのままプリントして使っていただけるようにしてあります。10分程度の手軽なプリントですが,読解力向上への具体的方法,学習の目標などをできるだけ明確化していますので,読解力をつけるポイントの主なものを具体的におさえていくことができるはずです。
ワーク方式なので,どの教科書の学習とも並行して,また適宜組み合わせて使っていただけます。十分なものではありませんが,「アドバイス」などもつけて,学びが広がるように多少工夫もしたつもりです。
本書を,未来を背負う子どもたちの読解力向上に,少しでも役立てていただけましたら,これにまさる喜びはありません。
/森山 卓郎
読解力関係の本は幾つか読みましたが、概論ばかりで「何をどう指導すればいいのか」がわかりにくい印象でした。
この本は読解力の基礎になる「ことば」から解説されているので、指導すべき内容・ポイントがよく理解できました。
これなら授業にもうまく活かすことが出来そうです。
後半のワークもプリント+解説の見開き2枚構成になっているのでそのまま配布でき、大変使いやすいです。
本校ではこれから朝読書の時間に読み物の一つとして配布しようと思っていますが、10分ぐらいで出来る簡単なものが多いので、授業のちょっとした時間や朝自習にも使えそうです。
おすすめできる良書です。