- 第1部 思考力,判断力,表現力等を見直そう
- 1.思考力,判断力,表現力等の現状
- 2.思考力,判断力,表現力等と学習指導要領
- 3.思考力,判断力,表現力等と数学的活動
- 4.思考力,判断力,表現力等と「思考の種」
- 5.思考の種を蒔く指導
- 第2部 中学校数学の授業で身に付けさせたい/指導したい10の思考の種
- 思考の種01 同じようにする
- 思考の種02 改善する
- 思考の種03 きまりを見つける
- 思考の種04 逆をつくる
- 思考の種05 比べる
- 思考の種06 さかのぼる
- 思考の種07 条件をかえる
- 思考の種08 整理する
- 思考の種09 ひろげる
- 思考の種10 学んだ形にする
- 思考の種の指導単元一覧
- 第3部 思考力,判断力,表現力等を育む数学的活動の授業デザイン
- 思考の種を蒔く指導に取り組もう
- 第1学年
- 第1章 「正・負の数」
- 小単元1 正・負の数の性質(5時間)
- 小単元2 正・負の数の計算(17時間)
- 第2章「文字の式」
- 小単元1 文字を使った式(7時間)
- 小単元2 文字式の計算(8時間)
- 第3章「方程式」
- 小単元1 方程式(7時間)
- 第4章「比例と反比例」
- 小単元1 関数(2時間)
- 小単元2 比例(6時間)
- 小単元3 反比例(5時間)
- 第5章「平面図形」
- 小単元1 直線図形と移動(6時間)
- 小単元2 基本の作図(4時間)
- 小単元3 円とおうぎ形(5時間)
- 第6章「空間図形」
- 小単元1 立体と空間図形(9時間)
- 第7章「データの活用」
- 小単元1 データの分布(9時間)
- 小単元2 不確定な事象の起こりやすさ(3時間)
- 第2学年
- 第1章「式の計算」
- 小単元1 単項式と多項式(7時間)
- 第2章「連立方程式」
- 小単元1 連立方程式(8時間)
- 第3章「一次関数」
- 小単元1 一次関数とグラフ(10時間)
- 第4章「図形の調べ方」
- 小単元1 平行と合同(10時間)
- 小単元2 証明(5時間)
- 第5章「図形の性質と証明」
- 小単元1 三角形(7時間)
- 小単元2 四角形(10時間)
- 第6章「確率とデータの分布」
- 小単元1 場合の数と確率(4時間)
- 小単元2 箱ひげ図(3時間)
- 第3学年
- 第1章「多項式」
- 小単元1 展開と因数分解(13時間)
- 第2章「平方根」
- 小単元1 平方根の性質(6時間)
- 小単元2 平方根を含む式の計算(7時間)
- 第3章「二次方程式」
- 小単元1 二次方程式(8時間)
- 第4章「関数y=ax^2」
- 小単元1 関数y=ax^2とグラフ(7時間)
- 小単元2 関数y=ax^2の値の変化(3時間)
- 第5章「図形と相似」
- 小単元1 相似な図形の性質(8時間)
- 小単元2 平行線と線分の比(9時間)
- 第6章「円」
- 小単元1 円周角と中心角(5時間)
- 第7章「三平方の定理」
- 小単元1 直角三角形の辺の長さ(4時間)
- 第8章「標本調査」
- 小単元1 標本調査(3時間)
はじめに
本書を手に取ってくださり,ありがとうございます。
この本は,「中学校数学科の授業を通して子供の思考力,判断力,表現力等を育むことについて,ちょっと立ち止まって考え直してみませんか」という提案の書です。「このままの指導を続けていて,目標は実現できるでしょうか」という問いかけでもあります。
授業を通して子供の思考力,判断力,表現力等を育むことの重要性については,論を俟たないでしょう。学習指導要領が求める「学力の高い子供」とは,知識及び技能だけでなく,思考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等をバランスよく身に付けている子供のことだからです。ところが,中学校で授業に取り組む教師の話に耳を傾けると,その難しさについての切実な悩みが聞こえてきます。あなたもその一人ではないでしょうか。
こうした現場からの声を聴いて私がとても不安に感じることは,育むことの難しさだけではありません。教師の努力にもかかわらず,その成果がなかなか見えてこないことから,「子供の思考力,判断力,表現力等を育成できなくても仕方がないのではないか」とか「それは数学が得意な子供が身に付けられればよいものではないか」といった諦念が,多くの教師の指導観の根底に蓄積されていくことに危機感を募らせているのです。あなたも,心のどこかでそんなふうに感じていませんか。
大前提として,私は子供の思考力,判断力,表現力等を育むために,多くの教師が日々努力して指導に取り組んでいると理解しています。また,それを身に付けるために多くの子供が学習に取り組んでいると受けとめています。それなのに,その成果を共有することが難しいのはなぜなのでしょうか。最初の問いをもう一度繰り返します。中学校数学科の授業を通して子供の思考力,判断力,表現力等を育むことについて,ちょっと立ち止まって考え直してみませんか。そのための1つの糸口として本書が提案するのが,数学的活動の授業デザインを生かした「思考の種を蒔く指導」です。詳しくは本文中で述べますが,ここではざっくりと,
・本時の目標が知識及び技能の習得である普段の授業で
・子供に思考力,判断力,表現力等のよさを経験させる
指導であると理解しておいてください。あなたが自らの思考力,判断力,表現力等を育むための指導を見直し,「思考の種を蒔く指導」にチャレンジしてくれることを楽しみにしています。
最後になりましたが,思考の種を蒔く機会を与え,最大限の執筆の自由と的確なアドバイスをくださった明治図書出版の矢口郁雄氏に,この場をお借りして感謝申し上げます。
2024年2月 /永田 潤一郎
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- 明治図書
- どのような視点で授業をつなげていけば良いのかが分かった。2024/8/2630代・中学校教員
- 課題になっている思考力・判断力・表現力の向上が各単元において分かりやすく整理されており、参考になりました。2024/8/140代・中学校教員
- 習得の時間がいちばん授業時数として多い中で、思考力、判断力、表現力等を育成するための種蒔きとして指導者が持つべき視点と具体的な事例がともに紹介されています。様々な授業へと応用できる一冊だと感じました。2024/5/2930代中学校教諭